① ""イラン 作戦名は「殉教者ソレイマニ」米軍基地へミサイル発射""
2020年1月8日 11時30分 米イラン対立
🏢 アメリカ国防総省は声明を発表し、イランが十数発の弾道ミサイルをイラクに駐留するアメリカ軍などに対して発射したと明らかにしました。イラン側は、アメリカ軍が精鋭部隊の司令官を殺害したことへの報復だとしています。
⏰ アメリカ国防総省は声明を発表し、アメリカ東部時間の7日午後5時半ごろ、日本時間の8日午前7時半ごろ、イランが十数発の弾道ミサイルをイラクに駐留するアメリカ軍と有志連合に対して発射したと明らかにしました。
国防総省の声明では「これらのミサイルがイランから発射され、アメリカ軍が駐留するイラク西部のアル・アサド基地と、イラク北部のアルビルの基地の少なくとも2か所をねらったことは明らかだ」として、イラク国内の少なくとも2か所の基地が攻撃を受けたとしています。
そして、攻撃を受けた基地はいずれも最近のイランとの緊張の高まりを受けて警戒を強化していたと強調したうえで、「現在、被害状況を確認するとともに、駐留するアメリカ軍関係者の保護にあたっている。状況は流動的であり、情報が提供できるようになりしだい、明らかにする」としています。
現地の状況についてアメリカ政府が出資するイラクのテレビ局「アルフッラ」の特派員は「アル・アサド基地内からイランのミサイル攻撃によるとみられる火の手が上がっている」と伝えています。
※ 重要な軍事的なポイントは、記事を見る限り、イランのミサイル攻撃を迎撃できる体制になかったという事です。
一方、イランの革命防衛隊は8日、イラクにあるアメリカ軍基地への攻撃を実行したとする声明を国営テレビを通じて発表しました。
革命防衛隊は声明で、攻撃が今月はじめ、イランの革命防衛隊のソレイマニ司令官がアメリカ軍によって殺害されたことへの報復だとしていて、作戦名は「殉教者ソレイマニ」だとしています。
そのうえで「われわれは傲慢なアメリカに警告する。アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく、破壊的な報復に直面することになる」としてアメリカの反撃を強くけん制しています。
♠👤 アメリカのホワイトハウスは7日夜、NHKの取材に対し、「今夜はトランプ大統領が演説する予定はない」としていて、アメリカ側の出方が焦点となっています。
攻撃作戦名は「殉教者ソレイマニ」
イランの精鋭部隊、革命防衛隊は8日、声明を国営テレビを通じて発表しました。声明では「8日朝、英雄であるソレイマニ司令官の殺害への報復措置として、革命防衛隊の航空部隊が、多くのミサイルでアル・アサド基地を爆撃した」としています。
また攻撃の作戦名は「殉教者ソレイマニ」だとしています。
そのうえで、「われわれは傲慢なアメリカに警告する。アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく、破壊的な報復に直面することになる」としてアメリカをけん制したほか、「われわれは、シオニスト政府と犯罪者のアメリカ政府を区別しない」として、イランと敵対し、アメリカの後ろ盾を受けるイスラエルも軍事攻撃の対象となるとしています。
さらに「アメリカの同盟国にある拠点からイランへの攻撃が行われれば、その同盟国も標的となる」として、アメリカの軍事行動に協力しないよう警告しています。
イラク国内のアメリカ軍施設への攻撃が明らかになったあと、イラン南東部ケルマン州では、今月初めにアメリカ軍に殺害されたソレイマニ司令官の遺体の埋葬が、イラン時間の午前5時すぎから始まりました。ケルマン州はソレイマニ司令官の出身地です。
「トランプ大統領は対応を協議」
ホワイトハウスのグリシャム報道官は7日、「イラクにあるアメリカ軍施設への攻撃についての報道は承知している。トランプ大統領は説明を受け、状況を注視しつつ対応を協議している」とコメントしました。
米民主党下院議長「戦争している余裕はない」
👧 アメリカの野党・民主党のペロシ下院議長は7日、「アメリカ軍を標的にしたイラクでの攻撃の状況を注視している。われわれは、アメリカ軍関係者を守るためにイランに攻撃の中止を求めると同時に、トランプ政権にも不必要な挑発をやめさせなければならない。戦争をしている余裕は、アメリカにも世界にもない」という声明を出しました。
イランの弾道ミサイルとは
🚀 イランは、中東地域のアメリカ軍基地やイスラエルを射程圏内におさめる弾道ミサイルを保有しています。
精鋭部隊・革命防衛隊が開発や運用を担い、アメリカのメディアによりますと去年7月には、中距離弾道ミサイル「シャハブ3」1発の発射実験を行ったということです。
「シャハブ3」は、北朝鮮のミサイル「ノドン」の技術を応用して開発されたとされる比較的古いタイプで、アメリカのメディアは、「射程や精密さの改良が目的ではないか」と分析していました。
イランのミサイル開発は、核合意をめぐる協議でも「自衛のためで、外国からの干渉は許さない」と主張し開発を続けていた経緯があります。
これに対してアメリカは、大陸間弾道ミサイルの開発につながりかねないとして、イランに対して追加の制裁を科してきました。
中東に展開するアメリカ軍
👪👪👪 アメリカ軍は中東のバーレーンやカタール、クウェートなどに拠点を構え、陸海空海兵隊の部隊を展開させています。
🚢 アメリカ海軍は中東地域を管轄する第5艦隊の拠点をバーレーンのマナマに置き、ペルシャ湾などに艦艇部隊を派遣していて、先月下旬からは原子力空母「ハリー・トルーマン」を中心とする空母打撃群がアラビア海の北部に展開しています。
✈ 空軍はカタールのドーハ近郊のウデイド空軍基地に前線本部を構えていて、去年5月には「イランによる攻撃の兆候が強まった」として、B52爆撃機の部隊の中東地域への派遣を発表しました。
✈ またアメリカ軍はクウェートにも拠点を築いていて、アリ・アル・サレム空軍基地などに部隊を配置しています。
そしてイラクでは
▽首都バグダッド北方のバラド空軍基地
▽北部のキルクーク近郊のK1空軍基地
▽北西部のカイヤラ空軍基地
▽西部のアル・アサド空軍基地などに
合わせておよそ5200人の兵士を展開させています。
📕🚀 さらに去年7月以降はイランの脅威に対応するためとして、サウジアラビアに迎撃ミサイル「パトリオット」を運用する部隊を派遣し、10月には2つの戦闘機部隊と迎撃ミサイルシステム「THAAD」を運用する部隊などを追加で配置して、展開兵力を3000人規模に増強しています。
✈ またアメリカ軍は過激派組織IS=イスラミックステートの掃討作戦を受けて、トルコ南部のインジルリク空軍基地やヨルダン北部のアズラックにある空軍基地をシリアなどでの空爆作戦の拠点として使っています。