大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆特定労働者派遣事業から許可申請へ

2017年09月27日 12時09分44秒 | 派遣業
本日、特定労働者派遣事業のお客様より、大臣許可への切り替えのご予約をいただきました。

特定労働者派遣事業の皆様は、平成30年9月29日までに大臣許可を受けないと営業が続けられないため、
今月末で、期限まであと1年を切るのですね。

平成27年9月30日の改正により、労働者派遣事業の大臣許可申請は、以前よりも厳しくなりました。
派遣労働者の教育訓練計画、労働安全衛生法上の教育訓練計画、派遣終了の理由のみで解雇しないこと等の規定等、
派遣元事業所が整備しなければならない事項が格段に増えています。

従って、許可申請は「簡単には」できなくなっています。
どうぞ、お時間に余裕を持って許可への切り替えを図ってください。

当事務所でも、許可申請のご予約を受け付けておりますが、ご予約が集中するとお引き受けできかねますので、
許可への切り替えを行っていない特定労働者派遣事業の皆様は、お早目にご予約ください。


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◆就業規則の変更に反対する者への効力

2017年09月25日 11時39分50秒 | 労働契約
就業規則の変更について、一部の従業員が反対する場合がある。
変更の内容が一部の従業員の労働条件を低下させる可能性がある場合などだ。
労働者の合意なく就業規則の内容を(不利益に)変更することはできないのだろうか。

労働契約法第9条本文前段では、労働者と合意することなく就業規則を変更し労働条件を不利益に
変更することができないと規定している。
「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に
労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。……(以下後述)」

しかし、企業経営が常に順風満帆に推移するとは限らない。
経営上の已む得ない状況、他社との競合、地域水準、社会経済情勢などにより、
やむを得ず労働条件を低下又は変更せざるを得ない場合もあろう。
労働条件は時代と共に、経営状態と共に、一定程度の修正を余儀なくされる。

従って、労働契約法第9条本文ただし書きにおいて、
「ただし、次条の場合は、この限りではない」と定め、
労働条件は労働者の合意なく、不利益変更が許される場合がある可能性を示している。

では、いったい、どの様な場合に許されるのであろうか。

「次条」である労働契約法第10条をみてみよう。

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合には、変更後の就業規則を
労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更の内容が合理的なものである場合には、
労働契約の内容である労働条件は、変更後の就業規則の定めるところによる、としている。
就業規則変更の効力について、労働者の合意の例外を認めているのだ。

就業規則の変更が合理的なものであるか否かは、次により判断される。

①労働者の受ける不利益の程度
②労働条件の変更の必要性
③変更後の就業規則の内容の相当性
④労働組合等との交渉の状況
⑤その他就業規則の変更に係る事情(我が国社会における一般的状況)

この労働契約法第10条の規定は、「就業規則の変更による労働条件の変更が
労働者の不利益となる場合に適用されるものであること。」(平24.8.10基発0810第2号)
という通達がでている。

労働条件を変更する場合、とりわけ労働者の不利益に変更する場合には、
上記①~⑤のすべての条件を満たすことが必要であり、かつ、労働者にあまねく周知しなければならない。
決して、使用者の恣意的な思いで労働条件を不利益に変更したり、不十分な説明のないまま実行してはならない。
なお、通達によれば、⑤の「その他就業規則の変更に係る事情」の中には、
(労働条件不利益変更に代わる)代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況」が含まれている(同通達)。

就業規則変更に反対する労働者がいる場合は、労働契約法第9条、同第10条を
参考に、労働条件変更の必要性について、十分な検討をされたい。


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◆試用期間の意義

2017年09月20日 09時58分37秒 | 労働契約
試用期間の意義を考えてみたことはあるだろうか。

①試用期間とは何か

試用期間とは、入社前の採用過程では判断できなかった能力や適格性を
実際に就労させながら判断する期間とされている。
実際に働かせてみたら、正直、能力にかけていた・・・ということはままあるだろう。
そのような場合に備えて、就業規則、労働契約書等に「試用期間」を定めている企業は多い。

