さて、不動産屋から敷地実測図が届いた。
思っていたより奥行きがありそうだが、多分法面の部分が少し有るのだろうが、プラン上は思ってたより、無理のない所で納まりそうだ!
物づくりは楽しいもので、無の物から生み出される驚きもあり、私達の仕事は「きゃ~ぁ素敵!」・・と言わせる仕掛け人でもある。
今までの経験が私達の財産であり、その経験を如何に使って予算の中にはめ込むかが思案しどころでもあり、名案が浮かべばこちらの喜びでもある。
今回のN邸では、ひな壇敷地を生かし、ビルトインガレ-ジを考えているが、鉄筋コンクリ-トで作ってしまえば、見込み予算として、250万以上の予算を注ぎ込まなければならない為、木組みのガレ-ジを検討中で、せっかく木組みにするのだから、重量感の有る木組みを考え、不利な要素だと諦めず、違った面白さを持たせればその価値も上がると考えている。
昨日N様とスカイプを使ってプランの打ち合わせを行った。
こちらの画像がぶれないように、ア-ムを取り付け、自由にカメラが動かせるよう工夫した。
第二案のプランは、ご主人にも奥様にも気にいってもらったようで、早速各部屋の要望を、奥様のつくり始めている”住まいづくりノ-ト”をカメラで写してもらい、要望の聞き取りを行い、出来る要望、予算的に難しい要望等の見通しも含め打ち合わせを行った。
ご主人の仕事の都合で20日過ぎでないとシフトがはっきりしないとの事で、直接合って打ち合わせはその後となるが、それまでの間は、パソコン上での打ち合わせとなる。
パソコンを使っての打ち合わせは以前から取り入れ、カナダにログハウスの丸太を発注する際は、ウエッブカメラを使い、細部の納まりの打ち合わせを行っているが、クライアントとの打ち合わせはN様がはじめてですが、不都合は今のところ感じられず、遠距離の往復時間2時間が節約出来、
家事の合間にアクセス出来る便利さがあり、N様にも喜んでもらっている。
限られた予算の中で、どれだけ満たされ又納得出来る家を作るかが家づくりの面白さであり、難しさでもあるが、双方に言える事ではあるが、押しつけが有ってはならない。
お互い要望を受ける側は、単に要望を満たす作業が我々設計者の仕事ではなく、その要望に一ひねり加え、
「キャ-ァ・・凄い!」と言わせたい。
土地探しから始まる場合は、要望を聞いて上で出来るだけ安い土地を不動産屋に依頼し、集まった土地情報で総予算から買うことの出来る土地を見て、環境や立地条件に問題がなければどんなプランが入るか検討する事にしている。
土地には家が建っていないときの土地の良さと、家が建つことによってその土地の良さが発揮されることがある。
その土地だから出来る良さが必ず見つかる。
立地条件の良い土地や、地姿の良い土地は値段も高く、土地の予算が高すぎると、住まいは貧祖な物にならざるをえない。
何にもバランスがあり、住まいは土地と家がセットで”住まい”と言えその土地が持っている良さを最大限に生かしてこそ良い住まいになる。
土地から住まいを計画する場合、土地予算は総予算の30%以下で買うのが理想なのですが、なかなかそうは行かない。
利便性や環境から探すと、土地のウエイトが50%になってしまう。
総予算が5000万円とか6000万円の予算であれば半分を土地に投入しても、問題はないが、不況の時代そうそう冒険も無理も出来ないのが現実で、出来るだけ負担の少ない金額で家づくりを考えてあげたいと思っている。
今回の案件も、土地から探し始め、60坪500万円の物件情報が入り、500万円の土地なら多分道も狭く気に入って貰える土地ではないだろう・・・と思いとりあえず地図で確認し、物件を確認するためにでむいた。
その土地は、一見あまり気を引きそうな土地には見えなかったが、隣接する家や敷地の形状から、考えられるプランを頭の中でシュミレ-ションしていくと、「お!・・・なかなか良い土地じゃない?」と思えて来て、早速事務所に帰ってプランをはめ込む事にし、自分がここで住むとすれば、こんな家に住みたいと思ってプランづくりをするが、
近い価値観を持った人の場合、全くプラン変更無しで進んでしまう場合がよくある。
今回もその乗りで、プランを作り、次の日にそのプランをファックスし、お客様の反応を待った。
日曜日Nさんが事務所に訪れた。
住まいづくりにこだわりを持った方で、”住まいづくりの本”
