大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

最近注目の落語家

2017年05月01日 14時05分47秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
最近注目の落語家、と銘打ちましたが、正確には最近注目の新進の落語家と
言い換えた方がいいかもしれません。

あれは今年の2月だったか、木枯らし吹く国立演芸場。
まだ二つ目だというのに、大ネタ「寝床」を桂宮治がやると知って、
「完売寸前・最後の1枚」でやっと手に入れた切符を持って、半蔵門へ出かけました。

まず「出」からやんやの拍手喝采。「待ってました」の掛け声。
会場全体の「わー」という盛り上がり。
話の内容も、大爆笑につぐ大爆笑ながら、話の本質をそらさない正統派で、
うんちく煩い常連達をうならせていました。

「寝床」というと、私の年代などは、「志ん朝」の口跡を思い出しますが、
桂宮治の七転八倒、体全体を使った熱演に、世の憂さを忘れて笑い転げました。

いやー、すごい若手が出たもんだ!

これからは、落語は、桂宮治に限る。

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◆新春浅草歌舞伎。松也の勘平に松助を思い出す

2015年01月09日 15時55分07秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
尾上松助(松也父)が亡くなって、何年経っただろうか。

あれは、確か、年末近く、明けて1月からは菊五郎劇団の国立劇場の舞台が
始まる数日前だったと記憶している。
大事な脇役を失った――悲しみが、歌舞伎ファンをおそった。
明けた国立劇場の舞台。
あほな息子役で出てきた松也に「音羽屋!」ではなく、
この日は「まつや!」の掛け声が。

観ている客は、その掛け声の意味するところを知っている。
(松也がんばれ。父の死に負けるな!……)

――翻って、毎年恒例の1月浅草公会堂の松竹歌舞伎は、若手による花形歌舞伎。

今年は、メンバーも一新し、数年前なら考えられなかった尾上松也が座頭という舞台。
地味ながら必死に菊五郎劇団で研鑽してきた松也だから、突然の座頭格にも立派に
勤め上げるだろう。

そういえば、年末、紅白の審査員という檜舞台もあった。

1月4日、夜の部を観た。
「仮名手本忠臣蔵」6段目。勘平切腹の場。
この段は脇役が大切で、以前、「判人源六」に松助、「一文字屋お才」に東蔵という
配役で観て、これが絶品だった。

松也の「勘平」を観ていたら、今は亡き松助の「判人源六」が目に耳にちらついてき、
……ああ、ここは松助がこういうふうに言ってたなあ、あそこはこういうふうに
演ってたなあ、とついつい思い出されてくる。

観ているうちに、なんだか熱いものが込み上げてきた。

息子さんもこんなに立派になって。
……長い間、もう40年も歌舞伎を観ていると、こんなこともある。


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◆志ん朝哀愁

2013年04月22日 00時47分50秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
社会保険労務士の大澤朝子です。

ある深夜、聴くともしれずラジオを聴いていると、
三遊亭圓生の「死神」が流れてきた。
じっと聴き入っていたら、そのうち圓生の「ヒッヒッヒ」という
「死神」の声が離れなくなった。

「落語」か……。そういえば、ずーっと聴いていなかったなあ。

これに火が点いたのか、何か無性に古今亭志ん朝の落語を
聴いてみたくなった。

現在、落語だけをやるテレビ番組はほとんどないが、今の若い人は
落語に接する機会が極端に乏しくなったが、昭和40年代、50年代は
テレビで落語を聴く機会が結構あった。
中でも志ん朝は若いころから落語以外のテレビでの出番が多く、
宿敵? 立川談志と双璧をなし、人気抜群の噺家だった。

ある日、夕飯を食べながらテレビを見ていると、ニュースが
「志ん朝が死んだ」と言っていた。
子供の頃、ケネディ大統領の暗殺にショックを受けたが、
それと同じくらいにショックだったのが志ん朝が死んだことだった。

