大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆私の「セクハラ問題」体験談。労働局・雇用均等室

2013年02月27日 00時18分31秒 | セクハラ
社会保険労務士の大澤朝子です。

このところ、夕飯の支度は娘にまかせっぱなしで、それを
いいことに帰りがだんだん遅くなってしまいます。
最近では、近所のスーパーが夜10時までやっているので、
駆け込みで「明日」の夕飯+弁当の食材を買って帰る毎日です。

これでは「悪い」と思い、
きょうは、明日の夕飯の支度を先ほど(夜の11時頃)から
作って、今、ようやくPCの前に座ったところです。

まあ、いつもこんな感じで、家庭内のことは自転車操業みたい
にクリアーしている日々。
先ほど作ったおかずは、いわしのフリッター、ひじきと大豆の
煮物。お弁当も詰め、さあ、明日の支度もバッチリ。

本題です。

今の人は、本当に幸せです。
昔は、セクハラ、なんていう言葉はどこにもなかった。
女性は、職場でいつもイヤな思いを胸底の奥の奥にしまい、
悔しい気持ちをぐっとこらえて生きてきました。
人にも言わず、黙って耐えてました。

今は、安全配慮義務や職場環境の改善など、企業に
課される縛りも強くなり、また、労働局の調停あっせんや
労働審判等、労働者側の「訴え」を解決してくれる機関
も増え、大きな声を上げてセクハラを糾弾することが
できるようになりました。

そういうシステムが整ったことは、それはそれでいいことだし、
社会の進歩、女性にとっては昔と比べたら夢のようなことだと思いもし、
それによって救われる女性もいるものと、肯定的に捉えていました。

あの日、労働局・雇用均等室に事業主代理で出頭するまでは……。

それはささいな「セクハラ」でした。
なんでも、××さんが〇〇さんの「肩をたたいた」とか。
「まあ、頑張ってね」と。
入社したての〇〇さん。××さんにも非があるのは分かりますが、
〇〇さんは、数か月後に退社し、内容証明郵便で会社に
その「セクハラ」に対し「慰謝料〇〇万円」を請求してきたのです。

会社は支払いませんでした。

内容証明郵便で労働者側が損害賠償・慰謝料請求をしてくる
場合は、大抵、次のステップを考えています。
その手慣れた内容証明郵便を見れば、大まか予想できます。
これに応じないと、次は、労基署、労働局かな、と。

〇〇さんの場合もしかり。労働局・雇用均等室から会社あてに
間髪を入れずに呼び出し状がきました。

この呼び出しに応じない場合は、男女雇用均等法第33条の
定めにより、「20万円以下の過料に処する場合がある」
との脅かし文書と共に。

会社側はびっくり。顧問社労士の出番となりました。

いつものように、通いなれた? 雇用均等室に行きました。
通常、案内されるのは人目にも触れやすい「打ち合わせスペース」。
しかし、その日は違いました。
一度も足を踏み入れたこともない奥の大きな会議室。

そこで、担当官(女性)と1対1で、座らされました。
まだ、この辺では「肩たたいただけで」との思いもあり、
緊迫感がなかった私ですが、いやー、言われました。
「肩をたたいた」セクハラをさんざん非難されました。
まるで、違法者か犯罪者のように。

何十年も耐えに耐え抜いて生きてきたこの私が? 
なぜ、「加害者」としてここまで非難されるとは……。
つい、担当官と言い争いになってしまいました。

本件の場合は、就業規則の作成義務のない小企業でしたが、
「セクハラ防止規程」の作成「と「相談機関の設置」が
最終的な「指導事項」でした。別に分かり切っていることです。
そこで、会社側にお金を払っていただき、上記を作って
私の売り上げに繋がりました。
喜んでいいのやら悲しんでいいのやら。

最後に担当官に電話で報告すると、電話の向こうで
「言いすぎまして申し訳ありませんでした」
と謝られたのですが……。

こんな些細な出来事ですが、何かスッキリしないものが残りました。
これが、「セクハラ防止」行政?
数年前の出来事です。

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◆日本舞踊協会公演。猿若清三郎「彦一ばなし」、基「禿」、扇与一「空の初旅」

2013年02月23日 22時50分15秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
社会保険労務士の大澤朝子です。

