今週の『ハウリンメガネ』記事はもうお読み頂けたであろうか?
(お読みで無い方は以下のバックナンバーを参照のこと)
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https://blog.goo.ne.jp/12mash/e/1a637f46b5212071adfc6bca440adc5e
この様に『ジミー・ペイジ』について書かれていたこともあり、久しぶりにLed Zeppelin(以下:Zep)ではない・・・そんな王道をハズシた盤『COVERDALE・ PAGE』を聴き、今日はその中の一曲を評論して行きたいと思う。その曲とは『Don't leave me this way』に他ならない。
本来、この盤から選ぶとしたら『Pride and Joy』を取り上げた方がアルバムを紹介する意味では適切なのかもしれない。適度にZep的アプローチが成された曲にペイジのユニークでキャッチーなギター。そこに彼のルーツとも言えるブルースという意味でブルースハープが重要な色を添え、生き生きとカヴァーデイルが歌い込む・・・そんな3分半というポップロックナンバーは誰もが好きになりそうな好ナンバーなのだから・・・。
しかし、それでは本紙としては物足りないと思われるだろうし、本盤にて『俺の一番好きな曲』を・・・となると、やはりこの曲『Don't leave me this way』となる。さて、この曲を見ていく前にロック読者以外の方には『COVERDALE・ PAGE』について書く必要があろう。先に書いたZepだが、彼らこそビートルズ解散後に最も世界中で影響力を持った英国のバンドと言って間違いない存在なのだ。そこのあなた、間違ってもクイーンではありませんよ!で、そこのギタリストであり音楽的リーダーでもあったジミー・ペイジを軸にヴォーカルのロバート・プラント、ベースのジョン・ポール・ジョーンズ、ドラムのジョン・ボーナムという4人編成。この4人で70年代を一気に駆け抜け世界中を大騒ぎさせて解散した・・・そんなバンドなのだ。
一方の『デヴィッド・カヴァーデイル』は『Deep Purple』というもう一つの『ハードロックの横綱グループ』そこの後期ヴォーカリストであり、後の『Whitesnake』というバンドの創始者でもある。そんな彼がパープルにZep的歌唱を持ち込んだ点は当時から賛否両論が湧き上がっていたのだが、十数年後の93年に本盤を世に出す・・・という結果につながったわけだから、今や批判には全く当たらないであろう。改めて見るとこの『2人の合流を示す標識』をあしらったジャケット・デザインもシンプルで良いでしょ?ブックレットにも随所にこの標識は登場し、Zepの名盤『プレゼンス』を想い出す方も多かっただろうし、今後の継続を期待させたもんだ(残念ながら録音は本作のみで以後は出されぬままであった・・・)。
実はこのアルバム昨年リリース30周年盤が出ているのだが、俺は当時の日本盤CDで聴いた。この日本盤で楽しい点、それはやはり『ライナーノーツ』であろう。大先生の競演!『伊藤政則』氏と『渋谷陽一』氏という豪華2本立て構成こそ、エルヴィスじゃねぇが「ワクワクせずにはいられない」のだ。彼らの独特な文体はコチラでも発揮され、今読んでも大変に面白く興味深いので、少し書き出してみようと思う。
「聞き手が抱くノスタルジーは、現代を主張する鋭いサウンドの前に木っ端微塵に打ち砕かれていく。それが逆に快感を作り出す。」(伊藤氏)
「ツェッペリン解散後、ジミー・ペイジが始めて自らツェッペリン時代のノウハウを全て叩きつけたのがこのプロジェクトである。気合が入っている。コレで勝負してやるんだという気迫が十分に伝わって来る。」(渋谷氏)
いかがだろうか?音楽評論家であり大先生の両氏が書く評論具合は!
(この意図を知るには以下のバックナンバーを読んで欲しい!)
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さて、とにかく大先生たちは感情が凄い!文章に感情が乗っていて、音楽評論の根拠なんて書かない!しかも両氏で見解が違う点がこれまた素晴らしい!同じアルバムなのに『これだけ真逆の意見が解説として載る』って、実にイイことだよね!とにかく前者は『今のサウンドだ』と語り、後者は『Zepサウンドの継承』と書いているわけだ。
本紙で彼らのどちらが正しいか?などと書くつもりは無いし、俺は両氏から影響を受けている身なので大いに気持ちは分かる。そこで俺が選んだ曲を解説していこうと思う。『Don't leave me this way』である。アルバムでは後半(9曲目)に登場しアルバムの中でも一番の長編曲(7分52秒)となるのだが、そのタイム感を一切感じさせない・・・そんな飽きさせない素晴らしい曲構成なのである。その要因は馴染みの演奏形態とメロディに他ならないと俺は結論づけている。
誰も言わない(もしくは気付いていても言えない)ことを言おう。「この曲はビートルズの2曲を基に作られているのだ!」。コレを読み、聴き返して頂ければ一目瞭然と思うはずである。前半はポールの名曲『Dear Prudence』に聴こえ、途中からはジョンがヨーコのことを歌った『I Want You (She's so heavy)』に聴こえやしないだろうか・・・。これは決してパクリとかではなく、深く聴いているからこそ分かる雰囲気と曲調の部分と言えるだろう。「おいおい、お前がビートルマニアだから好きなビートルズに寄せた解釈なんだろ?」とツッ込まれる読者もいようが、俺はそれ以外の要素も併せ「この曲こそ名曲だ!」と言いたいんだよ。
その最たる理由こそ『ペイジが被せた随所で光るブルージーなギタープレイ』そして『1音を伸ばし切る特徴的なギターソロ』であり、随時「行かないでくれ・・・」と切なくプラント風に歌いながらも『シャウトでより一層Zep的にグイグイと押すカヴァーデイルの歌唱』にある。特に「Baby Baby Baby・・・」の連呼は「プラントなのか?」と錯覚する出来栄えにより、興奮度も2割増しに違いない!言わば「ビートルズとZepが混ざり極まった極上のブルースロック」なのである!
最後に両大先生の締めの1行を書き出そう。
「それにしても凄いアルバムだ。」(伊藤氏)
「今に見てろよ、ジミー・ペイジをドラえもん呼ばわりした奴ら(俺か?)、今度こそ本当の逆襲が始まるからな。」(渋谷氏)
『音楽評論の素晴らしさ』そして『面白さ』が際立つエンディングであり、「やはり大先生は何人たりとも真似出来ない・・・」そんなことを思いながら俺としては今回、十分に根拠を挙げて評論させて頂いたワケだ(笑)こうも書けるんだぞ~(笑)!
文章は時に如何様にも表現できる。その自由で面白い表現方法に我々は益々魅了され、明日もまた各人本紙にて大いに腕を振るうのでR。
じゃ、今日はココまで!次回もお楽しみに!
《編集長& Jerry's Guitarオーナー「Mash」筆》
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