tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費支出に関わる統計数字の動き

2017年09月29日 13時04分11秒 | 経済
消費支出に関わる統計数字の動き
 いよいよ選挙という事になりました。大きなニュースの陰に隠れてしまっていますが、例月通り、消費関連の統計の8月分が、今朝、発表になりました。

 今年の8月は、雇用や経済・景気は安定状態、日経平均も高値圏という、恵まれた環境でしたが、矢張り消費意欲はイマイチという感じのようです。

 まず、発表の消費者物価について見てみますと、消費者物価の基本的な動きを示す「生鮮食品とエネルギーを除く総合」は前年同月で0.2%の上昇でこの所の横ばいから、ほんの少しですが上昇の「気配?」が見えています。

 「生鮮食品を除く総合」とすべてを含む「総合」は、ともに0.7%の上昇で、前3か月の0.4%近辺から少し高めになっていますが、これはエネルギー価格の上昇によるところが主です。
 エネルギー価格は世界でだいたい同じ動きですから、日本としてはどういようもない問題ですし、11月にはガス代、電気代も少し下がるようです。

 結局、やっぱり日本経済自体としては物価がほとんど上がっていないというのが現状で、これを無理に2%まで上げようという政府・日銀の主張は、当分実現は困難でしょうし、実現すると消費者は困るでしょう。

 一方、「家計の収入・支出」の動向はどうなっているのかといいますと、同じく今日、家計調査の8月分が発表されています。それで見ますと、標準的とされる2人以上所帯の8月分の数字は、
 2人以上全所帯の消費支出は280,320円で、前年向月比1.4%増
 2人以上勤労者所帯の消費支出は301,574円で、前年同月比マイナス0.8%
となっていて、勤労者所帯の節約傾向が目立ちます。

 勤労者所帯については、収入サイドの数字も出ていて、
 2人以上勤労者所帯の「可処分所得(手取り収入)」は401,134円で対前年同月比1.6%増
です。

 手取り収入は増えていますが消費支出は減っています。その結果、平均消費性向は昨年8月の77.0%から75.2%に低下しています。消費意欲回復か、という期待はなかなか実現しません。
 8月は、森友、加計問題などで、政府への不信が高まり、結果、将来不安が高まったこともあるのでしょうか。
 
 こんな状況を見て来ますと、「これで消費者物価が2%も上がったらたまらない」とか、物価を上げるなら賃金が上がってからにしてくれ」とか、「国民の気持ちが明るくならないと消費も伸びないのではないか」とか、それなら、今度の選挙で、少しまともで明るい世の中にすることをしっかり考えなければ」・・・・、といったことになるのではないでしょうか。  やっぱり選挙は大事ですね。

クロネコヤマト法人向け運賃に新方式

2017年09月27日 17時06分01秒 | 経営
クロネコヤマト法人向け運賃に新方式
 ヤマト運輸の労使関係に関わる問題については、過去にも何回か取り上げてきました。
 企業の労働時間制度や、長時間労働問題などについては、現実に多くの企業でいろいろな問題がありますが、このブログが、特にクロネコヤマトの問題を取り上げたというのは、特別の理由があるからです。

 それは、労働組合が、長時間労働の問題を、労使間の重要な問題として取り上げた際、労働組合が、あえて経営権に属する「荷受け制限」や「配送時間」にまで踏み込み、それに対して、企業側が「労使交渉の議題ではない」などといわず、真剣に問題を取り上げ、労使の話し合いの中で、自主的な解決を目指したという特異な春闘だったことです。

 今春のヤマトの労使交渉が解決した時には、今見てみましたら、その趣旨の事が、そのまま書かれていて、マスコミも、春闘妥結結果よりも、そちらに注目した記事がほとんどだった、となっていました。

  かつて日本の労使関係が世界の注目の的だった頃、労働組合は経営に対するチェック機能を持つ存在であるべきといわれ、労使関係の確りした会社では経営における誤りもない、などといわれたものです。

 過日も、「労使関係は夫婦関係のようなもの」という日本的経営の中でよく言われた言葉を紹介しましたが、ヤマト運輸の労使関係はやはり注目されてしかるべきでしょう。

 そのヤマト運輸が今回、法人向け運賃の決定に、雇用や賃金などの「経済指標連動」という考え方を導入するという事です。
 すでに労使協議会などで、十分論議されているようですが、社会インフラの重要な基盤を担うリーディング企業として、何らかの形で、客観性のある運賃決定をするといった考え方を導入するというのは、また画期的かと思います。

 賃金、物価、生産性といった問題には多様な見方があり、具体化への道は、結構厳しいかと思いますが、この新しいチャレンジ、興味深く見守りたいと思います。

総選挙は、国民の意思を示すチャンスです

2017年09月26日 12時00分31秒 | 政治
総選挙は、国民の意思を示すチャンスです
 安倍総理が9月28日の臨時国会冒頭の解散を明らかにしました。10月10日公示22日総選挙が決まったという事でしょう。