日本舞踊も「昭和の名作」は楽しい。
確定申告もようやく終わり、本日、第56回日本舞踊協会公演、
第2日目、夜の部に行ってきました。
今年の日本舞踊協会定期公演の出し物の特色は「昭和の名作」。

お目当ては昨年襲名した猿若清三郎の「彦一ばなし」。
いい加減でふざけた彦一とお人よしの殿様(花ノ本 海)、
それに摩訶不思議な天狗の子(花柳大日翆)の3人の取り合わせが
絶妙で滑稽きわまりない。
この3人が3様の軽快な味を醸し出し、その楽しいこと。
清三郎のきりりとした踊りは期待に違わず。
酒にありつき次第に酔っていく様は猿若家の真骨頂とみた。

殿様は、まるで『のぼうの城』の成田長親みたいなぼーっとした、
どこまでも間抜けな殿様。天狗の子は異界の生き物なのに、彦一と
対等に渡り合おうとして泣かされたりして憎めない。

最後は、3人で川の中を泳いでいる。観ているお客は盛り上がり、
舞台の楽しさは最高潮に達して、幕が降りていく。
清元。二代目西川鯉三郎作。

中締めは、花柳基の「禿・浮かれ坊主」。
こちらは六代目(菊五郎)、勘三郎家が得意としている
いわば「古典」。いやー、今を時めく「基」の実力がなせる舞台。
なまじの歌舞伎役者よりもお客を楽しませてくれる。
流石、の一言しかない。“おおむこう”も唸らせていた。

西川扇与一「空の初旅」。
こちらも、楽しい。
踊りだけで「飛平」(扇与一)が空に舞い上がっていく様を
見せるのだから、わが日本舞踊も凄いレベルだと思う。
空に舞い上がった飛平を待ち構えていたのは、数々の危難。
ある時は雷神に出くわし、ある時は天狗に驚き、夢か現か
天女には振られ、最後は奴凧と共に吉原に飛び降りてきました……。
常磐津。二代目花柳壽輔作。

久しぶりに楽しい思いをして、夜の東京・麹町(会場が
国立劇場でした)をそぞろ歩いて帰りました。

明日24日(日曜日)もやっています。
3階席でよければ、1000円(自由席)で観れますよ。
1等8000円、2等5000円。残席あるかどうかは分かりませんが。
きょうは、いくつか、空席ありました。
昼の部は12時から、夜の部は16時30分から。演目は替わります。

こんな楽しい舞台は観たことがない。
ああ、日本舞踊は楽しい! 古典以外は。
(注 楽しい古典もあります。)

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◆待ったなし!高齢者再雇用の労使協定未締結は3月31日までに締結を

2013年02月20日 00時55分11秒 | 高齢者雇用
社会保険労務士の大澤朝子です。

さて3月31日が近付いてきました。

改正高年齢雇用安定法施行まであと幾日もありません。
原則として希望者全員の65歳までの雇用義務化……。
あなたの会社では、準備は整いましたか?

・65歳まで希望者全員を雇用する
・経過措置を利用して労使協定で対象者を選別する

そのどちらを選択するのでしょうか。

もしも「労使協定で対象者を選別する」をお考えの場合で、
まだ「労使協定」を結んでいない場合は、
平成25年3月31日までに「労使協定」を締結しなければなりません。
勿論、そのためには就業規則の改定も必要です。
あと1か月余り。
50歳代を多く抱えている企業に、待ったはありません。

先頃、日本生産性本部の第13回「日本的雇用・人事の変容に関する調査」
の結果が発表になりました。
それによると、「現時点で再雇用選定基準として業績評価など
人事考課を反映している」という企業は、実に74.3%
思いのほか、65歳までの継続雇用において、対象者を選別
している実態が浮き彫りになりました。

今後も業績評価など人事考課で対象者を選別するかとの問いには、
・選別は特に必要とは思わない 3.6%
・選別は必要だと思う 48.6%
・選別は必要だと思うが、法の趣旨から選別設定は望ましくはない 47.1%

