白井健康元気村

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歯が健康寿命を延ばす! 高齢化社会で注目される歯

2021-12-12 18:39:01 | 健康講座

歯が健康寿命を延ばす!

日本顎咬合学会の俵木副会長が講演

▲講演中の俵木医師

 

白井健康元気村「健康講座」

 白井健康元気村の主催(後援・日本顎咬合学会)の「健康講座」が12月11日、白井市文化会館2階の「かおりホール」で開催(後援・日本顎咬合学会)されました。日本顎咬合学会副理事長の俵木勉医師が講師で、演題は「超高齢社会の日本で『チーム歯科』のできること」。

 1989年に厚生省(現・厚生労働省)と日本歯科医師会が「8020(マチ・マル・ニイ・マル)運動」を提唱しました。80歳まで20本以上自分の歯を保とうという運動です。しかし、最近では「8028(ハチ・マル・ニイ・ハチ)」と「8029(ハチ・マル・ニイ・キュー)」運動が注目されているとか。

「8028」は、80歳になっても28本の歯で食事をしたいという願いを込めた運動。一方、「8029」の29は肉のこと。つまり、80歳になっても肉を食べようという運動です。

 しっかり噛んで食事をとることができないと、全身の機能に悪影響を及ぼすだけでなく、認知症との関係もはっきりとわかってきました。俵木医師は現在、可能な限り歯を保存し、「8028」を目指しているそうです。
 残念ながら歯を失ってしまったとしても、理にかなった歯科治療を受けることによって、「8028D」(DはDentistry、つまり歯科医療の略)となることが健康寿命を得るためには欠かせません。 
 講演は休憩を挟んで約1時間半。前半は通常の義歯治療における咬合の大切さについて、そして後半は歯科医院を出て、高齢者施設などで行っている義歯治療を動画も交えて説明。この中で歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士の三位一体となった「チーム歯科」の実態が明らかにされました。

▲講演を熱心に聞き入る来場者

 

健康な歯で「人生100年」を実現

「人生100年」だそうです。そんな超高齢化時代を迎えた今、歯の健康が注目されてきました。俵木医師は、入れ歯や義歯、インプラント治療で見違えるほど歯が改善された患者の例を、プロジェクターで画像を映しながら何件か紹介します。

▲すれ違い咬合健康を台無しに

 入れ歯を治療中の女性は、団子が食べられないし、お餅も何年も食べていないので、「今年はどうしてもお友達と同じものを食べたい」というのが願いでした。しかし治療後、「今、食べられないものは、とくにないです」と喜びでいっぱい。ホタテの貝柱、千枚漬けや奈良漬け、そして、カリントウも食べられるようになりました。体重も34㎏から36㎏に増えたという。

 また、「ある患者さんは食べられるようになってから、天国に行かずに、グァムに旅行に行かれました」と俵木医師は嬉しそうに語ります。治療のやり甲斐があるというものです。

 最近、QОL(Quality Of Life)という言葉が話題に上ります。治療中や治療後の患者が充実感や満足感を持って生活しているかを計る基準として用いられる考え方だとか。

 俵木医師は、「短時間で的確に義歯治療を行い、患者さんの口腔機能やQОLを上昇させることが重要である」という東京医科歯科大学の水口俊介教授の言葉を紹介し、治療の直接的な効果だけでなく、QОLの向上も医療の重要な要素だと説明しました。

▲いくつかの治療例を紹介する俵木医師

 

高齢者は「柔らかい食べ物を」というウソ

 そして、こんなことも。「年をとったら、柔らかい食べ物を」と考えがちですが、俵木医師は完全に否定します。それどころか、噛まない食事を続けていると、咀嚼機能が低下し、誤嚥や誤嚥性肺炎、あるいは胃ろうになるという最悪の結果を招くと警鐘を鳴らします。

 損保保険ジャパンが介護施設の入居者を対象に毎年ヒアリング調査を実施していますが、「楽しみにしていること」のベストスリーは、①食事、②人との交流、③外出。これは数年前から同じだそうです。「食べること」と「話すこと」といえば、いずれも口腔機能と関係しているではないですか。

「眠くなったときにガムを噛むと、目が覚める。認知症を治すにも噛むことが大切です」と俵木医師。講演の最後に、こう締めくくりました。
「現在、日本は超高齢化社会の真っただ中です。以前に経験しなかったこと、病気や不都合が突然現れます。それに対して、私たち『チーム歯科』と日本顎咬合学会は日本社会に何ができるのかを常に考えて実行しています。これからも志を同じとする歯科、医科、介護と連携しながら、国民のために働いていきます」

▲医療ジャーナリストの油井香代子さんも会場に

 講演の後は質疑応答に移り、参加者から積極的な質問が飛び交い、2時間にわたった健康講座が終わりました。帰り際、一人の女性がこう言いました。「私、もっと前にこの講演を聞いていたら、人生変わっていたのに、ほんと残念だわ」

▲「最近、寝ていると歯が痛くて。虫歯でしょうか」という韮沢正さん(76)に、「痛いのは何も虫歯だけが原因ではありません。歯の上には鼻があるでしょ。蓄膿症になっても歯が痛くなる」

▲「柔らかいものではなく、硬いものを食べろとおっしゃいましたが…」という肉が大好きな男性に、「噛んでいるときには無理なことはしない。たとえば煎餅を噛んで歯を壊すことはありません。スルメも大丈夫。注意したいのは、眠っているときです。無意識のうちに強い力で歯をギシギシすると歯が摩耗してしまう。ただ氷の塊を噛むと歯を壊すことがあります」

▲誤嚥について質問した白井健康元気村村民の横山祐作さんには、「ちゃんと咀嚼すると誤嚥はしません。しっかりと噛めば、自然と食道のほうに流れていきます」

 

【俵木勉医師のプロフィール】

 いづみや歯科院長。昭和32(1957)年生まれ。昭和57(1982)年に城西歯科大学を卒業する。昭和61(1986)年に同大学大学院を修了(歯科博士号取得)後、埼玉県狭山市で「いづみや歯科」を開業。平成28(2016)年から明海大学歯学部臨床教授に就任した。専門はインプラント歯科。歯科衛生士と連携し、予防歯科に注力するほか、高齢者施設などでの歯科治療や嚙むトレーニングにも携わる。明海大学臨床教授、日本顎咬合学会副理事長。


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