 無暗に危機を訴える言葉、尤もらしい理論化、国の将来より選挙に勝つこと、わが身の保身といった低俗な次元から、国の将来を憂い、より良い日本への道を選ぼうと国民に問いかける高次な意思まで、いろいろなものが入り混じり、多様なレトリックで得票を競う大変わかりにくい選挙になりそうです。

 更に、ある程度の太い線で国民に、その主義主張を示すはずの政党が、党員を含め離合集散の激しい状態で、新しい選挙公約が急ごしらえで出来ても、当面の選挙用か、本核的な政策理念か、これも大変解りにくい物になりそうです。

 我々選挙民は、よくよく実態を見極め、「出来るだけ」誤りのない投票をしなければないのですが、大変難しいことになりそうです。

 出来るだけ誤らないように頑張ってみようと私自身考えているところですが、問題は、何を基準に判断するかです。
こういう時は、判断基準は大きく2つかな、などと考えて、短期間ですが、じっくり見て考えていこうと心掛けている次第です。

 1つは、自分自身が、これからの日本の在り方として、何を望んでいるかでしょう。内政における税、社会保障の一体改革、保育、教育、医療、福祉といった問題はどこの政党でも皆国民の要望に応えなければなりませんから大同小異でしょう。

 国際関係では、基本的な課題は、戦後日本の基本方針である、日本は、戦争によって1人も殺さず、1人も殺されないことを行動によって世界に示し、地球人類、地球社会の将来を先取りする気概を持って戦後七十余年頑張ってきた日本の、この意義のある伝統を維持するのか改めるのという問題でしょう。

 この、日本は頼めば役に立ってくれるが、「人畜無害」で、危険性は全くない国という、今や確立した世界からの評価を、これからの日本はどうしていくのかです。
 終戦直後、そういう日本が一番好ましいと考えていたアメリカは、今は全く変わって、戦力をもってでも手伝うべきと考えているだけに難しい問題でしょう。

 2つ目は、公約を掲げる政党、またそのリーダーが、今迄、公約をどのように取り扱ってきたかという政党、リーダーの信頼性の問題です。

 日本の政権政党は殆どが自民党ですから、この判断は自民党、あるいは今の総理である安倍さんに対する判断になりそうです。
 他の政党については、あまり実績がありませんが、その場合は、リーダー、主要人物の過去の言葉と現実の行動から判断するのでしょうか。

 安倍さんは、この所の言う事とやることの相違がひどく、支持率急落の経緯があります。今度の記者会見でも財政バランス回復の公約を無視して平気です。新しいスローガンは全く別物です。過去の上に現在があり、将来があるという感覚が見えません。

 他の政党のリーダーは、政権を取っていませんから、これほど顕著な「実績」はありませんが、これまでの言行にそれなりの判断材料はあるでしょう。

 選挙は国民に与えられた大きなチャンスです。「これで良かった」というような結果を目指して、国民の知恵と判断力が試されていると考えなければならないのではないでしょうか。

経産省、航空機産業に注力

2017年09月25日 15時21分44秒 | 科学技術
経産省、航空機産業に注力
 経産省が遅まきながら、我が国の航空機産業の本格的発展を目指して、纏まった政策を打ち出そうという事になったようで、遅きに失した感はありますが、大いに歓迎したいと思います。

 海外、特に航空機産業に注力している国から見れば、「日本が始める? これは要注意だ」という事になるのかもしれませんが、我が国にとってみれば、新しい大きな産業分野が、組織的に整備されるという事でしょうから、多様な発展の可能性が大きいのではないでしょうか。

 戦後の日本産業の発展を見て来ますと、廃墟の中で、すべてに後発だった日本産業が、持ち前の勤勉さを生かして「追いつけ、追い越せ」で頑張ってきた軌跡が辿れます。
 
 1ドルが360円で、低賃金を生かした軽工業品の時代は早期に卒業し。海外主要国が先進技術を誇った、カメラ、オートバイなどで急速に世界市場に進出、成功を収めてきました。

 昭和30年代の終わりごろ、日本の自動車産業が輸出を始めたころです。ある大手自動車メーカの方に、何時かは日本の自動車が、世界市場を制覇する日が来るかもしれませんね」といったところ、「自動車はカメラやオートバイのようにいくことはないでしょう。自動車産業というのはそんなに甘くないですよ」といわれたことがあります。

 今では日本車は世界でも、「最も故障しない良い車」と評価されているようですが、その間日本産業は「追いつけ追い越せ」の分野だけではなく、トランジスタラジオ、ウォークマンからデジカメまで、それまで世界になかった独自の製品も作り上げてきています。

 航空機については、YS11は飛びましたが、種々国際的な制約もあったようで、その後はMRJまでブランクで、MRJ開発も遅れに遅れています。しかしその間に、ホンダジェットが飛び始めるといった独自分野も出てきています。

 一方で、大型航空機の部品においては、炭素繊維技術を生かして部品製造には日本の航空機部品産業が世界になくてはならない存在にまで上り詰めています。
 今回の、経産省の政策は、こうした航空機部品の産業クラスター(集積)を総合的に組み上げ、全体の情報共有や協力体制を構築しようという事のようです。

 この動きが、伝統的に産業育成では成功例の多かった旧通産省の流れを汲んでいるとすれば、これは将来、日本の航空機産業が世界を制覇する可能性を開くことに繋がっていくのかもしれません。
 遅れに遅れているMRJのケースを見ながら、期待するところの大きいニュースです。

総選挙を選んだのは誰?

