るるの日記

なんでも書きます

(編集済)男女の究極の愛は「女の母性愛」「男の母に甘える思慕」性愛は通過点

2022-02-21 17:05:33 | 日記
お万は将軍の寵愛をよそに「おしとねすべり」を決意した。それは側室の定年制度で30歳が定年。お万はまだ20歳そこそこ
「寵愛は寝間とは限らない。心ばえを愛されたい」とお万は願った


お万のもとへ、京都六条家の実家の父からから二人の美しい娘が届けられた。18歳の「お玉」、16歳の「おりさ」である
お万は二人に和歌や古典の手ほどきをしたり、呉服の間にさまざまな注文をした

お万の父が突然亡くなった。お万は喪中にあたり大奥に出勤停止し部屋に引きこもった
お万はこの喪中期間に、将軍にお玉を献上した。お玉は将軍の寝間に召された。お万の喪が明けてもお万は1年の喪に服すことを将軍に願い、許された。お玉は引き続き将軍に召されることになった。そしてお玉は懐妊した

ある日お万は将軍に告げた
「大奥取締の仕事を今以上に心をこめて勤めたく、ただひたすら大奥取締の仕事に従いたく、、上様、なにとぞお許し下さいませ、、」
つまり将軍側室の退職を願い、大奥取締の仕事だけに専念したいと申し出たのだ

家光、おおいに不機嫌に言い放つ
「私が嫌いか?」

お万は笑って
「何を面白いことを言われます?

家光は嫌われてはいないと安心し
心なだめられた
そして、語る

「私の母もあなたのように美しかった。幼い私は母に愛されたかったが、母の愛は弟国松に傾いた。私は母の愛を一身に受けた弟が憎かった。妬まれるより妬む方が悲惨で、母に愛されなかった痛手は今も残っている。私がこの年齢になっても未だに望むのは、母の愛を受けて育ちたかった、、ということだ。孤独だったんだよ、、だから、、
あなたの願いを私は聞き入れる
あなたの願いを退けてあなたの心を失うのが恐い
あなたの心は私の側から生涯離さない。それでいいか?」

この瞬間お万の内部に家光という男性が、ハッキリと王座を占めて定着した。母性愛。将軍の子を生めないお万だけれども母になった

数日後、家光は鷹狩に出た。昼過ぎに天候は急変。大雷雨にひょうが混じる。家光が帰城したのは夜も深まってからだ。中奥の休息場にはただ一人家光の帰りを待つお万の姿があった。彼女は家光を見た瞬間安堵の顔で涙ぐんだ。家光は、、若く美しい母を感じた

お万は自分で築いた狭き門をくぐり得たのである







快楽による罪悪感は、禁欲生活にあり

2022-02-21 14:58:17 | 日記
お万は自己嫌悪にさいなまれ、悩みは深刻になった。それは「慶光院生活の禁欲や苦行を貴び、俗世の快楽を否定する」という洗脳生活が背景にあり、それが現在のお万にも影響を与え、狭い門へと追いやる
お万は自分に厳しすぎた

★将軍の子を生んだ側室は、母になったことで賎しき側室という職を浄化する。けれども私はその浄化作用を成し遂げられない不運の女身

★将軍側室の身であるのに、心の中に恋を描くという罪を犯しているうえ、家光の寝間でわが身を横たえて、信平の幻影に官能をおぼえた浅ましさ
無間地獄に堕ちゆく背徳無残の堕落と、お万はあの夜からわが身を責め、ずたずたに引き裂きたかった

★男女の性のいとなみの即物的行為は、魂の冒涜、、そしてわが身に妖婦が潜むのを見いだした恐怖は、ついに性への恐怖となってお万を脅かす

★比丘尼から俗身に、そしてまだまだ堕ちいくような女の罪業が恐い

★私に将軍の子が生むことができないのは、私が必ず受けねばならないこのような罪への償い
わが身の一生を清浄法界に捧げる誓いを破ったこの身への御仏の罰

★将軍は私を還俗を強制したが、これはかえって私を救ってくれたのかもしれない。あのまま伊勢の慶光院を継いでいたとしても、やがては女の煩悩が燃えあがり、今以上の修羅の地獄に陥っただろう
信平への恋を知って以来、それを強く信じている

お万は京都の実家六条家の父に書状をしたためた。わが身に代わる側室を家光に献上することを決め、それとなく父に依頼をしたのである
「京育ちの美女を大奥に求めたい」

家光に抱かれながら、初恋の信平を感じるお万

2022-02-21 13:37:42 | 日記
「今宵上様大奥泊まり」ということで、大奥女中が中の丸御殿で御台所弟・信平との初恋を秘かに終わらせたお万を迎えに来た。信平の笛の音色が聞こえる、、
先程の別れに自分の気強さが悔やまれた。もう少しやさしい思いの言葉を素直に告げて別れたかった
泣きたい、、