試用期間については有名な最高裁判決がでており、
試用期間は「解雇権留保付き雇用契約である」(S48.12.12三菱樹脂事件)とされている。

「解雇権留保付雇用契約」とはどういう意味だろうか。

試用期間開始時点で労働契約は成立しているが、試用期間中は、使用者が労働者の適格性を判断する期間であり、
その期間は、労働者の不適格性を理由とする解雇権が留保されているという意味である。
もっとも、使用者の恣意的な解雇は当然に無効であり、解雇には社会通念上相当な理由が必要とされている。

②どういう場合に解雇できるか

それでは、どのような場合に解雇が相当と判断される可能性があるのか。
前述の最高裁の判断では、
「採用過程で使用者が知り得なかった、または知ることができなかった事実を知るに至った場合で、
その新たに判明した事実が、その者を引き続き当該企業に雇用しておくことが適当でないと判断でき、
それが客観的に相当であると認められる場合」とされている。
使用者の恣意的判断は排除されるが、本採用後の解雇相当性の判断より若干広い意味で判断される(だけである)。

③試用期間は必ず設けなければならないか

試用期間を設ける設けないは使用者の自由である。
そもそも法律で定められているものではなく、使用者が就業規則、労働契約書等で定めているものである。
逆の言い方をすれば、試用期間を定めていない労働契約には試用期間というものはない。
試用期間を定めたい場合は、就業規則に規定し、かつ、採用時の労働条件通知書に明記して、口頭でも説明しておくとベストだ。
試用期間中の解雇トラブルは後を絶たない。

④試用期間を定めていないとどうなるか

試用期間を定めていない場合は、解雇権留保付雇用契約は存在しない。
労働基準法の解雇予告手当の支払い義務が、雇用日初日から始まる。
労働基準法第21条第四号によれば、試用期間中の者を解雇した場合は、
採用日から14日以内であれば、使用者に解雇予告手当の支払い義務はないと規定する。

試用期間を定めていないアルバイトに採用日から3日で即日解雇したとする。解雇予告手当は30日分支払わなければならない。
試用期間を定めており、試用期間中、採用後14日以内に解雇したアルバイトには、解雇予告手当は支払わなくてもよい。

お金の問題ではないが、使用者にとって、この違いは大きいだろう。


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◆最低賃金とは何か

2017年09月19日 11時36分21秒 | 賃金
<最低賃金とは何か>
最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の最低額をいう。
最低賃金より低い賃金で労働契約を結んでも、それは法律上無効とされ、最低賃金と同額の賃金を
支払ったものとみなされる。

最低賃金には2種類ある。
①都道府県ごとに決められる地域別最低賃金
②産業ごとに決められる特定(産業別)最低賃金

特定(産業別)最低賃金の「産業」の種類は、都道府県ごとに定められている。
また、特定(産業別)最低賃金地域別最低賃金よりは高く決められている。
ちなみに、埼玉県の場合は、非鉄金属製造業、輸送用機械器具製造業、各種商品小売業など6業種が指定されている。

地域別最低賃金にと特定(産業別)最低賃金の両方が該当する場合は、高い方が最低賃金となる。

<最低賃金の適用>
最低賃金は、正社員、パート、アルバイト、派遣労働者などその種類を問わず、すべての労働者に適用される。
ただし、特定(産業別)最低賃金については、18歳未満及び65歳以上、雇入れ後3か月未満の技能習得中の者、軽易作業従事労働者には適用されない。

逆に言えば、地域別最低賃金は、18歳未満であろうと、試用期間中であろうと、原則としてすべての労働者に適用される。
もっとも、労働能力が低い人などの場合は、都道府県労働局長の許可を受ければ、最低賃金を下回る特例許可賃金が可能だ。
例えば、精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い人、試用期間中の人、軽易な作業、断続的労働に従事する人などだ。

<最低賃金の対象となる賃金は何か>
最低賃金の対象となる賃金は「毎月決まって支給される賃金」で、基本給、各種手当などである。
しかし、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、時間外・深夜・休日手当、臨時手当(結婚手当等)、賞与などは除かれる

<最低賃金に違反した場合>
最低賃金以下の賃金を支払った場合は、50万円以下の罰金と規定されている(最低賃金法40条)。


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