大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆いよいよ厚生年金基金の解散が

2013年05月29日 12時17分41秒 | 公的年金等
社会保険労務士の大澤朝子です。

本日、顧問先が加入する某厚生年金基金の解散に係る事業所説明会に
出席してきました。

午前10時開始のところ、20分前に到着すると、もう駐車場は満車に
近く、この問題への加入事業所さんの関心の高さが伺えます。

すでに、厚生年金基金の解散を含む改正法案は衆議院を通過し、
来週から参議院で審議が行われるようですが、
顧問先の加入する某厚生年金基金は、AIJに預けておいた25億円が
消滅し、責任準備金を大きく下回る状況に、更に拍車がかかる状況
となっておりました。

責任準備金不足額の多さに、うちの顧問先も脱退したくても脱退できず、
どうしたものやらと思っていた矢先、基金解散の決定報が届きました。

この厚生年金基金は、平成25年12月を目途に解散の認可を得るため、
今後、解散へ向けた数々のスケジュールをこなしていくようですが、
一番の朗報は、昨今の株価高騰を受けて責任準備金の不足額が
大幅に減少し、このスケジュールで解散した場合、「加入会社負担がゼロ」
という試算を受けて、解散決定に踏み切ったことです。

もちろん、日本年金機構との「年金記録の突合」作業を終えないと
確定はできませんが、経営を揺るがすような負担金が出ない、という
ことだけは確かなようです。

これにより、現在の基金年金受給者は、基金上乗せ分の支給は
解散月以降なくなり、現役の加入員も老齢年金受給時には、
基金解散月以降の基金分給付は算定されません。

基金解散で、ほっと胸を撫で下ろすのは事業主で、これまで負担して
いた基金事務費や上乗せの事業主負担分がなくなります。

厚生年金基金に代わる老後の生活保障をどうしていくのか・・・。
退職金準備金は損金算入できないので、今後は、損金算入可能な制度に
加入する道を模索する必要がありそうです。

中退共や確定拠出・確定給付企業年金なども視野に入れ、
事業主さんは、具体的に考えていかなければならないでしょう。

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◆無断欠勤と退職

2013年05月24日 21時19分18秒 | 労働基準
社会保険労務士の大澤朝子です。

ここのところ、「解雇」問題、「未払い残業代」請求問題等々が
多く、対応に追われる日々です。

「退職・解雇」問題は、微妙な部分もありますので、企業様は
気を引き締めて対応していただきたいと思います。

例えば、
入社してすぐに勤務不良に陥り、連絡もなく休みがちになる、
ということはよくあります。このような人は
無断欠勤を「申し訳ない」という認識はなく、会社から何度連絡を
入れても電話には出ません。
かえって「迷惑です。電話しないでください」とメールして
くるような始末です。

無断欠勤も2週間程度続くと、ついに堪忍袋の緒が切れて、
「解雇だ」なんて言ってしまいがちですが、待ってください。
こういう人は、その言葉を待っているのです。
やったー! これで、「ただで」、解雇予告手当30日分もらえる。
内心ほくそ笑んでいます。

ご存じのように、就業規則の懲戒解雇規定に、
「無断欠勤2週間以上で懲戒解雇」などと書いてあり、
かつ、労基署長の認定を受ければ解雇予告手当の支払い義務を
免れるということはあります。ただし、申請してから
決定が出るまでに時間がかかり、今、現実的ではありません。
可能ならば、自力で解決してみましょう。

「解雇」だなんて言わないで、チャンスを待ってください。
給料等お金がらみのことがあると、このような人は
必ず自分から連絡してきます。
また、メールをしてもいいでしょう。
今の人は、「メール」なら対応してくるものです。

「うちの仕事、どうですか?」などと話掛け、
「自分には向いていないみたいなんで、辞めます。」
などという言質をとってください。
そして、必ず、
「そうですか。わかりました。それでは、便箋でも何でも
いいので、退職届を送ってください。」などと、退職届の
提出を促してください。
この退職届には、必ず、退職日を記入してもらうことも
忘れずに。