しかし、恋とは気づかぬうちに心の花芯に忍びこむものだ。恋の蜜蜂は今日、はかなく逃げ去ったが、後に刺し針を残した。その針は恋の喜び、苦悩、悲哀の刺繍が彩られた

すさまじきものは恋だ
一生に一度の最後の初恋よ
サヨナラ

その夜、お万は将軍の御寝所に向かった。哀愁の影が漂う。それはお万が17歳で初めて将軍の寝所に召されるときと似ていた

家光の腕に抱かれ、身を委ねお万が目を閉じたその瞬間、信平の面影が浮かんだ。そしていつしか家光が信平に変化している。お万の唇に乳房に触れるのは家光の身体を借りる信平だった。信平はお万の体をほしいままに君臨し、官能の魔術にお万は征服され、われを忘れ果てる

その夜お万は、家光への心の裏切りからくる官能によって、自分の罪業の深さを認めた
一方家光は性的未熟なお万を育て、今宵その体がようやく完全に花咲くを見て甘美な歓喜を味わい満ち足りた夜だった




片思いが両思いだったと知った瞬間、理性が働き現実に引き戻される

2022-02-21 13:15:47 | 日記
お万は家光御台所に呼ばれ中の丸殿に向かった。お万が自分の心の内にある御台さまの弟への恋心を自覚してから初めての訪問だった

お茶を一服頂いているとき、御台さまが話す「弟信平に縁談話がきているのだが、信平は縁談を断るので、説得してほしい」という。それからお万は信平の部屋に案内された

ただ沈黙、、
お万は窓から見える牡丹花に眼差しを向けている
沈黙が破られた

「信平さま、この度のめでたき御縁談、ぜひともお受けなされませ。私より一重にお願い申し上げます」
両手をついてお万はお願いする

信平は言った「私に妻をめとれとお勧めなさるということは、私のお万の方さまへの思いを汚らわしいと思われますからか?」

お万は感情にまかせ言った
「この縁談は、私の邪念を断ち切る天の助けだと思います」

これで二人は両思いであることを、お互い確認された、、その瞬間お万は理性を取り戻し思った
「今日は二人の恋の永遠の訣別の日にしよう」

それから信平への説得が始まる
「相思う気持ちは美しく罪ではない。けれども上様に仕えるこの身に生涯それは許されない
男の一生をこのような儚い恋に損なわれてはなりません。もしこれを聞き入れない場合は、私は御台さまへの面目を失い、もうこちらへは伺えません。信平さま、この切ない立場をお察し下さいませんか
信平さま、やがて年月過ぎて、必ず若い日の夢は薄れます。この一時の思いに前途を誤ることなく御縁談をお受けなさいませ
どうしてもお聞き入れくださらないのならば、私はこのままここにとどまります。そうすればどうなると思いますか?私は上様御成敗のお手討ちになり、信平さまもそのままでは置かれますまい。御台さまな身の上もどうなることが、、よくお考え下さいませ」

お万は現実の厳しさを説き、若者の目を醒まさせる、、と同時に自分にも言い聞かせていた



本当は両思いなのに、お互いが片思いだと思い込んで、お互いの気持ちを打ち明けずに終わる恋もあったはず

2022-02-21 12:26:33 | 日記
お万は不思議に感じていた
私が御台さまに会いにいく理由は当初は機嫌伺いだったが、最近は御台さまの弟信平君に会えるからではないだろうか、、何なのだこの感情は?
わが心の底の底をさぐれば、まさにそれに違いないと確信した。ショック!途方に暮れる思いがした

かつて、伊勢の尼寺へ入るとき、恋などは世の常には許されても、わが身は生涯許されないものとして、恋に代わり仏陀へ一筋に帰依した

将軍家光に還俗を強いられ、逃れる道なくそれに服して側室に召されたときも、あくまで将軍とは主従関係である。でいて体を許したのは家光ただ一人。私の胸の片隅にでも他の男の影を宿すことは主君を裏切る恐ろしい背徳である

しかし、日々、芽生えた恋は成長することをお万は意識しないではいられない。日に日に信平へ傾斜する心は他は欺くことはできても、自分自身は欺くことはできない境地に立つ
恋心の恐ろしさに怯えた

まず、信平自身に、密かに恋慕を寄せるわが心を覚られるのは、、耐え難い羞恥。今まで信平に純粋な好意を示したことまで汚れる。信平には恋されているとは絶対に思えぬ恋だから気弱になる

お万はついに自己抑制の鍵をかけ、もう中の丸には行けない、、と観念した、、だがあの時の信平の吹く笛の音色が胸にせまる、、

そんなとき、中の丸御殿から牡丹花の盛りを御覧いただきたいとの招きの使者が来た。お万は、、お招きを受ける返事を伝えた