テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

関東ローム層

2013-05-24 23:23:35 | 脱線して底抜け
ある程度以上の年齢の方は、「富士山(や浅間山など他の火山も)の噴火した火山灰が積もって出来たのが関東ローム層である」と教えられ、富士山ってスゲェ~という感想を持ったりしていたはずです。実際、火山由来の成分が多く検出されるのは事実ですが、大きな噴火のない現在でも、毎年わずかずつ積もり増していくローム層の本質は、風により舞ったホコリの沈降だということです。冬の間、地衣、草が減り、また春になって緑に覆われる前に、比較的新しい表層の土壌が、風に舞い、偏西風などにのって、関東平野に運ばれてきたホコリ、それが関東ローム層形成の主役だと云われています。物理的(風の流体力学)に、広い平面に沈降した塵芥は吹き溜まりのように再度風に乗って舞う割合が少なく、静的な堆積となっていきます。あらためて考えれば自明の理であるような事柄ですが、よりダイナミックである火山灰の堆積という説明に惹かれるように、得心していたわけです。日本の地質学の草分けは、ローム層にしろ、フォッサマグナにしろ、海外から渡来した学者による貢献が大きかったようです。それも理由の一つとしてあるのかもしれませんが、正しくない風説が長い間訂正や再検証されずに事実として受け入れられてきた、ということであり、地質学に限らず、現在でも他の分野において、まだ、似たような事象が多くあります。