また、再雇用後の賃金の低下率も、「最適賃金」(※)的には
60%前後とされていますが、この調査の結果によりますと、

月例ベースで平均54.0%
年収ベースで平均49.8%

と、定年前の概ね50%という結果になっています。
こちらも、思いのほか低い、という感想を持たれる方も多いでしょう。

 ※ 最適賃金=賃金、年金、高年齢雇用継続給付の3者を受給した
  場合の最も多い手取額を得ることができる「賃金」

また、「再雇用時の仕事・業績・役割に応じて
給与水準を複数設定している企業」の割合は60.7%
定年後再雇用時に、勤務形態だけでなく、仕事の内容や業務、
役割に応じて給与水準を複数設定する傾向にあることが分かります。
「設定していないが、今後設定する予定」が17.1%
「設定しておらず、今後も予定はない」が17.9%。

定年再雇用後は、業務・業績に応じた複数の労働条件を設定
し、柔軟に対応していこうとする企業の姿勢が見えてきます。

これまで大変好評だった助成金のうち、

・中小企業定年引上げ等奨励金
・高年齢者職域拡大等助成金

は、平成25年3月31日で廃止になります。
これら助成金の恩恵を受けてきた中小企業にも、
もはや助け舟は出ません。

(労使協定により)定年後再雇用時の対象者選別を行うのか、
それとも行わないのか、業務や業績に応じた評価の仕方、
賃金設定など、人事制度全体の見直しも含めて、若年から
高齢者まで、採用人事の課題は目白押しといえましょう。

<参考>
公益財団法人日本生産性本部の調査研究
「第13回 日本的雇用・人事の変容に関する調査」
(2012年10月上旬から11月中旬に全上場企業を対象に調査)
を参考にしました。


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◆朝日新聞「書評」と杉本苑子『長勝院の萩』読了

2013年02月18日 00時08分59秒 | 近況
社会保険労務士の大澤朝子です。

昨日の朝日新聞の「書評」で逢坂剛氏が津村節子の新刊
『夫婦の散歩道』を評して「この世代の作家に、今の作家を超える
熱気、志の高さのようなものを、強く感じる」とあったが、
凡人が言うのも甚だおこがましいが、全くの同感である。

一昨日、杉本苑子の『長勝院の萩』をようやく読み終わった。
ようやく、というのは、同作が全集の4巻・5巻の2冊に
渡って収録されている長編だったからで、それも、就寝前の
わずかな時間を惜しんで読み進んだという事情にもよる。

静岡新聞に1年9か月に渡って連載された家康の側室・長勝院
を取り巻く徳川家の人間模様が織りなされているが、
これが実に面白い。
女の筆とは思えぬ豪快、大胆、そして緻密。正確な時代考証は
どの作品もぶれないが、松平信康(家康の長男)切腹の場面は、
息をのむ緊迫感と生々しい情景描写で圧倒される。

杉本苑子といえば、直木賞をとった『孤愁の岸』を思い浮かべる
人も多いだろうが、私は、『終焉』を好む。序破急。静かに
物語は始まっていき、やがてはクライマックスへ。
最後はストン、と語り終えるが、そこに得も言われぬ感動が残る。
その構成は綿密に仕組まれ、出来事すべてが故あることだったと
最後に分かる。人間の生き様とはどうあるべきかと問うかのように。
江戸幕府旗本の家に生まれた者が、その宿命に逆らわず、
鉱山の民のために静かに命を捧げた終焉が胸を打つ。

今日、その杉本苑子全集5巻を開いていたら、巻頭文があった。
全集を図書館から借りてくると、真っ先に巻頭文を読むのが
楽しみであったが、今回は早く中身を読みたくて失念していた。

丁度、第5巻の巻頭文に津村節子が書いてい、その題も
「心を許しあえる友」というもので、
3つ違いながらお二人はご同年代であると知って、
ふと、『長勝院の萩』のことを書いてみる気になった。

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@社会保険労務士







◆“ブラック企業”と石の上にも三年

2013年02月09日 21時53分40秒 | 労働基準
社会保険労務士の大澤朝子です。

日本経済新聞の『私の履歴書』は“愛読書”のひとつだ。
現在連載中はオンワードホールディングス名誉顧問の馬場彰さん。
毎日楽しみに読ませていただいている。

2月7日、8日掲載の樫山入社当時の馬場さんの激務ぶりは興味深い。
朝、会社から百貨店までスーツを運び込み、1日中百貨店で働いた後、
夜は会社に戻って事務処理。毎日終電近い時間まで働き、
百貨店からは「吊し屋」とさげすまれ、ある時は怒鳴られ、
ある時は算盤の角でたたかれ、ある日、顧客へスーツを届けたのは、
「ボーン」と除夜の鐘が鳴り始めたころだった……。