2017年09月23日 23時14分28秒 | 政治
総選挙を選んだのは誰?
 まだはっきり決まっていない解散総選挙のことを書くのもどうかと思いますが、各党の動きなどを見ていますと、もう決まったという事のようです。

 「分裂指向と統合指向」でも書きましたが、菅幹事長の言う「解散は総理の専権事項の一語に尽きるでしょう」という言葉が示していますように、解散の意思決定をしたのは、もちろん安倍首相でしょう。

 という事になりますと、安倍総理がなぜ、この時期に・・・、という事になりますが、マスコミが報じていますように、森友・加計問題をいい加減でピリオドにしたという願いと、今なら、野党が纏まらないだろうからチャンスという読みといったところでしょう。

 しかし、安倍さんに、本当に勝算があるのでしょうか。
 「強行採決などは考えたこともない」と言いながら、数で押し切ってきたこれまでの経緯を見ればわかりますが、「決める政治」というのは与党が3分の2を取らないとできなかったはずです。

 今度の選挙で、そんなにうまく行くでしょうか。この間の調査では、何とか40%を回復した安倍政権の支持率ですが、多くの人の頭の中では与党は一蓮托生とは言わないまでも、安倍自民党の体質には「忖度」という言葉がここまで流行るように、問題を感じている人は多いでしょう。

 安倍さん自身、そうした状況は解っているのでしょうが、それでも解散、総選挙に持ち込む理由は何でしょうか。
 権謀術策渦まく政治の世界ですから、表も裏もいろいろあるのでしょうが、安倍さんの気持ちをつらつら憶測すれば、この間の国会論議のようなことを、また繰り返され続けたら、とても堪らない、という気持ちが強いのではないかという気がします。

 うまくはぐらかしたり、あるものを無いと言いくるめたり、身内の徹底した忖度にも支えられて、何とか凌いで来ましたが、これ以上糾弾が続いていけば、どこかで「もう守り切れない」という限界点が来ることは当然予想されます。

 そうなってしまえば、安倍さんはいわば「全否定」のようなことになってしまうわけで、プライドの高い方だけに、「それは耐えられない」という事でしょう。
 あの泥沼をもう一度というのなら、勝算が有っても無くても、何しろ解散して、新規蒔き直しの方がまだいい、という選択のような気がしてしまいます。

 安倍さんも、元気なお顔はしていらっしゃいますが、内心は随分苦しいのではないかと思ったりしています。本当の所はどうなのでしょうか。

日銀は何を目指しているのか?

2017年09月22日 11時59分38秒 | 経済
日銀は何を目指しているのか?
 9月のFOMCでアメリカの中央銀行であるFRBは、政策金利は慎重(据え置き)でしたが、リーマンショック以来の金融緩和で4.5兆ドルまで積みあがった手持ちアメリカ国債の残高を、今後徐々に減らしてく方向を明確にしたとのことです。

 すでに一昨年来、金融緩和の副作用や、景気過熱の予防なども視野に、政策金利の漸進的な引き上げも含め、テーパリング(金融緩和から緩やかな引締め)へのアプローチを進め来ているアメリカですが、今回のFRBのバランスシート正常化プログラム(資産縮小:買い上げてきた国債残高を次第に減らしていく)を、いよいよ来月から開始するとしています。
 これで、金融の質的(金利)、量的(通貨供給)の両面の政策が揃い、アメリカの金融正常化は、いわば「仕上げ」の段階に入ったという事でしょう。

 過去2年にかけて超金融緩和の見直しを進めてきているアメリカですが、イエレン議長は極めて慎重で、実体経済、特に雇用については細心の気配りをしながらも、経済の健全化を目指したテーパリングには一貫した態度をとってきたことが印象的です。

 前回のFOMCでは、トランプ政権の政策の不透明さから具体策は打ち出せなかった様子でしたが、今回は、景気の現状を受け、ハリケーンの影響は一時的と明確に指摘し、量的緩和の転換を明確に打ち出したのは、アメリカ経済を健全なものにしようという強い意志の表れのように感じます。

 注目される1つの点は、インフレ目標2%に達しない状況についての説明です。イエレン議長自身が、「なぜこんなに物価が上がらないのか不思議」と記者会見で言っています。そして、あくまで2%を目標にしながら、今後の金融政策は考えると付け加えていますが、日本でも上がらない物価、新しい経済学が必要でしょう( これは私見です)。

 以上はアメリカの情勢ですが、日本ではすでに日銀が、マイナス金利を含めた異次元緩和の継続を決めています。
 このブログでは「日本には 2%インフレ目標は不適切」と指摘していますが、この所、経済情勢が改善、雇用の逼迫度にも拘らず、日銀はひたすら異次元緩和継続です。

