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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

四方山(よもやま)ユーモア短編集 (20)これ以上はっ!

2021年09月17日 00時00分00秒 | #小説

 これ以上はっ! という場合がある。十八話、十九話のように意気込んだとしても、これ以上はっ! と躊躇(ちゅうちょ)する危険な場合である。この場合の判断は各人によって異(こと)なるが、━ 君子(くんし)、危(あや)うきに近寄らず ━ の格言が示すように、リーダーや指揮する立場にある人々は、撤収(てっしゅう)を計(はか)った方が無難だということに他ならない。やり過ぎて、元も子もなくなれば、先々に禍根(かこん)を残すことになる訳だ。私も、物を壊(こわ)しそうになった場合、これ以上はっ! を心がけています。^^
 十九話で登場していただいたフツゥ~家庭の朝食後である。日曜だからバタバタと通勤時間に追われることもないご主人は、朝食後の口の残滓(ざんさい)をシーハーシーハーとさせながら、また呟(つぶや)いた[よく呟くご主人である。^^]。
「どれどれ…」
 そう呟くと、電動ノコ[鋸]を動かし、板を器用に切り始めた。
 その後、調子よく作業は進み、組み立てのクライマックスが近づこうとしていたその矢先である。
「おやっ!?」
 ご主人は、ふたたび呟きながら、訝(いぶか)しげに首を傾(かし)げた。どうしても一枚、板が足りないのである。このまま釘(くぎ)打ちすることも出来るが…と思ったご主人は、徐(おもむろ)に腕を見た。昼が近づいていた。昼からは楽しみにしているテレビのクイズ番組がある。ご主人は、これ以上はっ! …と思ったのか、作業を中断し、撤収した。V録していない以上、この作業を続ければ観損じる危険性を感じたのである。
「まあ、いいか…。来週の日曜にしよう!」
 ご主人は道具を片づけ、ガラクタ(失礼っ!^^)を小屋へ収納すると家の中へ撤収した。
 これ以上はっ! という場合も、軽い場合から深刻な場合までいろいろある・・という二十話の四方山話(よもやまばし)でした。^^

                  完


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