・退職届
・退職日の記載
・社会保険料の控除のことも考えて退職日を決める

退職日ですが、社会保険料の控除のことを頭に入れて、
本人に適切にアドバイスをしましょう。
1日違いで1ヶ月分の保険料が違ってくる場合もあります。

気は引き締めつつ、外せないポイントは絶対外さず、
あくまでも温和に対応するのが解決(退職)への早道です。

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◆和の極意、大宮盆栽美術館に驚き

2013年05月19日 23時41分59秒 | 近況
社会保険労務士の大澤朝子です。

今の事務所に引っ越して2年近くにもなるのに、
事務所の駐車場から徒歩1分の「大宮盆栽美術館」へは
まだ入ったことがありませんでした。

「盆栽」と聞いただけで、年寄りの趣味、とイメージして
しまい、素晴らしい和の建築物たる大宮盆栽美術館へは
まったく興味なし、「きょうもあまり人は入ってないね」
程度にしか思わず、常に通り過ぎていく興味外の建物でした。

……それが、「ま、入ってみるか」と、昨日の土曜日、
気分的には大枚「300円」の入場料を払って、勇気を出して
何故か、入ってしまいました。

中に入って感じたのは、まるで高級和風旅館にでも入って
しまったような厳かな雰囲気――。
しっとりとした展示廊下を進むにつれ、初心者にも分かりやすい解説と
「これはすごい!」と思わせる大作の「盆栽」が静かに佇んで
います。

人はあいかわらず少なく、しーんと静まり返った廊下を
「鑑賞」しながら進んでいきます。
(まさか、自分が盆栽を鑑賞するなんてと驚きながら。)
圧巻は、盆栽が飾られた「真」「行」「草」の各和室。
わびさびの極意を極めた和室の床の間に置かれた大作・盆栽
の荘厳ともいえるたたずまい。

展示「会場」は、室内だけではありません。
それ以上に屋外の庭園にも盆栽が多数展示され、
5月の風を感じながら庭園の椅子に腰かけて、眺めさせて
いただきました。

ここは産業道路という幹線道路にほど近い建物なのに、
その庭石、植物、盆栽がそうさせるのでしょうか、
このままずっと座っていたいような、安らぎを感じさせてくれます。

2階を見上げると、なにやら「甘味どころ」の幟旗が。
さっそく2階に上がってみました。
その「甘味茶屋」は、半露天風呂ならぬ「半露天お休みどころ」。
屋根が半分まで開け放たれ、壁も「開け放たれ」、
それは、まるで全天候型サッカー場のミニ版みたいな構造。
椅子に座ると、全面風薫る屋外の趣。かすかな風にあたり、
眼下には広い庭園が見渡せます。

ここ、旧大宮市盆栽町は、関東大震災で東京の植木職人が
集団で移転してきた土地で、今でも数々の盆栽店が点在しています。

昼休みには、うっそうとした木々が生い茂る盆栽町を散歩したりして、
盆栽店の素晴らしい庭や赤松などの大樹を見ていますのに、
まったく「盆栽」には興味も湧かなかったのを少し反省しています。
たった1回入ったきりの大宮盆栽美術館のお蔭で、少しばかり
「盆栽」とは、どういうものか分かってきたような気がしました。

大宮盆栽美術館。盆栽にまったく興味のない方も、一度、是非
いらしてみてください。

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◆効果に疑問、育児休業給付

2013年05月09日 23時06分22秒 | 雇用保険
こんばんは、社会保険労務士の大澤朝子です。

社会保険労務士の仕事で、一番気を遣うのが
雇用保険の高年齢雇用継続給付と育児休業給付の申請手続きです。
どんなことがあっても、絶対に2か月に1回の申請を忘れては
なりませんし、高年齢雇用継続給付は、これが長い人で5年間、
来る月も来る月も2か月ごとに続きます。

育児休業給付は、長くてもせいぜい1年6か月ですので
期間は高年齢より短いですが、
育児休業給付への気の遣いようは高年齢の比ではありません。

女性の産前産後休暇中は育児休業給付の対象ではありませんので、
産後休暇の法律上の終了日の翌日を見極めた上で、
その方の法律上の「育児休業」開始日を認識しておきます。