 FRBが4,5兆ドルの保有国債の縮小を来月から始めるとの事ですが、日銀の国債保有残高は約440兆円、ドルにして($1=¥110)4兆ドルです。
 ちなみに、アメリカのGDPは18.5兆ドル、日本のGDPは4.9兆ドルです。日銀の国債保有残高の相対的な巨大さが目立ちます。

 日本経済はアメリカより健全だと私は思っていますが、この面(国債依存と金融政策)では、日本経済の健全化のためにやることはまだまだ多いようです。

 日銀の黒田総裁は、相変わらずにこにこしながら、異次元金融緩和の継続を当然のことのように言っていますが、 政府の安易な国債依存への傾斜、 金融機関の経営の不健全化、 一部にみられるバブル状況、家計における 低金利の罠など、社会にひずみをもたらす副作用が多発する状態です。

 黒田総裁のあの笑顔の裏に何があるのか、それともないのか、知りたいのは、私だけではないのではないでしょうか。

問題は結末がどうなるかですね

2017年09月21日 12時16分32秒 | 国際関係
問題は結末がどうなるかですね
 トランプさんの初めての国連演説が、世界中で波紋を呼んでいるようです。

 トランプさんはもともと「アメリカ・ファースト」と明言して、アメリカの損になることはやらないという態度をはっきりさせることが、自分の支持層のためになると思っていたのでしょう。

 パリ協定に背を向け、TPPからは抜け、NAFTAは見直し、当面の自国の利益を優先させようと考え、また(たぶん本気で)それこそがアメリカの繁栄を取り戻す道だと思っていいるのでしょう。

 しかし、それは極めて 局所的、近視眼的な見方で、もう少し広く世界中を見、もう少し長期の視点で、物事の因果関係を考えれば、それは、アメリカの衰亡の道でしかないことは賢明な人は勿論私共のような普通の人でも知っているのではないでしょうか。

 今回の国連でのトランプ演説は、トランプさんの確信が種々の矛盾や問題点を持つことを多少本人にも気づかせるようなことになればいいなと思っていたのですが、どうも本人は、いろいろ言い回しに苦労しながらも、確信は変わらないようです。

 まずもって、国連総会で、「アメリカ・ファースト」を掲げたわけですが、やはりそれは似合わないという意識はあったのでしょう「どこの国もそうでしょう」と同意を求める言葉を付け加えて聴衆を納得させようとしています。

 これに対しては結構沢山の拍手があったようですが、国を代表して出席している方々にとっては「言いにくいことをはっきり言ってくれた」という受け取りも多かったのでしょう。 
 しかし同時に、「ここは国連ですよ、世界の国々が協力してより良い世界を作ろうという組織でしょう。自国ファーストを強調する場でしょうかと、困惑、落胆、冷笑する人も多かったようです。

 当のトランプさんにしても、自国中心を言いながら、北朝鮮への圧力を徹底するためには世界中が協力しなければいけないと「協力」の必要だと強調しているのです。
 パリ協定やTPPでの協力しないアメリカと協力を要請するアメリカの矛盾を、トランプさんは何とかうまく言いくるめようと、北朝鮮を極限までの「悪」とし、さらにベネズエラやイランまで含めて「ヘイトスピーチ」といわれるような演説をしたのでしょう。

 トランプさんにしてみれば、世界を敵と味方に分けても、多くがアメリカの見方をしてくれればいいと考えているのかもしれませんが、それは分裂の思想で、国連本来のあるべき思想とは違ったものでしょう。
 
 問題発言も多いトランプさんですが、何はともあれ、アメリカは世界の覇権国で、自らも世界のリーダを自認している国です。本当は「アメリカ・ファースト」でなく「 NGR」の精神を強く主張してほしいところですが、当面望み薄のようです。

 アメリカの瀬戸際政策がどういう結末を迎えるのか、全くわかりませんが、この経験が、アメリカを、そして世界を、より高次な世界の共生の在り方に少しでも近づけていく事を願うばかりです。

分裂指向と統合指向:社会の安定に役立つのは?

2017年09月19日 12時52分57秒 | 政治
分裂指向と統合指向:社会の安定に役立つのは?
 安倍政権は、いよいよ総選挙を選択するようです。ついこの間までは、支持率が急落して、とても選挙どころではないといった様相でしたが、人の噂も75日という事なのでしょうか。支持率の回復してきたようです。

 マスコミも、森友、加計の問題も大事ですが、先ずは北朝鮮問題に注力しなければならないでしょう。
 トランプさんの北朝鮮挑発が、また度を越しているので、北朝鮮の窮鼠度は益々高まるようです。臨界点はどこだなどという議論も聞かれます。

 ミサイルが頭上を通過する日本は、アメリカの驥尾に付していて、一旦緩急あれば、いったい国民はどうすればいいのか、安全な建物や地下がいいなどと教わっても、ミサイルの到着する方が早そうです。

