水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

連載小説 幽霊パッション 第二章 (第五十一回)

2011年10月25日 00時00分00秒 | #小説

 幽霊パッション 第二章  水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
    
第五十一回
「止まれた? …ああ、動かなくなったということですか?」
「はい。自分の意志で停止出来る状態に、ほとんど戻ったそうです」
「ほう…。それは、よかった」
 佃(つくだ)教授は上山からマヨネーズを受け取りながら、そう云った。
「そうそう…。これは滑川(なめかわ)教授にも云ってもらいたいんですが、私と平林に新たな展開があるかも知れないんです」
「えっ? それはどういうことでしょう?」
「まあ、私のソレによってなんですがね」
 上山は佃教授が握ったマヨネーズを指さした。
「これですか。これが、どういう展開を?」
「ええ…。ですから、平林で効いたマヨネーズを私が口にして、果してどうなるか? という展開ですよ」
「と、いいますと?」
「私が平林を見えなくなれば、それはそれで、ひとまずはTHE END なんですが…」
「今までどおりだと、どうなるんです?」
「そこなんですよ、問題は。平林の方には新しい展開があったんですが、私の場合はどうなるのか、今は、まだ何とも云えません。っていうか、私にもその先は未知数なんですよ。だから分かっていて云えないんじゃなくって、分からないから云えない、という意味です」
「なんか、ややこしいんですね、霊界がらみだと…」
「ええ…。まあ、このことは、霊動学の教授だから云えるんですが…。普通の人に云えば、変人扱いですよ」
「ははは…、そりゃそうです」
 上山は佃教授の賑やかな笑顔を久しぶりに見た。


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