功成り名を遂げた人の若い時の「下積み」は凡人の比ではない
と思い知らされる。

今ならさしずめ「ブラック企業、パワハラ、いじめ、長時間労働」呼ばわり
されそうな苦労話だ。
流石に、「正月まで働かないといけないのか……」。百貨店の下請け
のような自分が恨めしく、「会社を辞めたいんだ」とお父上にご相談された。
その時返ってきた言葉は、
「……石の上にも三年というだろう」。

本当に三年我慢して辞めたかというと、ある日ぱぁっと道が拓けた。
ここからが、いよいよ『履歴書』も佳境に入っていきそうだ。

翻って、最近の風潮は、どうだろうか。
長い間、顧問先の労使トラブル解決にかかわってきたが、
新入社員時代の「下積み」「修行」なんていう言葉はまるで「死語」
かと思われる事例に遭遇する場合がある。

最近、顕著に次のような傾向が現れている。

自分の問題を自身の力で解決、闘っていこうという気概がない
・親又は配偶者と一緒に会社に文句を言いにくる
・親又は配偶者と一緒に労基署へ行く
・親又は配偶者に会社に電話してもらう
・会社からの電話は、親又は配偶者に出てもらう

自分の力で解決せず、すぐ労基署へ行く
(労基署が自分のために会社と闘ってくれると勘違いしている)
・子供の小遣いみたいな金額で労基署へいく

そもそも、何かの事由で会社に損害賠償請求や慰謝料請求したり、
その時は、いくばくかのお金をもらうかもしれないが、それで、
これからの自身の仕事人生にプラスになるだろうか。
その力を仕事に、キャリアアップに割けないものか、と思う。

「人生は重き荷物を背負って長い道のりを歩くようなもの」だと
言うが、自分一人で闘い、挑み、血を吐くほど苦労した人の
人生訓は、確かに職業人の来し方を教えてくれる。


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@社会保険労務士



◆H25年度税制改正大綱にみる労働分配拡大と雇用促進税の前途

2013年02月07日 21時46分50秒 | 雇用促進税等
社会保険労務士の大澤朝子です。

1月29日に閣議決定された「平成25年度税制改正大綱」から、
雇用増加法人税減税関係をまとめておきたいと思います。

大綱には、平成26年度から始まる消費税率8%への引き上げを
見据え、民間投資の喚起雇用・所得の拡大等を促す効果が
盛り込まれているとされています。
このうち、雇用・所得の拡大に焦点をあてて見てみましょう。

◆所得拡大促進税制(法人課税)
企業による雇用・労働分配(給与等支給)を拡大する
ための税制措置の創設。

青色申告書を提出する法人等が、平成25年4月1日から
平成28年3月31日までの間に、その法人等の雇用者
に係る給与等の支給額が前事業年度の給与等の支給額よりも
5%以上増加した場合は、その「増加額の10%」(中小企業は
20%)を法人税率から控除できるというもの。ただし、平均
給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回る
場合は税率控除を受けることができません。

対象期間は、平成25年4月1日以後に開始される事業年度
からとし、その給与等支給額の基礎となる事業年度は、
各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度
(基準事業年度)とされています。

支給給与額が増えても平均支給額が減った場合には
減税措置を受けられないことから、雇用者の人的増大
に伴う給与額の増大は対象外であり、あくまでも
雇用する従業員の給与賞与全体として増加しなければ
ならないことが分かります。
雇用増大よりも所得アップを促すものと捉えるべき
でしょう。

◆雇用促進税の拡大(法人課税)
既に開始している雇用促進税の拡大。
平成23年4月1日から平成26年3月31日までに開始する
各事業年度において、雇用数が一定以上増加した場合に
受けることができる減税措置です。
大綱には、この雇用促進税の拡大も盛り込まれました。

平成23年4月1日以降に開始する各事業年度の当期末の
雇用者数が前事業年度の末日における雇用者数に比して
5人以上(中小企業は2人以上)、かつ、10%以上増加して
いる場合に、その増加一人当たりにつき20万円
特別税額控除ができる(ただし、法人税額の10%(中小企業は20%)が上限)と
されています。
なお、事業年度中に定年退職者や自己都合退職者が出たり、雇用保険の
一般被保険者でなくなった(週20時間未満のパートになった等)などの場合
もあるわけで、いくら新規採用を増やしても雇用保険の一般被保険者数が
増加しないと対象となりません。総体として従業員数の増加が必要であり、
結果として当該事業年度の賃金総額も一定以上の増加が要件となります。
この点は注意が必要です。

