物を知る人は物の主となる
人を知る人は人の主となる
物を愛する人は、利を得て富み財産家となる
人を愛する人は、名を得て賢者となり政治家となる
人は、物を知り、人を知る
だが自身を知らず
物を愛し、人を愛する
だがそれを愛する者自身を知らず
真に自己を知る者は
自己を愛し自己に頼る
自己に愛着せず
自己を嫌悪せず
自己を軽視しない
自己を知らず、物と人を知る者は
やがて海水に沈没し、藻屑となる
自己を知るは
物を知る元、人を知る元
自己を知って初めて真に物を知る
初めて真に人を知る
自己の内に変ずる者あり
自己の内に変じない者あり
その変じない者を愛し頼る者は
すでに聖の域に立っている
この眼をもって物を見れば
物に対立的方面を観る
融通的方面を観る
融通的方面を愛し頼る者は
すでに聖の域に立つ
この眼をもって人を見れば
人に真実の方面を観
虚偽の方面を観る
その真実を愛し頼る者は
すでに聖の域に立つ
自己の不変に依り真実を観る
自己の不変に依るとは仏をたのむ事
仏に依る人は智慧を得る
進むを知り、退くを守るを智といい、空無我を知るを慧という
智によるがゆえに自らの楽を求めず
慧によるがゆえに自らの執着を離る
仏に依る人は慈悲を得る
苦を抜くを慈といい、楽与えるを悲
仏に依る人は方便を得る
正直を方といい、己を外にするを便
人が物に執着し、人を愛執するは、自身を供養すること。この心によって身を害し、家を滅ぼし、国を滅ぼし、社会を乱す
恐るべきは自己を恭敬供養する心
私は仏による事にて、この念から離れることを切に欲する