大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆新入社員への安全衛生教育

2014年04月14日 18時40分02秒 | 安全衛生
4月。
多くの職場で新入社員を迎え入れたことと思います。
この時期、新入社員を受け入れた職場では、新しい仕事に早く慣れて
もらおうと、いろいろな教育を行っていると思います。
その中には、安全衛生教育も入っていることでしょう。

安全衛生教育は、労働安全衛生法に定められているものから、企業独自の
ものまで、さまざまな教育が実施されていると思います。

●新入社員の労働災害
人生で初めてことばかりの新入社員は、職場に慣れている既存の社員には
想像もつかないようなことで被災することもあるようです。

ある顧問先では、新入社員が、降りて来る自動シャッターに頭がぶつかり
びっくりして転んで怪我(骨折)をした、なんていうこともありました。
慣れている人には考えられないようなことでも、初めての職場では分からないこと
ばかり。不安が増幅して、些細なことでこんな事故も起こってしまいます。

新入社員が事故に遭う職場の特徴は、仕事の安全なやり方を十分に教育しないで、
「見よう見まね」で仕事を覚えさせているような職場ではないでしょうか。
そして、整理整頓が基本的にできていない職場……。コードが出しっぱなしに
なっていたり、そこらじゅうに段ボール箱が置かれていたり……。

●雇い入れ時の安全衛生教育
新入社員の事故を防止するためには、安全衛生教育が不可欠です。
労働安全衛生規則でも、雇い入れ時の教育については、以下の項目を
行うこととされています。

①機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に
関すること。

②安全装置、有害物抑制装置または保護具の性能及びこれらの
取扱い方法に関すること。

③作業手順に関すること。

④作業開始時の点検に関すること。

⑤当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に
関すること。

⑥整理、整頓及び清潔の保持に関すること。

⑦事故時等における応急措置及び対比に関すること。

⑧その他従事する業務に関する安全又は衛生のための必要な事項。


●日々の安全衛生教育
知らないということは、それだけで危険が潜んでいるといえます。
新入社員が多く入ってくるこの時期、受け入れる職場でもそのことを
十分に理解して受け入れる必要があります。
新入社員が危ないことをしていたら、「少しぐらい」という見逃し
の考えを捨て、その都度「声掛け」して、安全に対する「心構え」を
教育することが必要でしょう。

以上のことは、正社員だけでなく、パート、アルバイト、期間労働者などにも
共通している事項です。

せっかく入った職場。
安全に怪我なく過ごせるように、職場の仲間が注意深く見守ってあげたいですね。

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◆急増している社労士数 

2014年04月02日 12時23分41秒 | 近頃思うこと
所属する埼玉県社会保険労務士会から「45周年記念特別号」が届きました。

バブル崩壊後、企業のリストラが進んだ影響でしょうか、社労士資格を取る方が急増
していることは、これまで会が発表する数字を見れば一目瞭然でしたが、

「45年記念特別号」の統計数字を見ますと、
私が開業した平成5年頃の埼玉県社会保険労務士会の個人開業会員数は、約500人。
20年あまりが経過した平成25年の個人開業会員数は、約1200人。

実に2.4倍も増えています。

500で分け与えあっていた顧客数を、今では1200で分け合っていかなければ
ならない現実――。
その中で着実に顧問先を増やせていけるのか、はたまたその逆か。

社労士業界は、今、熾烈な、あまりにも熾烈な競争激化の中にあると言えるでしょう。

それでも、後から後から開業する人は増えるばかり……。
聞けば、開業10年くらいでも数件の顧問先しかない、という話も耳にします。

女性の個人開業会員も増えています。
育児休業法が施行され、育児休業期間中に社労士資格を取って
開業する女性が増えてきているのが影響しているのも大きいようです。

この点も競争相手の激化に拍車をかけています。

私の例をご紹介しましょう。
社労士資格は取ったけれど開業リスクは負いたくないという方もいらっしゃることも事実。
そういう方は、社労士資格を生かして「就職」される方も多い筈。
私の場合、
社労士有資格者を採用した顧問先から、「給与計算」業務を引き上げられました。
大口の給与計算でしたので、そのために事務所を広めのところに移転した後に、です。
「後の祭り」(微笑)。

開業社労士との競争。
社労士有資格者との競争。

既存の開業社労士も手をこまねいていると、今に新規参入者にじわじわと
顧客を奪われかねない状況に陥りましょう。

くわばら、くわばら。

今日も、うちの事務所には、出そう出そうと思っていた「DM]印刷物の
段ボール箱がまだ積まれたままです。
出そうにも、後から後から顧客のいろいろな要望に応えているうちに、
時は過ぎ去るばかり――。

年金手続一つとっても、一生懸命、誠心誠意仕事をしていますので、
業務の質ではどこにも負けない自信がありますが、流石に、500が1200という数字
を見せつけられますと、今さらながら「もっと危機感を持とう!」と自分自身を
叱咤激励するきょうこの頃です。

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◆来署依頼書

2014年04月01日 13時01分40秒 | 労働基準
人の心は魔物。

入社面接のときは「普通」を装って、「普通」に入社してきても、
そのうちに、社長の知らないうちに「本性」が現れだす――。

日々、労使紛争に触れていますと、「人」の本質といったものを考えさせられます。

人には優れた面もあるし、劣っている面もあります。
心の持ちようも人さまざまで、恩を忘れ、利己ばかり思い定めて
この世を利のままに生きようとしている人も、少なからずいらっしゃいます。

大抵そんな方は、入社のときは「お願いです。私を雇ってください」と頭を
下げてくるのですが、そんな謙虚? におだされて雇ってしまう「失敗」をすると
後からとんだことになります。

「自分は、妻子をかかえて大変ですから雇ってください」
「この人は他に行くところがないので雇ってあげてください」
「子供がいます。働かないと食べさせてあげることができません」

などと言われ、優しい心を社長さんが持ったからといって、そもそも
利己的にのみ生きている人には通じません、社長さんの心は斟酌しません。
これ、現実です。

ある会社では、「この人雇ってください」と薦められて、雇って1年。
同僚とけんかして有給休暇を全部使い切って退職。
その後は、お定まりの「未払い賃金請求」とやらのお手紙を出してきた人がいました。

手紙を出すということは、もう労基署へ行っていると思ってください。

社長さんが、その要求は認められませんなどとお手紙で返事をすると、
即刻、所轄労基署から「来署依頼書」が舞い込みます。

これ、お定まりのパターンです。

――「来署依頼書」。なんて、心臓に悪い表題でしょう。
しかも、具体的には何も書かれていず、「労働基準法の規定する措置の
履行状況確認のため」などと抽象的な表現で来署を命じてきます。
(労働基準法104条の2第2項)。

監督官は、労働者から労働基準法違反に関し「申告」があると、
その確認のため、使用者に報告・出頭命令を出すことができます。
それが、たとえ根も葉もない労働者の「言いがかり」であったとしても――。

初めての経験ですと、こんな来署依頼書などが来ると、ドキッとするでしょう。
「怖いので、社労士さんに代理をお願いしたい」とすぐに電話を
掛けてくる方もいらっしゃいます。
私などは、「可哀そうに」と、つい同情してしまうのですが……。

まあ、大抵、100%近く、「社労士さんに代理をお願いしたい」とか
「労基署と話し合って、何がいけないのか分かりませんが、兎に角解決していきたい」とか
社労士のところに飛び込んで来る社長さんは、誠意のある方とお見受けします。
問題を解決するために、誠心誠意、包み隠さず、努力されます。
うちに依頼される社長さんたちは、ほとんどがこのパターンですので、
問題もこじれることもなく、すーっと終焉に向かいます。

ところが、「来署依頼書」なるものを受け取って、頭にカーっと血が
のぼり、相手を恨んでみたりするような社長さんですと、どうでしょうか。
そういう方ですと、お金を払ってまで社労士に解決を依頼する発想は
ないかもしれません……。

いずれにしても、最近の人は老若男女問わず、自分が働いていた職場に
「勉強になった」「仕事を覚えられた」とか少しも肯定的にとらえず、
後ろ足で砂をかけて辞めていくようなことを繰り返している人が
増えたような気がします。

もちろん、砂をかけたくなるような会社もあるかもしれませんが、
見ているところ、ごく「普通」の会社にも、恩を仇で返すような発想の人が
増えたような気がします。

怪我の方もだいぶよくなり、長引いている風邪の方もなんとか終焉に
向かいそうです。そんな時、またしても「来署依頼書が来たんですけど……」
なんていう電話が鳴ると、身も心も業務復帰。

さてさて、もひとつ頑張ろうか、と思う今日この頃ではあります。

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