春日局は将軍家光の喜ぶことは何事も叶えてあげたい忠勤精神で生きていた。お万という玩具が家光の手中に納められたことは春日局自身の満足でもあった
気がかりは「お万は上様によく仕えているのか」である
近衛天皇を悩殺した玉藻前は金毛九尾の狐の正体を現して、那須野に飛んで行き殺生石と化した妖しい美女だが、お万という伊勢の狐はまだ正体を現さず上様に仕えているのだろうな、、
という意味だ。正体を現せば家光は悲しむ
春日局は長い旅から帰ったばかりである。通常は給与額は春日局が指示で定まるのだが、春日局の留守中は将軍の指示で給与を定めていたので
春日局はお万の給与を聞いた
〈給与〉
★切米100石(年俸)
【御年寄は50石、将軍の女児を生んだお振150石】
★御合力金100両(被服費)
【御年寄50両】
★15人扶持(1日主人5合、部屋方3合ずつの計算で1ヶ月ごとに給与)
★炭
★薪
★風呂沸かす木
★灯油
★お万の弟が上様の御呼び寄せに預かる
★介添役藤尾も御切米25石(お万の被服費につぎこみお万を飾る)
ふむ、この給与額を見るとまだお万という伊勢狐は正体を現さず、将軍を化かして楽しませてくれているようだな、、しかし
春日局は長すぎた旅を悔いた