代役アンドロイド 水本爽涼
(第69回)
山盛教授と後藤の間を裂く形で加わり、手出しした但馬がしばらくローラ部品を弄(いじく)った挙句、ニタリと笑う、したり顔をした。
「ちょろいもんです。これで、上手くいくと思いますよっ!」
但馬は自信満々である。
「大丈夫なんだろうね、但馬君」
山盛教授にしたって、やはり教授としてのプライドがある。いとも簡単に修理されては、自分のやってたことは何だったんだ! ということになるし、三人…いや、沙耶を混ぜれば四人? に対するメンツが丸潰(つぶ)れなのだ。だから、渋顔で教授は但馬に確認をしたのだった。
「ええ、大丈夫です」
但馬が言い切ったからは、かなりの自信があるんだろう…と、保は思った。ところが、である。
「それじゃ、電源を頼むよ、後藤君」
教授の見守る中、但馬は後藤に命じた。
「分かりました」
後藤は言われるまま電源をONした。その途端、シュパッ! と閃光が走り、ブレーカーが吹っ飛んだ。こういうこともあり得るだろう…と想定されてか、室内の電源からは区別された予備電源で研究機材の電力は賄われていた。だから室内はすべての電源が飛ぶことはなかった。ただ、後藤のメカは薄煙を上げてポシャっていた。沙耶も含め、全員が唖然としている。誰も語ろうとせず、しばらく、室内に沈黙が続いた。
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