「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

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20代の交差点 (古いソング・ブックより) 「You are the one」 あのクソ重いテレキャスター

2012-03-16 10:12:11 | 過去のハード・パンチ・コラム
深夜11時
新宿の歌舞伎町
は歩いていた。

肩には黒の分厚い塩化ビニールでできた
ギター・ケース

そして、いつもの黒い
ビジネス用のアタッシュケースには
エフェクターが入れられていた。

そんなが歩いていた。

人から見れば
疲れ果てた男の子
に見えたことだろう

そして、はそうに違いなかった

膝の破れた501
ワッペンだらけのWranglerのデニム・ジャケットが
いっそうをそう見せていた。

23歳のあの夜
1月の寒さの中
泣きじゃくるあの子の横で
彼女の肩を抱いていた。

僕らの演奏が終わり
4年間ほど一緒にいた彼女と別れる瞬間が来たのだ。

彼女とは年内に「別れ話」が付いており
彼女に好きな人ができた
という単純な話を、
は当然受け入れていた。

だから、この日は
もう心の整理が付いていた。

しかし彼女は泣いていた。
が最後に歌った曲は
彼女の為に作った最後の曲となった

「You are the one」

その時にしか歌っていない曲だ
そして、はこの日以降
4年間も毎日のように寄り添った
78年製の、「あのクソ重いテレキャスター」とも別れを告げた

あの寒い夜、
お互いHappyな方向に行くんだから、泣くなよ!
と言い続けていた

は心の中で
なんで、自分から別れを切り出したのに泣くんだろう?
そして
そんな彼女を俺は勇気付けているんだ・・・
と、すごく不思議な気分だった。

時々ブルースを感じながら。

今思い返すと
あの瞬間から「僕のロック」は終わったように思う。

ギターは「83年製のストラト」へ持ち替え
露骨に黒人音楽をプレイするようになり、
オーディエンスは急激に離れた。

23歳という時は戻ってはこない
しかし時々「ふっ」と思い出したりするものだ。
4年に一度のワールドカップで輝いた
あの選手みたいに・・・。

今朝はそんなことをお思い出した。
そして、古いソング・ブックを探し出し
歌詞を探し当てた。

僕はこの曲でこう歌っていたようだ

古いギター片手に
 テラスへ逃げ場を求め
 見える人影こそ


 You are the one

あの時と君自身は
 何も変わっていないよ


と大切な曲たちがに語りかける
は笑みがこぼれ、
ギターを手にするしかなかった。

何も変わっちゃいない・・・。
原発の暴走」以外は

そう思い、歌ってみることにした。
手探りに・・・そして、精一杯彼女を思い出しながら。

<3/16 MASH
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