☆クリスマスケーキの予約注文は増えている

コンビニのクリスマス商戦が、早くもラストスパートを迎えている。

聖夜を盛り上げるクリスマスケーキのカタログ予約注文が、
12月17~19日ごろに終了するからだ。
「チキンと合わせてケーキの予約どうですかー」と、店員たちの声も高まっている。

ただ、クリスマスを中心とした催事ケーキの2017年の市場規模は
596億5000万円で前年比97.5%(2017年・富士経済調べ)と、
ここのところ縮小傾向にある。

世帯人数が減って、小さめのケーキが好まれるようになった、
ふだんからケーキを食べ慣れた消費者が増えた、
“ハレの日需要”が薄れたなど、催事ケーキ市場が縮小した理由は、いろいろと考えられる。

にもかかわらず、「クリスマスケーキの予約注文は、伸長しています」
と話すのは、セブン‐イレブン(以下セブン)・スイーツ開発担当の櫻井宏子さんだ。

ローソンやファミリーマート(以下ファミマ)にも聞いたが、答えは同じだった。

なぜ逆境の中、コンビニのクリスマスケーキは売れているのか。
大手3社が仕掛けた戦略から、クリスマスケーキのトレンドを考察したい。


☆少人数用のケーキが人気

「最近は、少人数で召し上がれる、小さめのケーキやアソート(詰め合わせ)ケーキが人気なんです」

「シャトレーゼ アソートデコレーション」は大人気で完売間近だという(写真提供=セブン‐イレブン)

セブンのスイーツ開発担当の櫻井宏子さんはそう言う。
2017年の売れ筋には、以下の3つのポイントがあった。

・イチゴが華やかなケーキ
・小さめの4号ケーキ
・アソートや個食用のケーキ

これに加えて、「クリスマスケーキを予約する7割は、
購買の決定権を持つ30~60代の主婦」という自社データから、
2018年のケーキのラインアップを決めていったという。

「2~3人向けの4号ケーキが好評なのは、世帯の人数が減ったこともありますが、
『あれこれシェアして、好きなものを食べたい』というニーズの高まりでもあると思います」(櫻井さん)

セブンのクリスマスケーキといえば、
デザート専用工場で作る「クリスマスかまくら」(2500円)というドーム型のケーキが定番だ。
真っ白いシンプルなビジュアルの中から、コク深いカスタードババロアが顔を出す斬新さにハマったスイーツ好きは多い。

「一番人気のケーキです。今年はいつも以上に売れている」(櫻井さん)

栗好きにはたまらない「銀座コージーコーナー 和栗のモンブラン」(写真提供=セブン-イレブン)

そのほか「銀座コージーコーナー 和栗のモンブラン」(2990円)や
「シャトレーゼ アソートデコレーション」(3250円)といった新顔も好調だ。

「定番を押さえつつ、もう一つ違うケーキにもチャレンジしてみたいという心理があるのでは」(櫻井さん)

今年のカレンダーでは、12月24日が祝日で3連休になっている。
土日を含め、家族や仲間と「3日連続クリスマスパーティーだ」という人もいるだろう。

そうした今年ならではの購買スタイルを想定し、
女性に強い「シェアして食べるニーズ」に応じたバリエーションの拡大が奏功している。

              

☆2000円台のケーキを増やしたファミマ

実は「ケーキのバリエーションを豊かにした」という戦略は、
ファミマもローソンも変わりない。

だが、ラインアップからはそれぞれ個性がみえる。

「主力商品をリニューアルして強化しつつ、2000円台のケーキを増やしました」
というのは、ファミマのスイーツ開発担当の三木春香さん。

世帯人数の減少や、クリスマスの楽しみ方自体が多様化してきたことから、
セブン同様「小さめケーキ」や「アソートケーキ」が売れることは、リサーチ済みだ。

そのうえで「お求めやすい価格」にも、こだわったという。
理由は、ファミマが「ファミリー(仲間)みんなで、わちゃわちゃ楽しむクリスマス=ファミクリ」を
今年のクリスマスのテーマにしているからだ。

☆有名パティシエとのコラボケーキも人気

身近な店のコンビニに、格式ばった雰囲気を求める消費者は少ない。
それはクリスマスも同様だ。
コンビニの武器は、おいしさに加えて、カジュアルさや驚き。

そのうえコスパが良ければ、いうことはない。

看板ケーキの「ミルフィーユ・シャンティ」(画像提供=ファミリーマート)

好調なのは、昨年同様、看板商品の「ミルフィーユ・シャンティ」(4~6人向け・3200円)だという。

「イチゴショートケーキが定番という市場の中で珍しいミルフィーユです。
シュガーコーティングしたさくさくとしたパイ生地が自慢。
リピートされる方が多いんです」(三木さん)

ほかに、ケンズカフェ東京監修の「ショコラケーキ」(2800円)や
上林春松本店監修の「抹茶のクリスマスケーキ」(2500円)といった、
有名パティシエとコラボした「本格派」を選ぶ人も多い。

百貨店や専門店なら、5000円オーバーが当たり前というようなゴージャスなケーキが
2000円台なのだから、経済観念にたけた女子会などでウケているのだろう。

また子どものいるファミリーには、
どでかいプリンが載った「プリン・ド・ガトー」(2300円)など、ユニークなケーキも人気だったという。