「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

明石のブルースマン「ハウリンメガネ」が贈る・・・「どこまでもヴァイナル中毒!」(第30回)《「しりとり」に続き「EW&F」編 》

2020-08-13 12:52:04 | 「ハウリンメガネ」の「ヴァイナル中毒」&more

読者諸賢、ごきげんよう。ハウリンメガネである。

盆休みである。
筆者は今年は帰省しないことにしたので予定はガラ空き。
コロナでバンドのリハも自分のライブもなし。

スコーン!と10日間も予定が空くことなどまずないので、
初日から気分よく盤を回しながら気持ちよ~く家で腑抜けていた
(昼からビールもあけちゃうぞ!)
のだが、この連載コラムの〆切りというやつは容赦なくやってくる!

ああっ!腑抜け気分で何を書けばいいのだ?!
なんで盆休みにも〆切りは来るのだ(嘆き)……
となりそうでしょ?ところがどっこい、そうはならんのだ。

大型連休だろうが、いつもの土日だろうが、
やることなんざ大して変わらん。
結局、盤を回してギターを弾いては唸るばかり!
言いたいことも書くこともなんぼでもあるわい!
なので、今月もいつもどおりのコラムである。
みなさまもいつもどおりご笑覧あれ。
ちょっとだけ「休みにならねぇかな……」と頭をよぎったのは
勿論、編集長にはナイショだ!

さて、編集長と私の「しりとり対決」!
十分に楽しんで頂けているだろうか。
今月は編集長の回となるので、そちらを乞うご期待!
なのだが、問題は先月の私の回である。

アース(・ウインド・アンド・ファイアー)の「You&I」……
素晴らしい曲だ、と書いた。ええ、書きました。
(詳しくは以下をご覧れ!)https://blog.goo.ne.jp/12mash/c/cccdcf0a6a468b0fe93b771181bb8272

嗚呼……書き足りない!書き足りないのだ!
そもそも「黙示録」自体がいい盤なので、
しりとりで紹介した「You&I」以外の曲についても
「あれがいい、これもいい」
と言いたくてしゃーないのである!

よって今回の当コラムは「しりとり」からの派生!
アースのアルバム「黙示録」のレビューである!

バンドの細かい話は「しりとり」回を読んでいただくとして、
このアルバム、実はアースとしては「ディスコサウンド」への転換期にあたり、
大ヒットしたベストアルバム「The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1」
の直後に発売されている。

軽快でポップな[A1]In the stone(石の刻印)で幕を開け、
ファンクネスと疾走感溢れる超名曲[A2]Can't let go(旋風の使者)へつなぎ
しっとりとした[A3 ]After the love is goneでサックスが静かに泣く
そんなエンディングからシームレスに繋がる
[A4]Let your feeling show(天空に捧ぐ)!
(しかし彼らアルバムにしろ曲にしろ、けったいな邦題が付くのは何故?
割と好きなんだけどさ(笑))

ボーカルのコンビネーションも然ることながら、
ベースとホーンのカウンタープレイに中間でのコンガの刻みが
とてもクールで印象的なこのA4が筆者は殊の外好きで、
ギターでもかなり熱心に練習した。
ただし!実はコピーしていたのはベースのフレーズ!
いいバンドは往々にしてギターよりもベースラインが印象に残ることがままある。
一番思い知るのが楽器のフレーズを拾う(コピーする)ときなのだが、
ギターを拾うつもりで気づいたらベースを拾っていた、
ということがままあるのだ。

(なお筆者がこのことを考えるきっかけになったのはキング・クリムゾンの
"レッド"。フリップ先生のギターを拾うつもりが、
気づいたらジョン・ウェットンのベースのフレーズを弾いていたのだ。
ウェットンのベースがギター寄りの音になっていたのも大きいが、
それ以上にウェットンの繰り出すベースラインそのものが魅力的だった
のは言うまでもない)。

盤を返して[B1]Boogie wonderland!
モーリスもプロデュースした女性コーラスグループ「エモーションズ」が
脇を務め、細かく節を刻むモーリスのボーカルとコーラスの対比が
実に印象的な代表曲。
イントロを聴くと渡辺宙明氏の曲を思い出すのは筆者だけだろうか
(ゴレンジャー等の初期スーパー戦隊や宇宙刑事シリーズなどの作曲でお馴染み。
実は氏は日本でいち早くミニムーグを導入した人でもあり、
筆者がムーグサウンドに心惹かれるのは幼少期の刷り込みがあったのでは……
閑話休題)。

[B2]Starはベイリーの喉を見事に活かしつつ、
変拍子までキメてくるゴキゲンなファンクナンバー!
サックスとベイリーの歌が混ざると時折どっちがどっちか分からなくなる(笑)!
喉をサックスばりに使いこなすベイリーの実力に脱帽!