 そんな状況を見すまして、安倍政権が、「総選挙、やるなら今」と決断したのでしょう。通常国会で、また、森友・加計問題を蒸し返されたのではたまらないという気持ちも強いのでしょう。

 折しも政権には都合よく、最大野党の民進党は、国民の負託に応える事よりも、自らの都合を優先するような方もおられるようで、傍目に見ても大丈夫ですかといいたいような状態という事であれば、政権与党にとっては、まさに好都合でしょう。

 更に、都議選で圧勝した都民ファーストの会も、国政に進出するのにはそれなりの準備期間がかかるとなれば、今以外にチャンスはないと考えても当然でしょう。

 選挙で勝ったら、何をしようというのでしょうか。「国民のために」憲法改正をやろうというのでしょうか。

 選挙に勝つために解散の時期を決めるのも、自分の主張を通すために小党を乱立させるのも、いわば「自己都合」で、国民のためになる政治をやろうという「大志」とは些か異なるように思われてなりません。

 確かにこの所、戦後、地球市民が目指してきた、「統合と共生の論理」に勝手な不満を持つものが増え、 世界も分裂の方向に後戻りする雰囲気が出てきています。
 これは、歴史的に見ても、進歩ではなく現状不満という短期的視点による「退歩現象」と感じられます。日本の国内政治は、その波に乗る必要はないと思うのですが。

 民主主義は多数決が原則です。分裂指向で多数を取ることはどう考えても不利でしょう。企業でも、不満を強調して企業を割るより、良き経営理念のもとに団結、協力する方が優れた経営体というのが常識だと思います。

 宮澤賢治が「ポラーノの広場の歌」で書いています。
「まさしき願いにいさかうとも、銀河の彼方に共に笑い」
 求める世界が同じであれば、争いも協力のための準備活動でしょう。

 地球社会の国際的組織でも国内政治組織でも、分裂指向は結局は衰退への道と歴史は教えてくれています。その点、今は与党の方が頭が冴えているようです。

ゴーヤ、ゴーヤ、ゴーヤ

2017年09月18日 15時15分27秒 | 環境
ゴーヤ、ゴーヤ、ゴーヤ

  

 先日、狭い花壇が ショウジョウソウ(猩々草)であふれているとご紹介しましたが、その一番西側の隅に、実はゴーヤが生えてきていました。昨年、「 ゴーヤと名月」の写真(ゴーヤの葉と名月でした)を載せましたが、矢張り昨年のゴーヤの中に、熟して花壇に落ちたのがあったようで、この春、ホームセンターにゴーヤの苗を買いに行こうと思っていた時、それに気が付きました。

 ゴーヤは多分実生でも元気に育つのだろうと思っていますので、少し伸びたところで、ベランダまで3本の縄を張って、からませてやりました。

 最初3本に分かれていたゴーヤは、互いに絡み合って、結構な日よけになり、今日などの強い日差しを遮ってくれています。伸びるのも結構早く、ベランダの手すりまで届き、ベランダ栽培のミニトマトやナスといっしょに2階から収穫したりしていました。

 いろんな方と話して見ると、ゴーヤは健康食品で、それぞれ得意な料理法もあるようで、ゴーヤ好きの方は結構多いようです。家内がお世話になる診療所の看護婦さんは「私大好き」などと喜んでくれるそうです。子供たちも来ると採っていきます。特に娘はそのためによく来るようです。

 そんなところへ昨日の台風18号の襲来でした。強風になったら、これで今年はゴーヤも終わりかな、などと思っていましたが、今朝起きてみると、葉は少しよれていましたが、大方は無事で、午後になると、よれた葉も元気になって、ひと安心といったところです。

 頑張ってくれたゴーヤに感謝して、写真を撮って、ブログに飾ります。 

政府は国民の指導に走るのか

2017年09月17日 13時15分11秒 | 政治
政府は国民の指導に走るのか
 アベノミクスや一億層活躍など、ネーミングは格好いいが、中身は良く解らないスローガンを多発して頑張ってきた安倍政権ですが、今回は「人づくり革命」というスローガンをメインに据えるようです。

 スローガンがコロコロ変わるのは、今迄のスローガンが実は不発で、何か新しいのを出さないと国民がついてこないという危機感からでしょう。
 今回の「人づくり改革」は経済復興大臣が担当という事ですが、矢張り目標は日本経済の復興で、そのための手段として、日本国民の考え方や行動を革命的に変えていこうという事なのでしょうか。

 それならば、経済再建を第一に掲げたアベノミクスを進めていけばいいのですが、残念ながら、アベノミクスの成功は、突如の異次元金融緩和で国際金融資本にショックを与え、円安を実現した第1弾だけで、あとは失敗という評価が定着してしまったようです。

 という事で、今度は、経済を押し上げるのは人間の努力だから『人づくり』が重要という事になるのでしょう。それ自体はそれなりに結構なことでしょう。
 もともと日本経済を発展させた「日本的経営」は「人間中心」で、日本経済の発展は日本人の世界に知られた生真面目さが支えてきたことは明らかです。

