水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

四方山(よもやま)ユーモア短編集 (16)突発的(とっぱつてき)

2021年09月13日 00時00分00秒 | #小説

 仕事を終えた枯野(かれの)は、やれやれ、これからひと息つくか…と、家の台所で渋茶を淹(い)れ、啜(すす)りながら思った。のちになって、よくよく考えれば、ひと息つくか…と思わなければよかったのである。^^ だが、枯野は小一時間も辛(つら)い作業をしていたから、すっかり疲れていた。これが思った理由だが、こういうときに限って突発的(とっぱつてき)なハプニングは起こる・・としたものだ。現に、渋茶をふた口、啜ったとき、突発的に家の庇(ひさし)がガシャッ! と大きな音を出して崩れたのである。これはもう、ひと息つくどころか、ひと息もつけない状態になってしまったのだ。この前の台風で、かなり接合部がダメージを受け、弱っていた・・ということもある。
「今かよっ!!」
 枯野は思わず愚痴っていた。だが、愚痴っても、修理せず、放っておく訳にはいかない。枯野はひと息もつけず、庇を修理し始めた。すると、突発的に小腹が空(す)いてきた。
「今かよっ!!」
 枯野はカップ麺を啜り、電気ドリルで穴を開け、ふたたびカップ麺を啜り、インパクトドライバーでネジ釘を回し打ち、そしてまたカップ麺を啜るという動作を繰り返した。すると、どういう訳か、突発的に腹が痛くなってきた。
「今かよっ!!」
 枯野は、またまた愚痴りながら、トイレへ駆け込み、用を足した。枯野はトイレの便座に座りながら、最初の仕事で汗をかき、それを拭かずに腹を冷やしたからか…と、突発的に思った。
 このように、突発的な出来事は、心身ともに私達の生活の中で往々にして起こり得るのである。
 皆さん、努々(ゆめゆめ)、油断することなく日々を過ごしましょう。突発的な出来事は、あなたを狙っているのです。^^
 今日の十六話は、突発的な四方山話(よもやまばなし)でした。^^

                   完


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