るるの日記

なんでも書きます

「御歯黒が美しい」江戸時代の審美眼

2022-02-18 17:01:52 | 日記
■御歯黒儀式
お万が将軍の寝室に召された翌朝
歯を黒く染めた。お万が将軍の所有に帰した印となる

初めて歯を染める儀式に、福徳備えた婦人が立ち合う。本来は春日局がその役だったが留守中で御年寄・初島が勤めた
〈儀式〉
初島が一礼し
歯黒箱から
はぐろ杯大中小3つを取り出す
大→かね液
中→フシノ粉
小→うがい茶わん
短冊型のわたし金に並べる
杯の間に置かれた二本の筆を
左右の手で持ち、おはぐろ壺に浸し
フシノ粉をつける
儀式終わり

藤尾が筆を受け取りお万の歯を染めた。黒曜石を磨いたように仕上げる
江戸時代の審美眼は歯を染めた女性にしっとりした美しさを認めた

■眉を剃る儀式
眉を落とし、置き眉を描く
眉墨は露草の花の黒焼、金粉、きゃら油を練ったもの

将軍徳川家光の大奥泊まり復活「初めてお万という魂ある女を得た」

2022-02-18 16:30:52 | 日記
将軍の大奥泊まりが今宵復活する
御寝所に将軍を迎えるのだ
そのお側に召されるのは
かつては伊勢慶光院の尼君
お万であった

■お万は部屋でまず入浴をする
お湯係の女中が受け持つ
★洗顔用として絹糠袋に糠とふるいにかけた鶯の糞を混ぜてある
★上半身用糠
★下半身用糠

■化粧からお寝間着まで藤尾が受け持つ
★寝間着は白一色、白はこの人の美しさをひきたてる
★帯は緋縮緬で石竹色
★仕上げは香をお寝間着に焚きこめる。爪の切り屑ほどの蘭奢待の小片を香炉にくゆらすと、ほのかにゆらゆら立ち上る薫は、媚薬のように人を酔わす。髪に襟に袂に香炉を藤尾がかざしてその香を移す

お万は部屋を出た
介添の藤尾が片手にボンボリ
お供の女中二人も左右からボンボリで足もとを照らした

こうなったら、一日も早くお世嗣の生母になってほしい。4代将軍の母君に

■将軍と寝所
宿直の御年寄とお客あしらいが将軍の話し相手をする

午後10時、将軍は寝所に立ち、宿直の中臈2人が将軍の寝衣に着替える手伝いをする

寝間16畳いっぱいに蚊帳が高々とつられる

夏布団は裏は白
枕元には世継ぎ生誕のおまじないの犬張子の紙入れ、オシドリを描いた蒔絵の乱れ箱が置かれる
乱れ箱は女性の長い髪が枕から流れ乱れるのを受け止めるためのものである

■二の間→下段の間→寝所
お万は御寝所に続く二の間につく
二の間にはお万の部屋から届けられた明朝の着替えや化粧品一色が揃えられてある
ここで足袋を脱ぎ、お寝間のすそを長く引き帯を直す

二の間を進むと下段の間
下段の間と寝所の間の襖は開けておき、寝所への明かりをとる行灯が置かれれる

藤尾が将軍のいる蚊帳のすそをあげて、お万を入らせる
お万が蚊帳へ入ると藤尾はさっと身をひるがえし下段の間を抜け出て「おしずまりませ」と挨拶し襖を閉める

次の間で藤尾と御年寄・初島は御寝所の御番の一夜を明かす。これも大事な職務なのだ

■将軍とお万二人きり
お万は将軍と二人きり
お万は見事に将軍の心を射止める言葉をつぶやき、時には涙をこぼし
家光を骨抜きにさせた

家光の今まで接したお振もお琴も性の奴隷として仕えるのみで心がどこにあるかわからぬ女たちだった
今こそ初めて打てば響く魂のある女性を得たのだ
家光は陶酔して我を忘れた

お万とは月とすっぽんの狐顔の「お琴」も将軍のお手つきだったが、お万はそれをまだ知らない

2022-02-18 15:07:39 | 日記
今日、初大奥のお万は将軍にお目見えの挨拶をした後、雑談。将軍からは香のプレゼントがあった。表御殿での将軍の仕事時間になると将軍は大奥の座を立つ。お万はお鈴口手前まで見送る

将軍が大奥を去ると夜勤明けの女中たちは部屋へ戻り、日勤の女中たちは各自勤務に就いた

お万は側室として大奥に召されたので勤務は無い。部屋へ戻りお目見えの衣装を脱ぎやれやれと一服する。世話役の藤尾は休む間もなく、引っ越し祝いの品々と祝儀を大奥高級役職者に配る

藤尾は気がかりなことが1つあった
「お振りという将軍の初女児を生んだ側室がいて、今は大奥を退き病気療養中だ」ということはお万に告げてあるのだが、、

実はもう一人「お琴さま」という将軍お手つき女がいる、、ということを言い出せずにいたのだ
まあ、、お万とお琴は月とすっぽん比べようにもならないのだが、、
お琴は眼のつり上がった狐顔。そんな顔のお琴に将軍の手がつくとは将軍も酔狂なものだ、、と藤尾は思っていた

もし、お万にそのことが解ったら、、上様に従う気持ちが変わられるかもしれない。そうなっては一大事だと思い言い出せない



ただ一人の男を待つ女の園は「鈴の音」で色めく

2022-02-18 13:25:20 | 日記
お鈴廊下は将軍一人のための廊下
「その他の男はこれより男一切入るべからず」の鉄則である

お鈴廊下の境界にある重い戸の表・裏に太いひもが垂れていて、将軍のお供の小性が表から紐を引くと鈴が鳴り、「上様おな~り」の合図となる

大奥中臈が紫の刀袱紗を持って出迎え、小性から太刀を受けとる。小性はそこから入れない
将軍が大奥から表御殿へ帰られる時は、大奥側の紐を引いて合図する

将軍一人を待つ女の園は
鈴の音で色めき、活気づく

今日は慶光院改め「お万の方」の初お目見えの日。御年寄初島先導、介添藤尾でお万は大奥を歩く
徳川家光は再び彼女を見ることができた喜びに恍惚した

お万にとっては今日初めて家光の姿を、顔を見た。最初の謁見で会えたものの平伏し、将軍も御簾を隔てての対面だったから姿、顔はわからなかったからだ

〈お万の感想〉
痘瘡を病んだ跡が頬に残る
イケメンではない
英雄気質が眉、目に現れている
将軍の貫禄は備わっている

家光は夜の寝所にはお万を召さなかった「今日大奥入りしたばかりだから今宵は静かに休みなさい」との心づかいだった