弊所では、独自に出勤簿を作成して、産前産後休暇と育児休業期間
との境目を「法律上」間違いなく把握し、育児休業給付の申請を
することにしています。

育児休業給付の申請の最初に、育児休業前6か月間の「賃金登録」
を行いますが、当人が女性の場合(ほとんどが女性ですが)、
妊娠中のトラブルによる欠勤や産前産後休暇もありますので、
長い人で2年近くにもわたり一定の出勤日数(11日)の月を
12月分つかまなければなりません。
11日以上の月を最低でも12月とって賃金登録の書類
(離職票みたいなものを)を作成します。

第1子を生んで、子の病気などで休みがちながら、第2子を妊娠・出産
などという例ですと、受給要件が危うい人などもいて、
過去のタイムカードから受給要件が満たされていないかどうか
懸命に捜します。

育児休業給付の額は、育児休業前直近の6か月の賃金から算定
され、現在はその50%ですから、育休前20万円だった人は10万円もらえる
のですから、当人にとっては大きな額です。

逆に、それを来る月も来る月も2か月ごとに、絶対に忘れないで
申請を行う私どもには、重い責任があります。

ところが、この育児休業給付をもらう方の職場復帰
の度合いを見てみますと、弊所の顧客は中小企業が多いので
尚更なのでしょうが、あまりよろしくありません。

ほとんどの方が、育児休業給付を受給し終わると、職場復帰せずに
そのまま退職されてしまいます。
中には、産前産後休暇を取る前に、育休終わったら辞めます、と
宣言される方もいらっしゃいます……。
(本心かどうか分かりませんが、そういう話を聞くと
残念です。)

中小企業の場合は年次有給休暇も取りにくい現状が
ありますので、そういうことも原因かもしれませんが……。

この制度の現場におりますと、
国がいくら「育児休業給付」制度を作っても、
出生率はあまり改善されずに、
ただ、お金だけもらって辞めます、を可能にした制度を作っただけ
ではと、少なからず疑問をもってしまいます。

その財源を負担している会社や多くの被保険者の方は
どのように思われるでしょうか。(財源は雇用保険料、諸費は税金)。

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◆「うつ病」による傷病手当金が急増中です

2013年05月02日 00時42分22秒 | 健康保険
こんばんは。社会保険労務士の大澤朝子です。

ここのところ、バタバタしていると思ったら、
健康保険の「傷病手当金」の申請が急増しているからと思えてきました。

「うつ病」に罹患する従業員さんが増加し、
あちらの会社も、こちらの会社も、
傷病手当金の申請書類の作成がフル回転です。

この病気は長期化することが多く、1回受給申請しますと、
次から次へと毎月のように作成していかなければなりません。
そういう方の場合は、あらかじめ会社さんにお聞きして
期間を見計らって何か月分かまとめて印刷しておきますが、

実際に申請をする段階で、
欠勤、有給、出勤などを日ごとに書かなければいけませんし、
お給料も、ここの欠勤控除はこう計算しています、
この手当の計算式はこうです、など、
添付する給与台帳に記入すべきこともたくさんあります。

この時間がけっこうかかります。

傷病手当金の支給申請が増えました、と言って
顧問料が上がるのであれば嬉しいのですが……。

数年前からこの傾向は増幅し始め、今では、一定規模以上の
企業さんなら、一人は二人は必ず「うつ病」の方が、というような状況です。
ある企業さんでは、ごく親しくお打合せなどをしていただいてた
担当者様が「うつ病」になってしまわれました……。

長引く方には「そろそろ障害年金の申請を考えたら…」などと
おススメしてみたり、退職される方には退職後の医療保険や年金制度の
説明をしてさし上げたりと、まあ、ご本人様、総務さんなどに
お話することがたくさんあります。時間がいくらあっても足りない
という日々なのです。

……通常の業務をこなしながらですので、忙しくなりますのも
当たり前のことかもしれません。

事務所の郵便ポストを開けると、きょうも従業員さんから
傷病手当金の申請書類が届いている…なんて夢を見るように
ならなければいいのですが……。


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