 日本経済が、世界に冠たる経済成長を成し遂げ、それをやっかむアメリカを始めとした主要国が、 プラザ合意で円レートを2倍に切り上げ日本経済潰しを図っても、これも生真面目な努力で時間をかけて克服、常に、「何かあれば円買い」といわれるような信用ある経済を維持してきている日本です。

 プラザ合意がなければ、 今の日本のGDPは800兆円に達しているとの試算も可能な、日本人と日本経済ですから、日本人をどうするというより、日本の経済外交をどうするかを考えることが本当の政府の役割でしょう。

 しかもあまり言いたくないことですが、信頼し合う友人関係を簡単に憎しみの関係に変えてしまうようなことを平然とやるような人から「人づくり」などという言葉は聞きたくないというのが多くの人の心情でしょう。

 「人づくり革命」の中身には「人生100年の生き方」なども入っていて、外国人のアドバイザーが目玉のようですが、みんなが100歳生きるかどうかは別として、自分自身の生き方を政府に指導してもらわなければならないほど、日本人は情けないのでしょうか。

 政府の役割は、与えられた人生を生真面目に生きる日本人に、出来るだけ良好な活躍のための「環境」を整備し提供できるよう、それこそ日本人らしく生真面目に努力することではないでしょうか。

日本的経営と同一労働・同一賃金 -蛇足-

2017年09月16日 11時03分15秒 | 労働
日本的経営と同一労働・同一賃金 -蛇足-
 昨日は多くの方にお読みいただいて有難うございました。もうご理解いただいていると思いますが、改めて蛇足をつけさせていただきます。

 正規社員の賃金は企業内の労使の賃金協定やその企業の就業規則で決まっています。それは賃金体系として初任給から定年再雇用まで一体の体系として決めています(そして毎年それを春闘で改定する)。

 一方、非正規の賃金は職種と地域のマーケットで決まります。単純な仕事の賃金は低く、技能労働力なら高く、高度専門職の契約社員などでは、役員クラスのレベルにもにもなります。

 こうした二種類の賃金システムに属するものを、偶々今やっている仕事が同じようなものだから、その時点で賃金を同じにしろと言っても、それでは、それぞれの賃金体系や賃金システムが成り立ちません。
 もともと正社員同士で、同じ仕事をしていても、入社年次で差が出ることは、賃金協定、就業規則で決められているのです。

 ですから、以前から日本では「今働いている職場での、同一労働・同一賃金は成り立たない」というのが、ほとんどの労働経済専門家共通の意見です。
 例えは些か問題ですが、例えば、「人の価値は棺を覆いて定まる」といいますが、日本の正社員の賃金は、その人が定年まで仕事をして、その間の会社への貢献の総量に対する報酬として(退職金も含めて)、その会社での職業生活を終えて、その時点で(同一貢献・同一報酬)として定まるようになっているのです。

 勿論現実にきちんとそうなっているかどうかはわかりません、しかし、正社員を希望する人は、そうした「規範」を納得して受け入れて、正社員を希望して入社し、仕事をしているのです。これが「人間中心」の日本的経営の現実です。

 日本的経営に関しては、このブログでも、いろいろな面から書いてきていますが、現政権は「日本的経営」についての本格的な理解は殆ど無いようで、欧米流が優れているという「舶来崇拝」を脱せず、見当違いの政策を多く出しているので、産業界全体、また労使関係の中でのトラブルを多発させそうで、また、ひいては日本企業、日本経済の成長力にもマイナスの影響が出るのではないかと心配している方も多いのではないかと思います。
 
「 日本的経営と国会論議」
「大卒就活ルール:大問題の日本、問題にならない欧米」などでも、日本的経営の無理解が目立つように思います。

日本的経営と矛盾する同一労働・同一賃金

2017年09月15日 15時11分15秒 | 労働
日本的経営と矛盾する同一労働・同一賃金
 ―政府はどこまで固執するのか―
 日本郵政の契約社員3人が、正社員との手当や休暇制度の格差の是正を求めて合計738万円の支払いを日本郵政に求めていた訴訟で、東京地裁から92万円の支払いを命じる判決が出されました。

 日本郵政では、公務員時代の名残りでしょうか、いろいろな手当てがあるようですが、判決では年末年始勤務手当と住居手当、それに夏季冬季休暇、病気休暇について、それらが契約社員に与えられないことは不合理としたようです。

 一方、3人の契約社員が正社員と同じ地位にあることを前提にした格差の是正については否定されたようですが、原告側は控訴の意向のようで、今後、政府の同一労働・同一賃金との整合性が問われる場面も出てくるのかもしれません。

 ところで、このブログでは、一貫して、日本社会の伝統文化の中で仕事をしている日本企業においては、欧米の文化の中で仕事をしている欧米企業とは、大きく異なる「仕事と人間の関係」が成立してきており、それに対する理解がないままに、形式的な同一労働・同一賃金を合理的だとしようとしても、現実問題として混乱を主すだけと指摘してきています。

