2011年3月11日午後2時46分。
少し寒い日だった。
都内の職場で揺れを感じた。
「少し大きいね」
普段ならすぐに収まる揺れが収まらなかった。
休憩室の小さなテレビで
人が津波にのまれるのを見た。
お台場で火事だという話を聞いた。
東京タワーが曲がっていた。
電話がつながらなくなった。
遠距離通勤組は帰れないと、
近所の旅館で一部屋を確保した。
地震から2時間ほどで、
コンビニの棚が空っぽになっていた。
日暮れごろ、職場の近くに食事に向かうときに見た
ヘルメットをかぶって帰宅する人たちの波。
その波に逆らって歩きながら
いま自分がいる世界はリアルなのかと疑った。
夜になって、テレビの画面では
製油所の火災を報じていた。
新幹線が動いていると聞いて、東京駅に向かった。
大手町から東京駅への通路には
帰れなくなった人たちが座り込んでいた。
卒業式の袴を着ているひともいた。
薄暗い東京駅の中で、
東海道新幹線乗り場だけに明かりがついていた。
新幹線に乗った瞬間、安心感で腰が抜けた。
写真はほとんど残っていないけど、
ひとつひとつのシーンは、忘れようにも忘れられない。
あれから10年たったのですね。
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