■分裂自我
西に向かいたいと欲する時に
東に向かいたいと欲する
だが酒を飲んでは体に悪いから飲まないでおこうと思う
これを分裂自我という
2面に分裂してその決断に苦しむ
■総合自我
2面に分裂することなく、西に向かう時は全心西に向かう
そのような自我をいう
Aという概念起きる
反して非Aという概念起き
Aと非Aの2念を総合したBという概念が成る時の自我を総合自我という
Bという概念に対してやがて非Bなる概念の並起する時にまた分裂自我となり、やがてCなる概念の出来たる時に総合自我となる
人の生活は分裂自我と、総合自我とが互いに起きて連続する自我史である
■分裂自我を主とした生活は
相対的生活を送る
善を見る時は善だけ。片面の悪は見えない。悪を見る時も同じ
★道徳
善悪二方面の分裂自我
★芸術
美醜二方面の分裂自我
★学術
真偽二方面の分裂自我
■総合自我を主とした生活は
絶対的生活を送り、宗教的
善悪両面を見、善悪一如を観ずる
善悪一如
美醜一如
真偽一如
■自力門は分裂自我に傾く
他力門は総合自我に属す
よって宗教が宗教としての本能を果たし得る宗教は、他力門の宗教である
■分裂自我は自力妄執し破滅を謀る自我である
ゆえに苦痛、迷いある
苦痛、迷いは自己破滅の苦痛、迷い
■総合自我は自我拡大の自我
矛盾総合の自我
自我といえど大我である
仏心、如来相、他力信仰
ゆえに安心、希望
自己永続の安心、希望
自他
主客
善悪
美醜
真偽
総合の自我、絶対、仏心
■総合自我に頼る生活が、時に退いて分裂自我に入っても、相対にして相対に非ず。小我にして小我に非ず円融無礙(完全に溶け合って何も妨げがない)の真生活に入る