そんなことを思い出し、数年前、志ん朝のCD全集を買ってきて
毎夜布団の中で志ん朝を聴いていた。
そしたら、今度は、初のDVD全集が出るというので、それも買ってきて
今度は映像で志ん朝を見ることができた。

贔屓目で観ているので、どうしても志ん朝だけを庇護してしまうが、
「文七元結」や「七段目」などを聴いたり観たりしていると、
志ん朝が可哀想になってしまう。

たった一人で、老いも若きも、大人も子供も、番頭も丁稚も、
呑んだくれの職人も、芝居好きの丁稚も、吉原の揚屋の女将も、
博打好きのダメ亭主を持った苦労なおかみさんも、
親思いの若い娘も、みんなみんな演じ分け、動き、しゃべり、
怒り、悲しみ、意見し、……演じ分けなければならない。
それも、素顔で。衣装なし。舞台装置なし。しかも立てない!
座ったまま! 落語とはなんと厳しい芸だろうか。

これをたった一人で演じている志ん朝は、苦労をひとりで背負って
たっているようなものじゃないかと、観て、聴いているうちに
わが志ん朝を限りなく可哀想に思ってしまう。

ファン心理は思い込みが強い。

そのうち、志ん朝の書いてある本をかたっぱしから図書館から
借りて読み、それでも足りなくて、今度は「演芸」ものの本も
借りて読み、もう近所の図書館では「演芸」関係で
借りる本がなくなってしまった。

……それで次にちょっと離れた図書館へ鞍替えすることにし、
ここのも借りて読んだ。
そうこうするうちに、両図書館では「演芸」もので読む本がなくなり、
今は、何も読んでいません。

こんなことを書くと、「この人、本職、大丈夫なの?」と
疑問をお持ちになる方もおられるだろうが、そうですね。たぶん
大丈夫だとは、思いますが……。

今後の観劇予定は、今のところ、
5月歌舞伎座のこけら落とし公演。
7月国立劇場・歌舞伎教室。
8月31日 よみうりホール「よってたかって夏落語」。
うーん。生活、大衆芸能に偏っているかも。

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◆歌舞伎座柿葺落公演4月分、落選しました。

2013年03月06日 00時42分56秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
社会保険労務士の大澤朝子です。

昨日、歌舞伎座柿葺落公演4月分の落選結果が届きました。
普段でもほとんどチケット取れないのに、これほど騒がれて
いる公演なら、尚更取れないでしょうと覚悟はしていたのですが、
残念です。

今回の柿葺落公演は、昼夜2部制ではなく1日3部制。
それぞれ2幕しかないのに、1等席20,000円。
だいたい2時間くらいの公演なのに2万とは、流石に手が出ません。
庶民が買えるのはせいぜい3等席の5,6千円といったところで、
そんな席はすぐに売り切れてしまいます。

歌舞伎は松竹1社の寡占状態ですので、価格は人気と共に
跳ね上がり、1等席は庶民の高根の花か生涯の夢……。

私も30年以上前になりますが、一生に一度の親孝行? と思い、
歌舞伎座の2等席に両親を招待したことがありますが、
今は既に二人ともおりませんので、本当に一生に一度の
親孝行ということになりました。

さて、柿葺落公演。この分だと、やはり一幕見席に
朝から並ぶことになりそうです。
するとまた、休みの日に、歌舞伎座の前でコンビニの
おにぎり持って並ぶしかない、ということですね。

最近のお話しでは、顧問先の社長さんのお孫さんが
子役のオーデションに受かり、「寺子屋」の小太郎役に
出ることになったことがあります。
なのにチケットが取れなくて、結局、私が一幕見席に並んで、
記念にプログラムを購入する役を引き受けたことがありました。
何が顧問先さんのお役にたつか、分からないものですね。