を御覧になって、Nさんのこだわりと、遊び心に火がついたのかも知れない。
当社では、住まいづくりの際、最初に大学ノ-トに要望や気に入った記事や写真をそのノ-トに貼り付けてもらったり、思いついた要望なぞ書き留めてもらうようにお願いしている。
新築の際持って行く家具の寸法、家電、洋服ダンスに納まっている服の枚数、靴の数、等々、全て家づくりに関する情報をノ~トに書き留めてもらい、無駄のない家づくりをするための大事な情報となっている。
Nさんは、現在奈良にお住まいのため、打ち合わせにPCのメッセンジャ-”スカイプ”をダウンロ-ドしてもらい、
ウエッブカメラを使いながら、自宅にいながら打ち合わせが出来るようにと提案し、わざわざ出向かなくてもいい打ち合わせはスカイプを使って情報交換は出来る。
今後、N邸が完成するまで、スカプで細やかな情報交換が出来、不安や分からないことは簡単にアクセスが可能で、打ち合わせまで不安を持ち続けることもなく、こだわりの住まいづくりに役立ってくれるだろう。
”住まいづくりのこだわり”は設計側から考えると家づくりにおいて、最も大事なことであり、こだわりを諦めない事が本質的に良い住まいを造り上げる原点とも言える。
住まいづくりに限らず、”こだわり”は持っているが、自分自身の判断で通せるものと、人が絡み、こだわりの難しさがでて思い通りに行かない事もあるが、住まいづくりのように、人が絡み、お金が絡み、知識が絡む場合は、多くのハ-ドルを越えなければならず、殆どの人が”素人だから”とか”お金がかかるから”とかの壁を越えきれず、諦めてしまい、ラベルの価値で満足してしまう結果になってしまう。
住まいづくりの大切さは、建ててしまったら後戻りすることが出来ず、その後何十年も住み続けなければならない。
私は35年家づくりに関わって来たが、何時も感じるのは、「大切な家づくりを何故、簡単に託してしまうのだろう?」との疑問が残る。
こだわりを持つと言うことは、同じ色に染まる事を良しとしない人で、あくまでも自分に正直に生きようとする人なのだろう。
昔は、そんな人は”変わり者”だとか、”難しい人”だと言われ、ともすれば仲間から排除されがちでもあった。
自分の必ずしも色に染まる事に安堵を覚える人ばかりではなく個性を持っている人であっても、それを出し切れない環境であったり、そんな場所にたどり着けなかったり、その方法を知らないで満たされないまま終わってしまう場合もあるのだろう。
何事に対しても、諦めることなく自分の意思を曲げるlことなく、妥協で終わらないで自分の思った物を手に入れる為に努力しなければならない。
昨日奈良からお客様がこられ、自分が気に入る家を手に入れたいと相談に来られた。
過去に、ハウスメ-カ-に家づくりを相談した事があったが、一般的な間取りや新建材で仕上げられた家ばかりだったので、興味を引く物は無かったと言う。
当社には住まいづくりに”こだわり”を強く持っている人が訪れる。
自分の気に入った土地が出ても、建築条件が付いているので当社に設計してもらえないと言う理由で購入を止める人、契約し200万円もの契約金を支払っていても、やはり”自分の想い通りの住まいづくりを”・・と契約金を放棄し当社を訪れる人。
そんな、こだわりを強く持って”家づくり”に臨む人は、プランニングもあまり迷うこともなくスム-ズに進み、プランを何回も書き直す事は殆ど無い。
自分の住む家のイメ-ジをしっかり持っている為、こちらはそのイメ-ジを理解し、それにあったプランを線で表現すれば殆ど手直しはなく、プランが決まる。
若い頃は、何回もプランを書き直し、プランづくりに多くの時間を費やしたが、こちらの未熟さもあったのだろうが、強いこだわりを持った人も少なかったのかも知れない。
今は、殆どのクライアント様が、自分の色をしっかり持ち、
”住まいづくり”臨む。
住まいづくりの良し悪しの多くは殆ど依頼者側の考えによって決まって来る。
依頼者がどれほどの情熱を持って 住まいづくり に臨むかによって私達設計者はその波長に合わせテンションもあがるのだろう。
事を動かすのはプロの域で決まるだけではなく、こだわりを受け、その人の喜ぶ顔がみたくなり、いい家へと繋がる。
安心を得ると言うことは、穏やかさと求める事と、不可を無くすと言うことになる。
安心とはなんだろう?
