若い頃は自信を持ってお客様に見せる事の出来るプランがなかなか出来ず、何枚も何枚もプランを書いたもので、机の周りは丸めた紙が散乱していたのが思い出される。
プランがまとまらなかった理由を、いま振り返ってみると、多分プランづくりの”核”がなかったのだろうと思われる。
絵としてまとめようとしたり、形を綺麗に作ろうとしたり、結局のところ住み手のライフスタイルを考えず、行き着く場所が分からないままプランづくりの中で、自分一人がさまよっていたように思える。
いつ頃からだろうか?
プランが煮詰まらないで何枚も書き直す事が殆ど無くなり、クライアントからのプラン変更も部分的なものだけで、書き直す事も殆ど無く、最初のプランで決まってしまう。
これは、プランづくりの上手い、下手の問題ではなく、多分考え方の違いで、以前は自分が作るのだという思いの方が強く、住み手のライフスタイルの延長でプランを考える事をしなかったのだろう。
今は、住み手からプランを引き出す。
自分がプランを提案するのではなく、相手のライフスタイルを探りながら、言葉からヒントをもらい、それを形にはめ込み、その途中に”一ひねり”を組み込んでスパイスを加え、トッピングし、「まるで料理人のようだ!」と自分でもそう思えてくる。
物づくりは全てが共通し、相手の好みを何処に生かすかが大事な事で、それを引き立たせるスパイスを使いこなすのが料理人の極意で、目をにぎわせる飾りであったり、メインを引き立たせるスパイスであったり。
住まいづくりの原点はやはり住み手にある。