学生の頃、菊五郎襲名に仲間と2昼夜前から交代で
並んだことがありますので、
並ぶのも結構「楽しい」行事なのかもしれません。

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◆日本舞踊協会公演。猿若清三郎「彦一ばなし」、基「禿」、扇与一「空の初旅」

2013年02月23日 22時50分15秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
社会保険労務士の大澤朝子です。

日本舞踊も「昭和の名作」は楽しい。
確定申告もようやく終わり、本日、第56回日本舞踊協会公演、
第2日目、夜の部に行ってきました。
今年の日本舞踊協会定期公演の出し物の特色は「昭和の名作」。

お目当ては昨年襲名した猿若清三郎の「彦一ばなし」。
いい加減でふざけた彦一とお人よしの殿様(花ノ本 海)、
それに摩訶不思議な天狗の子(花柳大日翆)の3人の取り合わせが
絶妙で滑稽きわまりない。
この3人が3様の軽快な味を醸し出し、その楽しいこと。
清三郎のきりりとした踊りは期待に違わず。
酒にありつき次第に酔っていく様は猿若家の真骨頂とみた。

殿様は、まるで『のぼうの城』の成田長親みたいなぼーっとした、
どこまでも間抜けな殿様。天狗の子は異界の生き物なのに、彦一と
対等に渡り合おうとして泣かされたりして憎めない。

最後は、3人で川の中を泳いでいる。観ているお客は盛り上がり、
舞台の楽しさは最高潮に達して、幕が降りていく。
清元。二代目西川鯉三郎作。

中締めは、花柳基の「禿・浮かれ坊主」。
こちらは六代目(菊五郎)、勘三郎家が得意としている
いわば「古典」。いやー、今を時めく「基」の実力がなせる舞台。
なまじの歌舞伎役者よりもお客を楽しませてくれる。
流石、の一言しかない。“おおむこう”も唸らせていた。

西川扇与一「空の初旅」。
こちらも、楽しい。
踊りだけで「飛平」(扇与一)が空に舞い上がっていく様を
見せるのだから、わが日本舞踊も凄いレベルだと思う。
空に舞い上がった飛平を待ち構えていたのは、数々の危難。
ある時は雷神に出くわし、ある時は天狗に驚き、夢か現か
天女には振られ、最後は奴凧と共に吉原に飛び降りてきました……。
常磐津。二代目花柳壽輔作。

久しぶりに楽しい思いをして、夜の東京・麹町(会場が
国立劇場でした)をそぞろ歩いて帰りました。

明日24日(日曜日)もやっています。
3階席でよければ、1000円(自由席)で観れますよ。
1等8000円、2等5000円。残席あるかどうかは分かりませんが。
きょうは、いくつか、空席ありました。
昼の部は12時から、夜の部は16時30分から。演目は替わります。

こんな楽しい舞台は観たことがない。
ああ、日本舞踊は楽しい! 古典以外は。
(注 楽しい古典もあります。)

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◆団十郎の訃報に想う。文化・文政期の江戸の退廃を伝える演目が消えていく。

2013年02月05日 00時31分59秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能

社会保険労務士の大澤朝子です。

江戸・入谷といえば、荒れ田が広がる物寂しい地を想い起こす。
ここに「二八蕎麦屋」が一軒。
現れたのは、小悪党・片岡直次郎(直侍)。
顔は手拭いでほうかむり。木綿1枚の着流し、
春の雪だというのに、裸足に草履。

団十郎の訃報で思い出すのは、若かりし頃、坂東玉三郎と
務めた『雪夕暮入谷畦道』(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)の
「直侍」の暗く写実的な舞台だ。

追っ手にかかり、花魁・三千歳(みちとせ)に逢って
最後の別れをと決意する有名な「蕎麦屋」の場。
(実話では、直侍は捕えられて小塚原で処刑される)

「海老さま」として大人気を博した父・先代の団十郎の当たり役
であった「直侍」だが、この当代の団十郎も、退廃的な文化・文政期
の時代を醸し出して、実にいい「蕎麦屋」だった。

