(TOPIX)
現在値 1,625.91↑ (19/04/05 11:30)
前日比 +5.86 (+0.36%)
始値 1,620.52 (09:00) 前日終値 1,620.05 (19/04/04)
高値 1,627.33 (09:05) 年初来高値 1,632.03 (19/04/02)
安値 1,620.52 (09:00) 年初来安値 1,446.48 (19/01/04)
① ""第一三共 第一三共が有望がん薬で反転攻勢、英アストラゼネカと7600億円受領の大型提携(上)""
2019/04/05 11:24
国内製薬メーカー大手の第一三共が反転攻勢ののろしをあげた。3月29日、製薬大手
のイギリス・アストラゼネカ(AZ)と抗がん剤で提携すると発表した。
提携の内容は、第一三共が開発中のがん治療薬「トラスツマブ・デルクステカン」(開
発名DS-8201)に関して、AZとグローバルで共同開発と販売を進めるというもの
。この提携によって、第一三共はAZから最大69億ドル(約7600億円)を受け取る
。
DS-8201の開発や販売が進み一定基準に達した段階ごとに、第一三共はAZから
資金を受け取るが、注目すべきは契約一時金の13.5億ドル(1485億円)だ。20
17年にアメリカのメルクと提携したエーザイの受け取る一時金が3億ドルだったのに比
べると、金額が大きい。
詳細は不明だが、DS-8201の販売が終了するまでとされる独占販売期間は「20
30年を超えても十分続く可能性がある」(齋寿明副社長兼CFO)という。つまり、1
4年程度は見込めるため、この年数で割ると年に100億円程度利益を上乗せする計算と
なる。
キャッシュフロー上の恩恵は利益以上に大きい。一時金は契約時に半分、その後1年以
内に残りが第一三共の懐に入る。要は契約締結から1年内に約1500億円の現金が入る
わけで、第一三共の2018年度の研究開発費(見込み額)が2360億円であることを
考えれば、そのインパクトは計り知れない。
がん免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」が、がん治療の新しい可能性を切り開
き、がん市場は製薬の世界では最大の成長市場となっている。しかし現状、第一三共はこ
の分野での売り上げはほとんどなく、業界内でしんがりのポジションにある。
ところが、第一三共は2025年ビジョンとして「がんに強みを持つ先進的グローバル
創薬企業」への変身を標榜し、競争がもっとも激しいがん分野に打って出ようとしている
。一にも二にも、DS-8201を筆頭とする有望な分野に種を蒔き、育てていく。それ
もはるか先を行くライバルに追いつくようなスピードで行う必要がある。巨額の研究開発
費を確保できなければ、それは実現できない。
第一三共の中期経営計画では、今後5年間に1.1兆円の研究開発費を投じ、がん分野
に傾斜配分する。これで足りなければM&Aなどの事業開発投資枠5000億円を流用す
ることも辞さないと、第一三共の首脳陣はことあるごとに繰り返してきた。
今回の提携では、DS-8201のグローバルの臨床試験(治験)などにかかる研究開
発費を両社で折半する。一時金1500億円とは別に、2019年度以降から直ちに研究
開発費の負担も軽くなる。台所に余裕があるとは言えない第一三共にとって、今回の大型
提携はまさに「干天の慈雨」となる。
さて、そのDS-8201とはどういう薬なのだろうか。一言で言えば、抗体薬物複合
体(ADC)と呼ばれるがん治療薬の一つで、抗体でがん細胞をしっかりと捕まえ、強力
な作用を持つ低分子薬でがんをやっつける。正常細胞も傷つけ、副作用の大きい化学療法
(低分子抗がん剤)とは違い、多くの人に効き、その効き目も高いといういいとこ取りの
利点がある。
(大西 富士男)
(株)東洋経済新報社
🌀 第一三共 、TYO: 4568
5,274 JPY −25 (―0.47%)
4月5日 11:16 JST