15年前、建設費用を原価で積算するよう方向付けようと、協力施工業者に働き書けた。
最初は、業者からの反発もあったが、今は逆に原価を表に出す方が楽だと言っている程だ。
原価計算は特別ややっこしいことではなく、逆に施工業者の手間が省ける事になる。
見積書作成は、設計者から図面を受け取り、工務店の下請け業者に工事範囲の図面を流す、基礎工事、サッシ工事、屋根工事、外壁工事、板金工事、家具工事・・・・。
と、約20社以上の業者に依頼した見積書が届くと、積算が始まり、積算担当者が、下請けからは出てこない部分の数量積算を行い、それと平行し各下請けから出された見積書の内容と数量をチェックしながら、値交渉を行う。
金額と施工内容を確認し、納まりの悪いところがあれば、修正を加え、予算の変更をも含めて発注金額を決めていく。
この時点で、建物の品質は決まっていくので、本来はその家の現場を担当する現場監督が積算を行えば、業者と打ち合わせした納まりは、間違うことなく現場で施工されるが、見積もり者と現場監督が異なる場合、伝達の不備や、施工業者の思い違いなどで、決めた通り施工されない場合もある。
建物の良し悪しは、設計図は元より、施工する側の現場監督の技量によって大きく違いがでる。
知識や現場経験が多い監督程、積算数量や単価は手直しする必要もなく、ほぼ正確な内容であがってくる。
しかし、施工業者も決められた経費以外に、予備費や経費の上積みをと考えているのが本音で、経験や知識のある監督ほど、巧妙に予算確保を積算の中で分からないように盛り込んでくる。
施工業者から出された内容をチェックするには、する側も積算の経験や、現場監督の経験なぞ実際経験を積んでいなければ、出された予算を見極めることが出来ず、殆どの設計事務所はこの見極めが出来ないため、見比べて施工金額の安い業者を選ぶ為、今なお競争入札の手段を持って業者を決める。
原価で積算すると言う事は、100円の物を掛け値無しで消費者が買える事になる。
その原価100円が高いのか安いのかを判断するのが我々設計者側の技量であり、知識であり経験によって見極めなければならない事となる。
今年3月から着工する立て替え工事で、既存建物の解体があり、建物予算は、建設費と解体費がそれぞれ出されており、建設費は2700万円で、解体工事は350万円の費用となっていた。
私の経験の中では200万円程度で解体ができると考えて予算配分をしていた。
しかし、進入道路が狭く、隣の畑を一部使わせて頂き、20メ-トル程度の進入路を造るために50万を考えていたのが、350万は高いと感じたので、こちらで信頼の出来る解体業者を探し、現場をみせ、担当者を呼び値交渉をしたところ、こちらの思惑の進入道路を含み250万円で承諾が得られた為、見積書を調整、その他、建物の各項目の金額の修正と、部分的に仕上げ内容を変更し、消費税込みの2700万円の建物費用と解体費350万円を査定し、最終的な建物予算は、2570万円と解体費250万円となった。
結果、建物費用が130万円の調整と、解体費の100万円の調整で合計230万円の減額で、お施主様と工務店の契約が完了した。