若手歌舞伎役者として、花も実もある昭和50年代を
駆け抜けながら、団十郎は例えば若手実力派玉三郎を相手役に、
たった一人成田屋の屋台骨を背負いながら務めていた。

歌舞伎十八番のうち『鳴神』。
「天衣紛上野初花」から『雪夕暮入谷畦道』――。
想い出せば、団十郎と玉三郎の共演する舞台はやはり人気一番で、
”海老玉コンビ”(団十郎襲名前の名が海老蔵)と称された。

江戸っ子は蕎麦を噛まない。飲み込むくらいが格好いい。
この場は、直侍のそばの食べっぷりがよくなければ、
文化・文政期の退廃的な時代に客を連れ込めない。
蕎麦屋での客としての振る舞いに、全て直次郎の今を
表さなければならない。実に難しい場だ。

団十郎と言えば、「勧進帳」を思い起こす方も多いだろうが、
かえって、世話物の「悪党」を演らせても、案外な味があった。
”海老玉コンビ”は、もう二度と観ることができない。

黙阿弥の晩年の作品だが、こうして時代時代に「直侍」を演る
役者が出てきては繋いでいく。

新歌舞伎座が開場しても、上演する演目が、ひとつ、またひとつ
と消えてゆく。


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◆人力車に乗った藤山寛美を見たあの頃

2013年01月21日 22時15分01秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
社会保険労務士の大澤朝子です。
今のように歌舞伎俳優がまるでタレント化していなかったあの頃。
若手の実力派女形として坂東玉三郎が綺羅星の如く登場した昭和50年代。
だが、歌舞伎はやがて衰退するだろうと言われていた……。
私はまだ若く、歌舞伎座の3階席や4階の立見席しか
切符が買えなかった(今でも同じですが)。
夜の歌舞伎座の前にいた私は、松竹新喜劇藤山寛美
人力車に乗って歌舞伎座の前を通り過ぎるのを見た。

歌舞伎座前にたむろしていた客たちに、
当代一の大役者らしい貫録と笑みを見せて、寛美は通り過ぎていった。
なぜ、寛美が人力車で歌舞伎座の前を”お練り”したのかは、
今となっては覚えていないが、あれは、何かの記念、何かの行事で
あたろうか。

最近、DVDで松竹新喜劇の何本かを観る機会があった。
アホな丁稚や若旦那とかが出てきて、皆からアホ、アホと馬鹿に
されるが、それを恨んだり、ひがんだりしない。
そして、その一番アホな丁稚や若旦那が、実は、人間社会の真理を
一番よくついていた……。
客を笑いに笑わせておいて、最後にほろりと涙させるパターンは
松竹新喜劇の真骨頂だが、観ているこっちもまっさらな気持ちになって
丁稚や若旦那の言うことに頷いている。

今観て気が付いたのだが、松竹新喜劇は本物の(というのも
変な言い方ですが)下座音楽を使っていた。
舞台下手の御簾の中で三味線、太鼓、唄で情景を醸し出す、
あの歌舞伎で今も使われている下座音楽である。
松竹新喜劇も、江戸歌舞伎の演出方法を引き継いでいるのだ。
女優陣は、おかみさんの役のときは、ちゃんと鉄漿(おはぐろ)をぬり、
髪型も職業や年齢に応じたものにしている。

その芝居作りは、喜劇といえども本物を追求し、
客を本当に笑わせ、涙させ、一瞬の浮世を忘れさせて、劇場から
出してやる。

当時と比べれば、今は機器やコンピューターがものすごく進化・発展し、
人間社会の高度化は益々加速しつつある。
しかし、芸の力演芸の力は、次第に薄れていっている
のではないか……。

もう一度、寛美松竹新喜劇が観たい。
器械に束縛されず、笑って笑って、ほろりと泣いて、明日っから
また一丁頑張ってみようか……と思いながら帰っていく、
そんな時代の客になりたい。

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