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ハウリンメガネが縦横無尽に吠える!「メガネの遠吠え」(第17回) ギターkidsに衝撃が!プレイヤー誌が休刊

2023-07-01 13:27:13 | 『ハウリンメガネ』コラム集

やあ読者諸賢、御機嫌如何?
ハウリンメガネである……
今回は残念なニュースの話題。

プレイヤー誌……休刊である!
(ホントは最終号を手に入れてから書きたかったのだが、6/30発売予定が7/5に延期……人手が足りてないんだろうなぁ)

私にとってプレイヤー誌は大変思い出深い。
もはや二十数年前の話ではあるが、高校生だった筆者は毎月プレイヤー誌を買っては毎日毎日飽きもせず、掲載されていたギターの広告にうっとりしていた。
(今でこそデジマートやJ-guitarなどでギターの画像など見たい放題だが、当時の音楽雑誌で最も楽器の広告が多かったのがプレイヤー誌であった。イケベやイシバシが載せてた特売広告を見て己の財布の中を睨んで頭を悩ませていたのが懐かしい)

メーカーの新製品や、通販会社の安物、大手のイケベやイシバシ、今も健在のヴィンテージ専門ショップの広告、ギター、ベースにエフェクターまで、どれもこれも垂涎ものの写真がズラリ!
(水着のおねーちゃんのグラビアより刺激的!)

当時、金もなく(今もないけど)、楽器屋に行ってはギターや機材を眺めていた筆者にとってプレイヤー誌はまさに下手なポルノ雑誌よりも興奮度の高い雑誌だった訳である。

もちろん広告が全てではない。
その時その時の話題のミュージシャンへのインタビューは勿論、連載も素晴らしかった。
ミュージシャンが自分の愛機達を写真付きでズラリと紹介する「DEAR MY PARTNERS」。

海外レジェンドミュージシャンの使用機材を写真付きで振り返る「WHOSE GEAR?」。
(これは資料的価値も高く、このコーナーだけまとめた愛蔵版ムックも出ている。私も当然持っている。冒頭写真参考)

他にもパテントからギターの歴史を読み解くコラムや、ソロギターに特化した譜面連載、海外ミュージシャンのゴシップ記事……

そんな中でも忘れちゃいけない、個人的にプレイヤー誌の連載といえば、日本が誇るジャンプ&ジャイヴ・ブルースマン、吾妻光良御大のコラム、「ぶるーすギター高座」!
まだブルースのブの字も分かっていない小僧に笑いとサラリーマンの悲哀をごちゃ混ぜにしつつ数多のブルース情報を教えてくれたのはまさしくこのコラム!
(私の様にこのコラムからブルースを掘り始めた人も多いのでは?)

ご自身のライブや、ブルースの音源についての話の合間合間に、奥様のご機嫌を窺いつつギターを購入する術に頭を悩ませたり、海外旅行に持ち出すギターの選定条件に、万が一紛失したり壊れたりしても一晩泣けば済むものを、というのを最優先事項にしたりという生々しい社会人ブルースマンの毎月のコラムを読んでは「ああ、俺もこういう笑いとペーソスに溢れるオッサンになりたいものだ」と独りごちたあの頃の俺よ、今も俺は近づこうと努力中だ。

そんな我が青春のプレイヤー誌だが、先述の通り、次号で休刊と相成ってしまった。
公式リリースとしては近年の制作コストの上昇と、広告収入の下落が主な原因とのこと。

何年か前に元々月刊だったものが季刊となって値段が2,000円超となった時点で経営が苦しいのは予想できていたが、この「広告収入の下落」というのがおそらく最大の原因であろう。

雑誌、というか紙媒体不遇の時代に突入してからもう何年もの時が過ぎ、音楽雑誌も淘汰されているが、そんな中でも生き残っている雑誌にはそれぞれ強みがある。

例えばギターマガジンやサウンド&レコーディングマガジンの様に、特定の楽器や技術に特化したものは専門誌、業界紙的な立ち位置にあり、この手の雑誌はパイの母数こそ少ないが資料的な意味もあり、絶対的な読者を抱えている(私もその一人)。
若しくはロッキンオンの様にインタビューに特化した音楽誌はリスナーに寄ったもので、こちらはリスナー側の観点を主体としている分、読者の母数が多い。

ではプレイヤー誌の強みは?
……広告だったのである。

確かに先述の通り、魅力的なコラムや掲載記事は多くあった。が、プレイヤー誌の最大の魅力は広告数の多さにあった。
今の様にネットが普及していない時代。雑誌が情報源だった時代。あの頃の雑誌は云うならば商品情報を売る媒体でもあったのだ。
欲しいギターがどこに売っているのか、アンプに強いショップはどこなのか、機材を高く買い取ってくれる店はどこなのか、その全てがプレイヤー誌に載っていた。

時代は流れ、現代。
インターネットによるリアルタイムでの情報更新が当たり前になった今では雑誌の速度は余りにも遅い。
欲しい物が今買える状態なのか、それとも売り切れになっているのか、ネットであれば即座に分かってしまう。
二十年前なら有効だった広告誌というフォーマットは技術の革新と共に滅びる定めにあったのは残念ながら致し方ないことではあろう。

栄枯盛衰、諸行無常。どんなものにも必ず滅びは訪れる。
が!
あの頃。
まだ音楽の事なんかな〜んにも分かっちゃいなかった小僧にギターという夢を与え、ブルースを教え、ギターという楽器の成り立ちを教え、様々なミュージシャンの知識を教えてくれたのは間違いなくプレイヤー誌でした。
本当にありがとうございました。

感謝の念といつかの復刊の願いを込めて。

《ハウリンメガネ筆》