福原へ都を遷した後、平家の人々の夢見が悪く、いつも胸騒ぎがし、怪異な物が現れることが多かった
■岡の御所
大木もないのに、ある夜大木の倒れる音がし、2~30人の声でどっと笑う声がした
これは天狗の仕業だという事にした
■庭に怨霊
清盛が庭を見ると、髑髏(どくろ)が庭に満ち満ちて、上になり下になり、くっついたり離れたり、端の方の者は中の方へ転げこみ、中の方の者は端の方へ転げ出、カラカラと音を立て、一つに固まり合い、山のような大きさになり、大きな目が数知れずできて、清盛を睨んだ
清盛も睨み返した
髑髏は清盛からあまりにも目力強く睨まれたので跡形も無くなってしまった
■馬の尾にネズミが巣を作り子を生んだ夢
馬の尾に、一晩のうちにネズミが巣を作り子を生んだ。これは只事ではないと七人の陰陽師に占わせたところ、重大なお慎み事(一定期間家から出ないようにする)であると出た
■青侍の見た夢
正装した貴人たちがたくさんいて、会議をしていた。末座にいた平家の味方をする人(厳島神大明神)が追い出された
上座の古老(八幡大菩薩)は言う「平家が預かっていた刀を、今は源頼朝につかわそう」
もう一人の古老(春日大明神)が言う「その後は私の孫にも与えてください」
神の名を、夢を見ている青侍に説明をしている私は、武内大明神
という夢を見た
実際に清盛が夢のお告げを受けて厳島大明神から頂戴した刀を、いつも枕もとから話さず立てておいたのが、ある夜急に無くなっていた