テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

最高の朝食

2013-05-02 23:00:52 | 日記
子供の頃、母の叔母の家が、山間の川と国鉄で開けた町にあり、休みなどよく泊まりに行っていた。
すぐ近くの消防団の正午のサイレンが町中に響くような、小さく簡素な町でしたが、側溝にはいくらでも採れるカエルやメダカがいて、山に入れば、クワガタやカブトが集る樹がある、そんなところでした。
その家には五右衛門風呂があり、重くずっしりとした底板は、その家の主人しか上手く風呂の底に引っかけることができず、小さな頃の私には不思議な感じがしました。油団がひんやりとする縁側に面した部屋からは、自家畑と、鶏小屋が見え、朝になると、キュウリや青菜、卵を取ってきます。鶏小屋は、3羽ぐらいが中で動き回れるくらい大きなもので、イタチなどにやられないよう、犬小屋の近くにあり、頑丈な金網が二重に施されていました。
朝ご飯は、味付けのりと味噌汁、漬け物が主体でしたが、ある朝、ご主人が、卵の白身を何かの糊に加工するとのことで、その朝取った卵を全部朝のうちに割って、黄身だけで、卵かけご飯が朝食になりました。刻んだ古漬けを添えたその卵かけご飯は、醤油も全く必要とせず、新鮮で濃厚な黄身のおいしさが、一口ほおばるごとに、口中に感じられ、古漬けの塩味も程よく、あれから何十年も経ちますが、あの朝ご飯ほどおいしい朝食には巡り会っていません。