 根本的な点を1つ指摘すれば、それは、日本企業は「企業を形成するのは人間で、人間が仕事を分担する」と考えているのに対し、欧米企業は「企業は職務の集合体で、その職務に適した人間を採用する」と考えているのです。

 つまりは、日本の経営は人間中心で、欧米の経営は職務中心なのです。日本的経営では人間は「多能」であると考え、欧米では「単能」で良いのです。
 したがって、日本企業では、技術革新などで、仕事がなくなれば、従業員には新しい仕事についてもらいます。欧米では、その仕事をしている従業員は解雇し、新しい仕事の出来る従業員を採用します。

 具体的にイメージしにくいという事であれば、欧米型経営と同様な部分が日本企業の中にもあります。その雇用形態、賃金制度を考えてください。
 それが「非正規社員」です。その仕事のできる人を雇う、仕事がなくなれば解雇、待遇は仕事で決まっている。どの企業をみても、待遇の差は殆どない。時間と技能の切り売りの世界です。

 日本の正社員は、「企業にそのメンバーとして参加」して、その企業とともに苦しみ、ともに喜ぶという「人間集団」の世界です。正社員は企業の血肉、企業そのものの一部なのです。

 日本と欧米のこの違いを理解しないと日本の人事制度、日本的経営は構築できません。しかし、欧米型の、企業と自分は、常にドライな関係がいいという日本人も、次第に増えてきています。

 ですからこのブログでは、正社員がいいと思う方は、企業は原則正社員になってもらいましょう、非正規希望の方は非正規でどうぞです。 
 正社員の待遇は個々の企業の雇用、人事、賃金制度で決めます。非正規希望の方については、待遇は、基本的に地域のマーケットで決まりますから、欧米流の「求人広告」でご覧ください、というのが、基本原則になるような形が最もいいのではないかと考えている次第です。

日本的労使関係で現状打開を:労使関係の現場力の重要性

2017年09月14日 14時50分38秒 | 労働
日本的労使関係で現状打開を:労使関係の現場力の重要性
 今日も北朝鮮は無音のようです。どんな行動に出るのか、北朝鮮の知恵が問われています。おそらく水面下ではいろいろな事があるのでしょう。平穏を願うばかりです。

 健全さを取り戻しつつある世界経済の先行きのためにも平穏が最高の贈り物ですが、同じことが日本経済にも言えるでしょう。
 余計なことを気にせず、日本の経済や経営について考え行動していけることが望ましいと思いながら、この所の企業労使と政府の姿勢について、特に、動き始めた「働き方改革」の問題を論じなければならないと思っています。

 この問題は、「人間と仕事」という大変大きな問題ですから、広範な視点で、時間をかけて、当事者である「労使」が自主的に論じなければならない問題だと考えていますが、現状、残念ながら、ほとんど政府主導で進められようとしています。

 政府は連合が提起しその後撤回した意見の内容をそのまま取り入れ、政府案としているようですが、働き方改革を実際にやるのは労使です。労使が十分に意見を出し合い、問題を論じつくして、合意したものが法律制度に反映されるというのが、こうした問題のスジでしょう。

 いくら政府が「決める政治」と頑張っても、当事者の合意も無視して勝手に決めたのでは、結果が出ないことは目に見えています。「決める」というのは、それが現実に役に立ち、効果を発揮する内容のものを決めて、初めて本当に「決めた」ことになるのです。

 折りしも世の中は人手不足で、産業・企業の現場は大変です。こういう時ほど、労使が合理的に協力し合わないと成果は上がってこないでしょう。
 企業は従業員が働きやすい環境や条件を考えようと努力し、従業員は積極的に自分たちのより良い働き方についての意見を経営側に伝え、十分に論議し、納得して協力する体制を作ることが、そのための原点でしょう。

 戦後の日本の労使関係は、政府が出来るだけ口を出さず、労使紛争においても、労使の自主的な決定に持っていくように仕向けることで、世界に冠たる労使の信頼関係、いわゆる日本的労使関係へと成熟して来たことは、多くの研究が指摘している通りです。

 残念ながら、「失われた20余年」の中で、それまでの経験と学習が労使双方で途切れ、潤滑油が切れた様な労使関係が目立つようになったのが現象的には「ブラック企業」といった形で表れたという事ではないでしょうか。

 これは、言い方を変えれば、「労使関係における労使の現場力が低下した結果」ということが出来るように思われます。労使関係は、昔からよく夫婦関係に例えられますが、、基盤をなすのは相互の信頼関係という点が共通だからでしょう。

 「現場力」の低下の問題は生産現場、作業現場、労務管理の現場等々だけではなく、労使関係の現場でも十分留意される必要があるように感じられます。
 労使双方の「労使関係における現場力の再構築」が無ければ、いくら働き方改革で政府が旗を振っても、成果に辿りつくのは難しいように思うのですが、どうでしょうか。