[B3]Waitはアースの看板であるメロウなバラード。
ただこの曲もリズムのアクセントが独特で、
彼らの「先鋭的なセンス」が見受けられるのが面白い。
(この辺、魅せ方は違えど、アフリカンビートに接近した頃の
「ディシプリン・クリムゾン」と通じるものがあると思うのだが、
如何だろうか。)

[B4]Rock that!
タイトルずばり!
ファンカデリックもかくやといわんばかりのロッキンファンクチューン!
インスト(歌なし)の為、アースの楽器隊がどんなプレイをしているのかが
細かく分かるのがバンドマンには嬉しいところ。ちなみにこのアルバム、
スティーブ・ルカサー(スティーヴ・ポーカロも)が参加しているのだが、
前半のロックギターらしいソロは間違いなく彼だと思われるが、
後半のより荒っぽい魅力的なソロは彼じゃない気がする……
アル・マッケイじゃなさそうだし、ジョニー・グラハムかな?
つくづく実力者揃いだねぇ……

そしてしりとりで紹介した[B5]You & Iで〆!
と、いや、つい全曲通して書いてしまうほどの大名盤よ!

このアルバム、及びアースの全アルバムに言えるが
サウンドの核はヴァーダインのベースだ。
時にドラムと、時にギターと一体となりバンドを支え、
ここぞという時に前へ出る!
諸君!空飛ぶだけではないのだよ!ヴァーダイン・ホワイトは(笑)!

こういう素晴らしいベーシストを擁するアースだが、
筆者、不思議と「アース大好き!」というベーシストにあった事がない・・・
(日本だとドリカムのベーシスト中村氏が熱狂的なファンとして有名だけど)。
「これ、なんでだ?」
と思っていたのだが、先日、編集長と会話しているときに気づいた。

みんな、音楽をどうやって聴いてる?
(デジタル・アナログの話ではなく、環境のことだ)
もしスマホやパソコン備え付けのスピーカーやイヤホン、ヘッドホン等
で聴いてるとしたら、筆者は是非「別途スピーカー」を導入することを
強~くお勧めしたい。

別に高級品や大型スピーカーである必要はない。
一般的なコンポに付いているサイズのものでいい。
ただ、重要なのは「サブウーファー」があり、
「低音」がつまみでシッカリと調節できるブツが好ましい!

ベースやバスドラムなどの「低音」はある程度のサイズのスピーカーで
「空気を」鳴らさないとただの低音でしかない・・・
というか楽器の音として成立しない。「グルーヴが出ない!」のです。
さらに言えば最近の家庭事情に寄り添い
「低音を消す傾向のスピーカー」も多く出ており
「チャカチャカの高音を重視した骨抜き有名ブランド製」も多い・・・

「こんなブツでチャカ・カーンを聴いたらダメでしょ!」

故にハイとローを強調したバキッとしたスラッパーばかりに
ベーシストの人気が集まり、ヴァーダインのようにムチッとした音で
バンドと混ざるサウンドのベーシストが埋もれているのではないか・・・
と、筆者は確信を持って推論している。

アナログをやるのであれば勿論のこと、
CD、デジタルでもまともなスピーカーで鳴らせば間違いなくいい音は出る!
(まあ、アナログがベストな事に変わりはないが)。

ステイホームでお暇なら自作キットなんかも販売されているし、
DIYなんかも面白いのでいかがだろうか?
音楽の楽しみ方はソース一辺倒ではない!
「なにで聴くか」「どこで聴くか」「何故聴くか」
こそ、重要なファクターである!

諸君!とにかくスピーカーだ!
ベースを!アースを楽しむ為にもスピーカーを使えぇぇぇ!

……さ、ビールも冷えてるし、次はなぁに聴こっかなぁ~

《「ハウリンメガネ」筆》



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