白井健康元気村

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野菜の収穫が楽しい 岩崎邦子の「日々悠々」(99)

2020-09-11 07:09:41 | 【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」

【連載エッセー】岩崎邦子の「日々悠々」(99

野菜の収穫が楽しい 

 

 

 台風シーズンになった。9号と10号と台風が続き、それらが大型であることで、「経験したことのないような強風になる!」など、天気予報ではそれに対する備えと警戒を報じていた。台風銀座の沖縄諸島や九州地区への、豪雨も伴う心配もあって、河川の氾濫などの諸注意も。

 9月の第2週明けになると、ニュースでもワイドショーでも被害状況がだんだん判明。コロナと高温と台風、被災地の人々の、気の休まることのない日々に心が痛む。台風の余波だったのか、関東の各地や都心にも、短時間ながらゲリラ豪雨に見舞われる映像にも驚く。

 不遜な私は、「この辺にも雨、もっと降らないかなぁ」と独り言ちる。「大粒の雨が来た!」となっても、あっという間に、止んでしまう。我が家の近くには山も川もないし、集合住宅の6階なので、間違って近くの調整池が氾濫することがあったとしても…と、身勝手なことを思う。

 ま、言い訳をすると、本当は私が所属している農業クラブの畑に雨が降って欲しいのだ。とまた、偉そうなことを言っても、私はもっぱら野菜たちの収穫を楽しんでいるだけなのだが……。

 今年になってから白井健康元気村村民の柳橋三郎さんが農業クラブの畑を担当されている。毎日のように畑に通った成果が表れた。野菜の種類も多くなり、見事な畑に様変わりしたのだ。忘れてならないのは、横山久雅子さんの努力だろう。彼女は去年の夏も、今年の夏も、草むしりや、畑の手入れなどを黙々とされてきたのである。

 私も畑の手入れの大変さは、市川に住んでいた頃、近くの貸畑で体験している。整地して奇麗にすると、野良ネコに荒らされ、種を蒔けばカラスにほじくり返された。それでも、葉物くらいは何とか作っていた。素人ながら土を良くしようと、肥料を買いに行くと、

「畑は肥料より、まず、土を深く耕すことが大事なんだよ」

 と、売り場の小父さんに怒られたこともあり、力の無さを痛感したものだった。

 農業クラブの畑で出来たタマネギ、らっきょ、にんにく、じゃがいも、など、収穫祭と銘打たれた日には、会員が集まって分け合う。その後の茄子、キュウリ、ミニトマト、モロッコインゲン、などは、会員が個々に出かけて行って収穫する。

 他にも畑には、スイカ、かぼちゃ、ゴーヤ、ヘチマ、などがある。8月29日にはスイカの収穫祭が。我が家はその日都合が悪くて欠席したが、白井健康元気村のブログには、楽しそうな会員の写真が掲載された。

 夫は、無類の茄子好きなので、畑に出かけていくのを楽しみにしている。すると、野菜の手入れを担当してくださっている柳橋さんや、横山さんに出会うのだ。ろくなお手伝いもしない私達だが、いつもニコニコと迎えてくださる。

 ある時、横山さんは一人で棒を土から引き抜きながら、片付けておられた。収穫が終わったキュウリの支え棒だろうか。私もお手伝いが出来るかなと、挑戦してみたがビクとも動かない。横山さんは「私は慣れているのよ」と言う。

 でも、慣れだけではないようだ。「女性には難しいことですよ。片付けは大変な作業でね」と、柳橋さんが、そのあっぱれ振りを、称賛する。畑作業は他の方もされているだろうが、度々出会うのはこのお二人だけだ。

 野菜の収穫は、各自どうしているのか。他の会員のためにも、いくら茄子好きといえども5個と制限されている。大の茄子好きである夫も、それを守っていた。が、また違う日に行っても、採る人があまりいないのか、大きくなりすぎたのもある。キュウリもしかりで、すごく大きくなってしまったものもある。柳橋さんの「味は一緒だよ」の配慮で、茄子もキュウリも余分に貰ってくる。 

 モロッコインゲンを間近に見て、ハサミでチョキンと取るのは、初めてだ。スーパーで買うのは太くて茹でても硬いのだが、こうして取り立のものは、瑞々しい青さのまま柔らかい。いろいろな食べ方があって、生姜の擦り下ろしとゴマ、醤油で合えることが多いが、甘味噌も美味い。

「サラダに入れて、カットチーズも一緒に」との横山家の食べ方も美味しかった。畑には柿の木があって、その根元には名荷があることをも、横山久雅子さんから教わった。夏の料理の薬味として、大葉や生姜と共に王道である。百日草が見事に花を咲かせた。柳橋さんは「どんどん持って行ってよ~」と。

 茄子の好きな夫である。一番簡単な鴫焼(油で炒めて生姜醤油)から、マーボ茄子、茄子グラタン、三五八漬け、煮物、無限茄子など、どんな調理法にしても喜んでいる。無くなるとまた畑に出向くこと度々。

 柳橋さんはすでに畑の手入れ作業中。佐藤さんは、水を乾いた畑に撒いておられる。畑への水やり作業が大変なご苦労であることを改めて知った。元気村村長の玉井さんが、畑の主の農家から水を分けてもらい、大きなプラスチックバケツで運ぶ。その水のお陰で日照り続きの畑でも、野菜は育っている。畑で作物を作ることは、雨や日光など自然の恵みが大きく作用するのだ。

 野菜収穫の時には、ブルーベリーにも必ず手を伸ばす。数本あるブルーベリーの木は、この畑を借りるときに植えられたらしい。ブルーベリーは大木にならないので、手が届く範囲で実がなる。紫の可愛い粒は、一気に色づくわけではない。だから、畑に行くたびのお楽しみでもある。冷凍保存をして長く我が家の食卓の友に。

 雨が続いた7月、酷暑となった8月と、農作物には厳しい事態が続いていた。けど、長く野菜作りをしてきた人にとっても珍しい出来事が。里芋に花が咲いたのだ。健康元気村のブログにも写真入りで紹介されたので、私も早速畑に行ってみた。

 水芭蕉かカラーの花の形に似て、薄い黄色をしている。この夏の異常天候が続いたことで、奇跡の「里芋の花」が咲いたらしい。花を目の当たりにして、早速、スマホで撮った。やがて秋らしい日々もくることだろう。里芋の収穫祭も楽しみに待たれる。


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