当面の好調裏付ける「法人企業景気予測調査」

2017年09月13日 15時58分31秒 | 経営
当面の好調裏付ける「法人企業景気予測調査」
 財務省の「法人企業景気予測調査」の7-9月期調査が、今日9月13日発表になりました。四半期ごとに、当面の景気認識を聞き、売上、経常利益、設備投資などの予想については、年度と上期、下期に分けて具体的な数字で、企業の意識を聞くもので、実績の統計である「法人企業統計季報の」予測版という所でしょうか。

 景気についての企業の最近の感覚が知られるという意味で、見ておくべき調査でしょう。
 今回の調査では、今年度上期については、企業、特に製造業はかなり強気なことが分かります。

 まず「貴社の景況」という所ですが、ここでは四半期別に、今年度末(平成30年1-3月期)までの景況判断を聞いています。

 景況は、BSI:「良いと答えた企業の割合から「悪い」と答えて企業の割合を引いた数字」で示されていまして、回答を見ますと、大企業、中堅企業は、来年1-3月期まですべてプラスになっています。プラスの幅は、ほぼ5%から10%と順調です。

 中小企業の景況判断は、何時もあまり良くないのですが、今回は、10-12月期については、製造業、非製造業とも(当然全産業も)数字は1桁ですがプラスになっています。 

 具体的な経営数字の伸び率予測では、先ず、売上高の伸びについて見ますと、今年度内はすべてプラス見通しです。
全産業: 年度2.1%、上期2.6%、下期1.6% 
製造業: 年度3.5%、上期4.1%、下期2.9% 
非製造業:年度1.5%、上期 2.0%、下期1.1%

 経常利益の伸びについて見ますと、上期好調、下期多少不安でしょうか。
全産業: 年度0.6%、上期6.4%、下期▲4.5% 
製造業: 年度3.5%、上期22.6%、下期▲10.5% 
非製造業:年度▲0.7%、上期 0.3%、下期▲1.6%

 経常利益についての見通しは、上期好調、下期不調といった感じですが、要因としては、製造業の上期が良すぎること、下期の減益は、売り上げは伸びているので、原材料(資源価格)などのコストアップでしょうか。また全産業と非製造業では経常利益の場合は金融・保険業が入っているのでるので、 金融保険業のマイナスが響いているようです。

 統計自体は、製造業、非製造業の内部の産業まで数字が出ていますから、統計表を見れば、産業中分類の動きも見られますが、産業全体の現状の感覚としては、当面好調だが、先行きはいろいろ不安定要因があって、厳しくみておきたいという事ではないかと感じられます。

 不安定要因としては先行きの見えない国際関係(米朝関係は勿論、アメリカの経済政策の行方、製造業では資源価格の動向などもあるでしょう。また何よりも、円レートの不安定(円高傾向)が常に心配されるところです。

 日本経済自体としては、企業の態勢も次第に安定しつつあり、一方で、消費需要に何となく動意も見られるように思われ、安定成長路線への接近の予想されるところですが、国際関係、国内政治、それに連なると思われる金融政策などの予測不能(「想定外」事態の発生)の不確かな要素が多く、それに振り回される企業経営には大変難しい世の中という事でしょう。

 経済を取りまく諸情勢の早期の安定を企業と共に強く望むところです。

対北朝鮮、新たな課題へのアプローチは?

2017年09月12日 10時45分17秒 | 国際関係
対北朝鮮、新たな課題へのアプローチは?
 9月11日と期限を切った、対北朝鮮の国連安保理決議も、アメリカの修正案提出で、何とか最悪の事態は回避されるような見通しのようで、ひとまず安心という事になるようです。

 正直なもので、為替も株価も、世界中一安心といった動きを示し、矢張り経済も、何はともあれ、平和が望ましいという意思をきっちり示しているように思います。

 石油の禁輸が如何に一国経済に決定的な影響を与えるかという問題は、日本が「キレ」た昭和16年当時より、今日の方が一層深刻の度合いは強いと思われますが、量的制限という方向で、北朝鮮が、最終的にどう反応するかが、大変大事な問題になるのでしょう。

 アメリカが土壇場で、決議案の修正に応じたというのは、覇権国アメリカとして、人類世界の在り方に責任を持つという「 NGR」の立場からは、それなりに評価すべきでしょうし、あとに残る問題は、これも大きいにしても、破局を回避することが先決という視点からは広く望まれていたところでしょう。

 後に残る問題が大きいという事に対しては、これからの世界主要国の在り方とともに、それに反応する北朝鮮の態度が決定的に重要です。
 すでにドイツのメルケル首相からは、積極的な仲介の意思表示が出されていますが、世界の多くの国の善意に支えられて、北朝鮮が核戦力だけが国を支えるといった考え方から次第に脱却することになるのかどうかが、世界にとって大きな課題になるのでしょう。

 地球社会にとって、もしかすれば、今後も起きるかもしれないこうした困難な問題に、国連安保理、世界の主要国、さらには世界の多くの国々が、如何に対応できるかが、これから、改めて試されていくのではないでしょうか。

 この問題が立派に解決できれば、人類は、地球社会の平和維持についての、極めて貴重で、大変大きなノーハウを得る事になるのではないでしょうか。

 
 











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