きまぐれ雑記

日常の出来事と私の好きなものを思いつくままにゆっくり記していきます

春琴

2013-07-29 20:45:38 | 観劇・ストレートプレイ
久しぶりの観劇日記です。

世田谷パブリックシアターでの初演の時から気になっていた「春琴」を兵庫県芸術文化センターで観ました。



作品は世田谷パブリックシアターとコンプリシテの共同制作で、海外上演もされていますが、国内での地方公演はこの兵庫が初めてで、唯一になります。

私は近代文学があまり好きではないので谷崎作品も授業で取り上げられる程度しか読んだ事はありません。

今回の「春琴」の原作なっている「春琴抄」も例外ではありません。

ただ、舞台や映像などに取り上げられる事も多いので多少のイメージはあったのですが、今回の舞台を観て、春琴抄というのはこういう物語だったのかとちょっと衝撃を受けました。

かなりいびつな愛(愛といえるかどうかわからない)ですし、かなりサディスティックで苦手な内容。

でもこの舞台で描かれているのが谷崎の春琴抄なのだろうなと感じました。

この独特な世界が外国の演出家の方によって、三味線や文楽などを使って表現されているのが興味深い。
また、照明が美しくて心に残った。ちょっと影絵を見てるよう・・・。



舞台は立石さん演じる役者さん?のラジオドラマとして語られていくのですが、この朗読が秀逸。本当に素晴らしい。

春琴も佐助も複数の人が入れ替わりながら演じられる形式で、春琴の子供のころは人形が使われます。
この人形が生きているように見えるのが凄かったですし、人形ゆえに不思議な気高さと狂気が垣間見えるそんな印象でした。

最終的に深津さんが春琴を演じるのですが、私の中の深津さんのイメージは自然なソフトな方なので、気位高い春琴とは離れたところにいるように思われたのですが、ラスト近くにやけどの傷跡を佐助に見られたくないというセリフには、春琴を支えているいびつだけど不思議な佐助への思いが溢れていて、言葉に打たれた印象を受けました。
やっぱり深津さんって凄い女優さんでした。



野村萬斎さんが世田谷パブリックシアターの芸術監督に就任される時に、世田谷から世界へ発信できる作品をと言われていたのを記憶していますが、この作品は正にそんな作品だといえると思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする