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[東京 21日 ロイター] - 岩田規久男・前日銀副総裁は21日、消費増税に慎重な見解を表明している有識者会合であいさつし、多くの経済指標が悪化を示す現状で増税を実施すれば不況を引き起こし、アベノミクスは失敗だったと判断されかねないとの懸念を示した。
安倍晋三首相に対しては、デフレ脱却まで増税しないとの初心に帰って欲しいと訴えた。
この日開かれた「消費増税のリスクに関する有識者会議」には、自民党の西田昌司参院議員や元内閣官房参与の藤井聡・京大教授、井上智・駒沢大准教授、菊池英博・日本金融財政研究所所長らが参加した。
岩田氏は、20日に発表された2019年1─3月期の国内総生産(GDP)について「プラス成長だが、内容は非常に悪い」と指摘。
具体的に「景気動向指数は一致系列が低下しているのみならず、先行系列はもっと下がっている」ことや、「生産、商業統計など各種経済指標は昨年8月前後をピークとして下がっている」などの現象を挙げ、景気の現状は悪化しているとの見解を示した。
そのうえで「この状況でデフレ脱却が実現していない中、消費増税を実施すれば内発的な不況を起こす」と警鐘を鳴らした。
さらに岩田氏は「3党合意に縛られて増税すれば、結局アベノミクスは失敗に終わったことになる。安倍首相は景気後退期に退陣することとなり、『一体あれ(アベノミクス)は何だったんだ』ということになりかねない」と強調した。
岩田氏は、安倍首相の後継者とみなされている政府・与党内の政治家にも言及し、「安倍首相の任期中にデフレ脱却にめどをつけないと、(首相の)後継に並ぶ人は心配な人ばかりだ」との懸念も示した。「デフレ脱却は安倍首相にしかできない。2012年9月の自民党総裁選で安倍さんは『デフレ脱却まで消費増税しない』と言っており、その初心に帰って欲しい」とエールを送った。
(竹本能文 編集:田巻一彦)