物から得るものなのか、それとも感覚的なものなのだろうか?
安心は自らが手に入れる物ではなく、相手から与えられるものだと思っている人が多いのではないだろうか?
自らを守る意識が弱いのが私達日本人なのかも知れない。
周りを海に囲まれ人の流入が殆ど無く、独自の進化をしてきたと言ってもいい。
攻められ植民地になったことも無く、穏やかな国であり、外的から身を守る必要はなく、守られている中で生き繋いで来たため、内面的な強さを持つ必要が無かったのだろう。
生きながらえる為に必要なのは、外敵からではなく仲間の中から弾かれる事を恐れ、周りを気にしその流れに乗ることが守る事に通じ、異端児としては生きられず、共鳴することが生きるための手段で、私達は知らず知らずのうちに、その”すべ”が遺伝子の中に組み込まれ進化してきたのに違いない。
多勢に無勢、長い物には巻かれろ・・・・出る杭は打たれる。
今、陸の孤島であった日本は過去の物で、簡単に海を越えることができ、世界の情報を瞬時に見て取ることが出来る時代に入り、私達の中にすり込まれた遺伝子を排除しなければならない時代なのだろう。
自分の身は自分で守ると言う意識を強く持ち、貴方任せの考えを捨て、理屈で物事を考え”みんなに聞いてから考える”と言わず、自らが自らの選択肢を選ぶ強さを持たなければ、国が守ってくれる訳でもなく、周囲が守ってくれる訳でもない。
自分らしく生きて生きたいとの思いは強いにもかかわらず、いまだに大きな流れの中に身を置く安心感を捨てきれずにいる。
日本の政界で、過去の戦後復興において、官僚達の国の復興を目出す働きは大きく、日本の躍進は世界から見ても驚異的でもあったのだろうが、国が安定し、高度経済成長に入ると、人は楽に過ごしたいと考えるもので、安定の上に官僚達はあぐらをかき、定年退職後も楽に過ごせるよう組織を作り、天下りにより安定を図る事を考えたのだろう。4500もある法人が12兆円もの私達の税金を使っている。
全てが必要のない組織だとは言い切れないにしても、何が必要な法人なのかすら私達は知ることが出来ないのが現状で、その仕分けは国民が選んだ国会議員に託さなければ仕方がないのかも知れない。
しかし、ここまでにしてしまった責任は私達にもあり、貴方任せのしわ寄せが、今の日本であり100年に一度と言われる不況だと言い訳をしている私達国民なのかもしれない。
人任せの気質は私達の建築界の中でも見られ、自分を守る術を持って望むクライアントは少ないように思われ、
住まいづくりを託す業者を選択する際、良い住まいを造りたいとの思いは全ての人が持っているのだろうが、
その為の選択肢を考えるのではなく、”安心”を手に入れようとの思いの方が強く、品質が高く、建設費用の無駄を無くすためにどうすればいいのかは考えず、安心に執着する。
いつの間にか日本は殆どの物に保証をつけ、5年保証、10年保証と保証の中身を考えず、保証の長さを見てしまい、とうとう住宅にも100年保証と数字だけが作り出され、その中身を見極めることなく信じてしまうのかも知れない。
今、85年前に建てられた住宅のリホ-ムの依頼があり、昨年暮れから現況の建物の調査を行った。
建物の傾きや不同沈下の有無等と、耐震強度が主な調査項目で、傾きは何処にも見られず、沈下も起こしていない。
耐震強度は0.28と建てられた当時は、耐震基準もなく、大工さんの技量で考えられた程度のもので、地震が来ればこの家は必ず倒壊する事が判明したが、耐震壁を増やし、耐震診断の結果1.28まで強化出来る。
85年前に建てた建物でも、耐震補強と断熱を強化することで十分住める建物になり、保証は付いていなかった家だが、もしかすると100年保証の付いた今の建物よりも品質の高い家になるかも知れない。