御座成(おざな)りは当座の間に合わせ・・という言葉だが、分析すれば面白いことが分かってくる。真意は、いい加減なことでその場を逃れようとする背信行為を指す。おざなりの[な]を[お]の前に移動すれば[なおざり]となるのだが、意味は異(こと)なり、大事なことを手を付けずにそのままにしておく意となる。要は、おざなりは、なおざりではないっ! ということだ。^^
とあるサッカーの試合で痛めた右足の捻挫(ねんざ)を病院へも行かずシップ薬で冷やして御座成りにしていた不精(ぶしょう)は、そのまま放置し、半月ばかりなおざりにしていたため、益々(ますます)悪化させ、代表選手から外(はず)されてしまった。
「どうして、こんなになるまで放っておいたんですっ!!」
担当した外科の医者は不精の腫(は)れ上がった足を一目(ひとめ)診(み)て真っ赤な茹蛸(ゆでだこ)のような顔で怒った。
「私は不精ですから…」
美味(うま)そうな蛸だな…と思いながら、不精は冷静に答えた。
「あなたが不精さんだとはお聞きしました。だから、なぜ放っておいたんですかっ!」
少し冷静さを取り戻(もど)した医者は、ふたたび訊(たず)ねた。
「いや、だから不精ですから…」
「分からないお人だっ!」
「分からないのは、アンタだっ!」
「医者に向って、アンタとはなんですっ!」
会話が売り言葉に買い言葉となった。
「…アンタだから、アンタと言ったんだっ! …シップで御座成りにしといたんですよっ! こう言や、分かるでしょうがっ!」
「そういうのを、なおざりって言うんですよっ!」
「… ? 御座成りは、なおざりなんですか、先生?」
「いや、私は医者ですから、そういうことは…。まあ、ともかく治療をしましょう!」
医者は意味の違いに自信がなく、言葉を濁(にご)した。
「はい、お願します…」
分析の結果、御座成りとなおざりは、泳がず楽をする? ^^ 魚のヒラメとカレイの関係に似ているようだ。^^
完