白井健康元気村

千葉県白井市での健康教室をはじめ、旅行、グルメ、パークゴルフ、パーティーなどの情報や各種コラムを満載。

天ぷらが苦手 岩崎邦子の「日々悠々」(70)

2020-02-21 04:57:46 | 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(70

天ぷらが苦手 

 

    その昔、私に肌の乾燥の心配を説いてくれたSさん、お互いの生活環境も変わりすっかり疎遠になってしまっていたが、彼女の近況を教えてくれた人がいる。Sさんは、夫の葬式にも息子に手を引かれて、何が起きているのか理解できず、うつろな目をしていたとのことだ。

 Sさんとは、市川市に住んでいた頃の友人の一人である。もう40年程も前になるが、友人たちとの食事会で、

「このてんぷら、食べてもらえる?」

    と、私は誰にともなく言ってみた。食材には特に嫌いなものはないのだが……。

「ほんとに良いの?」

    隣にいたOさんが引き受けてくれた。私が天ぷらを苦手としていることを察してくれてのことだ。するとSさんから、

「油分を取らないと肌がカサカサになるよ! 足のかかとにもひび割れができるよ!」

    と忠告された。

    そんなわけで、友人たちとの会食で、「天ぷらはちょっと」などと言っていると、今後は誰も誘ってくれない懸念を持ちつつも、つい本音をさらしてしまうように。子供たちの育ちざかりには、我が家でも、天ぷら、コロッケ、豚カツ、牡蠣、鯵のフライなど、何でも作っていた。だが、外食でそれらのメニューを食べると、気分が悪くなるようになった。

 実家に帰省した時の食事の際にも、「家で作る天ぷらは大丈夫だけど……」と、暗に苦手になっていることを義姉に告げたところ、地元では高級な店に兄が案内してくれた。「ここの天ぷらなら良いだろう」と。

    確かにからりと揚がっていて、美味しかった。堅物の兄は満足げな顔をしていたので、ホッとはしたものだが……やがて胸がむかむかとし始めて、いつまでも治まらない。ああ、やっぱり外食の天ぷらはダメなんだなぁ。

    そうこうするうちに、自家製の揚げ物でも同じ症状が出るようになった。それだけではない。おやつの煎餅類の裏書に「植物油使用」の文字があるのも、胸やけが起きて気分が悪くなった。私の体はどうなっているの? 肝臓か、どこか悪いのだろうか?

    ある日、新聞の片隅に、油の話が聞ける講演があることを知り、有楽町フォーラムに出かけた。何年も前の事なので、油の種類については下記のように、ざっと、ネットで調べた。

 

①飽和脂肪酸―ラード、乳製品(チーズ)、ココナツオイル

 食べ過ぎると、血液がドロドロに。

②αリノレン酸(オメガ3)―荏胡麻油、亜麻仁油

 体内に入ると、EPA・DHA(サバ・イワシ・サンマの油)に変化して血流を促進する効果がある。血栓をできにくくなり、悪玉コレステロールを除去するので、心臓や脳の病気を予防する。

③リノール酸(オメガ6)―サラダ油(精製された植物油)、大豆油、紅花油、菜種油

 ヒトの体に欠かせない必須脂肪酸だが、不飽和脂肪酸で酸化しやすい。

④オレイン酸(オメガ9)―オリーブオイル、アボカドオイル

 酸化しにくく、悪玉コレステロールを除去。 

 

 私にとって講演の話の中で最も印象に残ったことがある。揚げ物料理をするとき、リノール酸を200℃前後に加熱すると、毒性物質が大量発生するので、サラダ油などは加熱しない方が良い、という事であった。

    なるほど、私の体は、油の長時間加熱による毒性物質に反応したのだと、納得をした。同じ油でも熱を加えないオリーブオイルなどは、摂取しても大丈夫であったのだから。そこで改めて、毒性物質についてネットに書かれていることを拾い書きしてみよう。

 

    油は、200℃に加熱しなくても、リノール酸が体内に入り、酸化ストレス(酸化反応が亢進する状態)がかかると、体内でヒドロキシノネナールが発生。体内に蓄積すると、細胞にダメージを与え、神経細胞やあらゆる臓器の細胞を変化させ、やがて死に追いやる。サラダ油は臓器の低下を招いたり、動脈硬化を進行させたりする、諸悪の根源である。日本人にアルツハイマー病や2型糖尿病の多いのは……云々。

 

    サラダ油が、ここまで悪者にされていることには、驚きでもあるが、しかし、体質によるという説もあるようだ。 病気が気になる人や、油のことを詳しく知りたい人は、ネットを見れば、いろいろと書かれている。

 油で良いのは荏胡麻油・亜麻仁油だが、加熱には向かない。ポリフェノール含有量が多いエキストラバージン・オリーブオイルを、ドレッシングにしたり、生のまま、みそ汁などに振りかけたりする。オリーブオイルも10%のリノール酸を含むので、炒め物程度が良いのだそうだ。

 ところで、肌の乾燥やかゆみ、かかとのひび割れなどに影響するのは油ではなく、たんぱく質の摂取がより大きく影響することも学ぶことにもなった。しかし、それぞれの「食」の嗜好に対して、とやかく言う事ではないのかも。健康も大切だけど、「食」はより楽しいものでないと、ね。


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 名物記者とアイリッシュ・コ... | トップ | 大野伴睦  日韓国交正常化... »
最新の画像もっと見る

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」」カテゴリの最新記事