この場合、「雇用者」とは、雇用保険の一般被保険者
(週所定労働時間が20時間以上の者)をいい、
雇用保険法に規定する高年齢継続被保険者(65歳以上)、
短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者は含まれません。

拡大内容は、
1、税額控除限度額を一人当たり40万円(現行20万円)に拡大する。
2、高年齢継続被保険者も雇用数に算入する。
の2点です。

雇用促進税は、既に動いている制度ですが、実際には
どの程度の法人等が雇用増を達成したかを統計数字から
見てみると、あまりよろしくありません。

例えば、東京都の場合、雇用増の計画書提出法人等は3,870社
に対し、雇用増達成法人等は1,280社。埼玉県の場合も同じく
769社に対し、212社。達成率は概ね3割前後しかありません。

以上の2種類の減税措置は、どちらか一方の「選択制」となります。
既存の従業員の給与増か、それとも雇用人数の増加か――。
平成25年度は、新たな選択肢をもって臨むべきでしょう。

第183回通常国会開催中。税制改正の行方に注目です。

<参考>
各省庁のHPから、以下の文書を参考にしました。
内閣府「平成25年度税制改正大綱」
内閣府「平成25年度税制改正大綱の概要」
厚生労働省「大綱の概要」(雇用促進税制の拡充)
厚生労働省「平成23年度雇用促進計画の受付・達成状況報告状況(速報値)」
厚生労働省「雇用促進税制について」Q&A
厚生労働省「雇用促進計画の提出手続き」
国税庁「雇用促進税制の創設」

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@社会保険労務士


◆団十郎の訃報に想う。文化・文政期の江戸の退廃を伝える演目が消えていく。

2013年02月05日 00時31分59秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能

社会保険労務士の大澤朝子です。

江戸・入谷といえば、荒れ田が広がる物寂しい地を想い起こす。
ここに「二八蕎麦屋」が一軒。
現れたのは、小悪党・片岡直次郎(直侍)。
顔は手拭いでほうかむり。木綿1枚の着流し、
春の雪だというのに、裸足に草履。

団十郎の訃報で思い出すのは、若かりし頃、坂東玉三郎と
務めた『雪夕暮入谷畦道』(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)の
「直侍」の暗く写実的な舞台だ。

追っ手にかかり、花魁・三千歳(みちとせ)に逢って
最後の別れをと決意する有名な「蕎麦屋」の場。
(実話では、直侍は捕えられて小塚原で処刑される)

「海老さま」として大人気を博した父・先代の団十郎の当たり役
であった「直侍」だが、この当代の団十郎も、退廃的な文化・文政期
の時代を醸し出して、実にいい「蕎麦屋」だった。

若手歌舞伎役者として、花も実もある昭和50年代を
駆け抜けながら、団十郎は例えば若手実力派玉三郎を相手役に、
たった一人成田屋の屋台骨を背負いながら務めていた。

歌舞伎十八番のうち『鳴神』。
「天衣紛上野初花」から『雪夕暮入谷畦道』――。
想い出せば、団十郎と玉三郎の共演する舞台はやはり人気一番で、
”海老玉コンビ”(団十郎襲名前の名が海老蔵)と称された。

江戸っ子は蕎麦を噛まない。飲み込むくらいが格好いい。
この場は、直侍のそばの食べっぷりがよくなければ、
文化・文政期の退廃的な時代に客を連れ込めない。
蕎麦屋での客としての振る舞いに、全て直次郎の今を
表さなければならない。実に難しい場だ。

団十郎と言えば、「勧進帳」を思い起こす方も多いだろうが、
かえって、世話物の「悪党」を演らせても、案外な味があった。
”海老玉コンビ”は、もう二度と観ることができない。

黙阿弥の晩年の作品だが、こうして時代時代に「直侍」を演る
役者が出てきては繋いでいく。

新歌舞伎座が開場しても、上演する演目が、ひとつ、またひとつ
と消えてゆく。


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