諦(あきら)めの悪いヤツだっ! などと、よく言われる。この諦めるという四方山話(よもやまばなし)を今日は書いてみようと思う。十三年以上も書いてるが、その年で小説家にでもなるつもりかっ! もう年だろっ! と叱責(しっせき)される方もおられるだろうが、私はとっくに諦める前提でボケ封じに書いている…と思っていただいて結構です。^^
とある小さな工務店である。
「ったくっ! 諦めろと言っただろっ! うちと先方(せんぽう)さんじゃ、どう足掻(あが)いたって釣り合いが取れねぇ~んだからっ! 釣り合いがなっ! 釣り合いなんだぜっ!」
「親方、そう釣り合い釣り合いと言うこたぁ~ないんじゃないですかいっ! 瓢箪(ひょうたん)からコマ・・ってこともあるんですからっ!」
「馬鹿野郎! おめえの場合はなっ! 瓢箪にコマが詰まっちまって、出てこねぇ~んだよっ!」
弟子は、そこまで言うんかいっ! とは思ったが、そうとも言えず、グッ! と我慢した。そして、今に見てろよっ! と、片手の拳(こぶし)を握りしめ、諦めるもんかっ! と、固く決意した。この弟子が決意したのは、一端、大手工務店に取られた契約の一件だった。なにがなんでも取り返すぞっ! と決意したのである。それは、日参した豪邸の持ち主である施主(せしゅ)から任された契約だったから、いとも簡単に大手工務店に取れたのは、どうしても納得できなかったのである。
その次の日から、仕事終わりの夕方、その弟子の姿が豪邸の玄関に垣間(かいま)見られた。諦めるかっ! という執念とは恐ろしいものである。一念、的(まと)をも射貫(いぬ)く・・で、見事、ひと月後、大逆転の結果を生んだのだから、諦めるのはやめよう! という話になる。^^
「やるじゃねぇ~かっ!」
親方からのお褒(ほ)めの言葉は、そのひと言だけだったが、弟子はそれで十分に満足だった。
皆さん、この世を去るまで、諦めるのはやめましょう! 今日の十四話は、そんな四方山話でした。^^
完