自分は周(まわ)りの人と比較して違和感がない…と意識するのが私達、日本人の特徴と言われる。誰が言ったのか? までは知らないが、まあ、そのようだ。^^ この感覚は、それなりに…と呼ばれ、周りの人に自分が馴染(なじ)んでいるか? を見定める尺度となる。外国では、この感覚が希薄で、人は人、自分は自分・・という考え方が定着しており、余りそれなりに…感覚はないようだ。気にしないようにはしているが、やはり、それなりにと気遣(きづか)う気分が、私もなくはない。^^
とある会社のとある課である。給料明細が課員に配られたところだ。隣り合ったデスクの二人が話している。
「どうだいっ?」
「…なにがっ?」
「給料、増えたか・・ってことだよっ!」
「よく言うぜっ! 先月も訊(き)いたじゃないかっ! ひと月で、そんなに変わるかっ!」
「ってことは、それなりに…ってことか?」
「ああ、それなり、それなりっ!」
「そんなに、むきにならなくてもいいじゃないかっ!」
「べつに、むきにはなってないさっ! それなりは、それなりなんだから、しょ~がねえだろ? そう言うお前は、どぉ~なんだよっ?」
「俺か~~っ!? 俺は、いつだって、それなりっ! それなりの神様のようなもんだ。それなりに貰(もら)えないと、住宅ローンで一家心中だからなっ!」
「ああ…。お前とこは、それがあったな?」
「それなりに支払うローンがなっ!」
その後、二人は沈黙した。
庶民に覆(おお)い被(かぶ)さるそれなりの負担は、それなりに負担しなければならず、経済が低成長の昨今(さっこん)、それなりに辛(つら)いのである。^^
今日の二十六話は、庶民生活のそれなりを描いたそれなりの四方山話(よもやまばなし)でした。^^
完