水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

楽しいユーモア短編集 (14)ルンルン気分

2019年10月10日 00時00分00秒 | #小説

 楽しいとルンルン気分になる。まあ、ルンルン気分にまでならない場合も多いが、楽しければ楽しいほど心が躍(おど)り、ルンルン気分が、こんちわっ! とやってくることは間違いない。このルンルン気分というのは、かなりテンションが高く、陰気(いんき)な人でも陽気(ようき)に変えるだけのパワーを持っている優(すぐ)れものだ。こういうのを味方につけておけば、人生、総(すべ)てにおいて悪くなろうはずがなく、楽しい生活を送れると、まあ話はこうなる。^^
 とある区役所の、とある課である。
「おいっ! 今日の課長、偉(えら)くご機嫌がいいなっ!」
「シィ~~!! 声が大きいっ!」
「ああ…」
「だが、確かに、そうだな…」
「だろっ!? 鼻唄で決裁印(けっさいいん)、押してるぜっ!」
「ルンルン気分だな…」
「あんな課長、見るのは、数年に一度くらいのもんだっ!」
「ああ…何かあったのか?」
「そりゃ当然、何かあったんだろう。でなきゃ、ああはならんぜっ!」
「だなっ! あの感じだと、今いきゃ、額(ひたい)にペタンっ! とハンコ押されるか?」
「ははは…さすがに、それはないだろうが…。まあ、何があったかは知らんが、職場が楽しいに越したことはないっ!」
「ああ…」
 二人は話をやめ、デスクに置かれた書類の仕事を、ふたたび続けた。実のところ、この課長のルンルン気分というのは、久しぶりに入手(にゅうしゅ)できた鯥(むつ)[メロ]で調理された好物の味噌焼き入り愛妻弁当が待っているからだった。
 このように、人はどんなことで楽しいルンルン気分になるか分からないのである。^^

                                


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