人は生きる間に様々(さまざま)なプラス[+]効果とマイナス[-]効果を世の中に与えている。むろん、本人はそのことに気づかず諸事を行って生きているの訳だが、その詳細を分析してみることにしたい。
例(たと)えば、人が働く・・これは当然、プラス効果になることは誰も否(いな)めないだろう。働けば当然、腹も減る。で、食べることになる。マイナス効果だ。これは一例だが、人はこのようにプラスとマイナスの効果を与えながら生き続けている訳だ。要は、生産がプラス効果、消費がマイナス効果・・と捉(とら)えれば分かりやすい。さらに、その順序も重要だと分析できる。例えば、物事を完成させてから食事をする場合と、まあ、食べてからにするか…とか、ちょっと休憩して続きを…と考える者とでは、効果はどちらも同じに見えるが、結果は大いに違ってくるのだ。片方はすでに完成されて食べている。もう片方は完成されずに食べている・・ということだ。これを簡単に説明すれば食べ終わったとき、前者は[+]+[-]=0であるのに対し、後者は[-]+[-]=-2と効果がなっている訳である。完成されずに食べ終えた者が、その後、完成したとしても、効果は-2+1=-1なのである。これが、手順前後による結果の大違いとなるのである。
とある下町の生活場面である。煎餅(せんべい)職人の父親が一生懸命、地道に煎餅を焼いている。
「父ちゃん、風呂が沸いてるよっ!」
「おっ! すまねぇ~な。ははは…だがなっ、今、父ちゃん、手が離せねぇ~から、お前、先に入っちまえっ!」
父親は仕事を終えてから、風呂で疲れを取ろう…とプラス効果で考えた。子供は、父ちゃんは疲れてるから、先に入ってもらおう…と、これもプラス効果で考えた。この家庭では、この時点でプラス2の効果を生み出していたことになる。
「あんたっ! 今夜は、好きな小芋の煮っころがしだよっ!」
そこへ、母親が父親の気分をよくするプラス効果の声を台所から響かせた。
「おっ! こりゃ、いいやっ!」
母親のプラス効果で、プラス3の効果がこの家庭で生じたことになる。効果がプラス3ともなれば、これもう、円満な笑いが起こらぬはずがない。事実、その後の夕食は、親子三人の笑い声が絶えなかった。
この世では、マイナス効果を減らすプラス効果を出来るだけ生み出せば、人は幸せに生き続けられる・・というのが分析結果である。「あんさん、仕事のわりによう食べやはるなぁ~」と言われるマイナス効果は、どうなんだろう? と思えるのだが…。^^
完