大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆年次有給休暇の5日付与義務

2019年02月06日 09時30分16秒 | 労働基準
働き方改革法でいくつか改正点がある中で、今年4月1日から始まる年次有給休暇5日の付与義務は、
重要課題といえましょう。

これまでは、年次有給休暇は、労働者の請求をまって付与するのを原則としていましたが、
平成31年4月1日からは、使用者は、年次有給休暇(「年休」)が10日以上ある労働者について、
年休の付与日(基準日)から1年以内に5日の年休を必ず取得させなければならなくなりました。
これは罰則付きの義務になります。

例えば、平成31年4月1日に入社した労働者は、平成31年10月1日に年休10日が付与されます。
使用者は、当該付与日(基準日)から翌年の9月30日までの1年間に、必ず5日年休を付与する
必要があります。

労働者の側から自主的に年5日以上取得した場合はそれでいいのですが、
もし労働者が取得する年休が5日未満ですと、使用者は、時季を指定して、年5日までは
必ず休ませなければなりません。

「年休10日以上」の年休の日数には、前年度の繰り越し分は含みません。
また、「年5日」の強制付与義務の「5日」には、前年繰り越し分の年休を取得した場合を含んでよいとされています。
とにかく「年5日は強制的に休ませて」というわけです。

パートタイマー、管理監督者、派遣労働者でも「年休10日以上」ある労働者は、この強制付与の対象です。

なお、労基法39条の定めに基づき、労使協定によりあらかじめ時季を指定して年休を取得させた日も
「年5日」の日数に入れて構いません。

労働者の請求により休んだ日、労使協定の定めにより休んだ日などを含めて、
「年5日」、年休を取得させればOKです。

「年5日」の強制付与については、就業規則に規定を定め、
また、労働者が年休をいつ、何日取得したのかを「年次有給休暇管理簿」に記録します。

弊所でも就業規則改正や年休5日強制付与についてのご相談を承っております。
お気軽にお問合せください。

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◆みなし労働時間制労働者まで労働時間把握?働き方改革実務の矛盾

2019年01月25日 12時02分47秒 | 労働基準
働き方改革関連では、平成31年4月1日から、
高度プロヘッショナル以外のすべての労働者について、
1か月単位で労働時間を把握しなければならなくなります(労働安全衛生法66条の8)。

かつ、月の時間外労働及び休日労働の合計時間数が80時間を超える労働者に、
労働時間に関する情報を通知しなければならなくなります(労働安全衛生法施行規則52条の2第3項)。

対象労働者は高プロ以外の「全ての労働者」ですから、
・管理監督者
・事業場外のみなし労働時間制の適用を受ける労働者
・裁量労働制(専門業務型、企画業務型)の適用を受ける労働者
・派遣労働者
・海外派遣された労働者(短期海外出張労働者に限る)(基発1228第16号(H30.12.28))
も当然に対象となります。

ここで特に人事担当者を悩ましているのが、
「そもそも事業場外のみなし労働時間制の労働者は、労働時間を
算定し難いため、みなし労働時間の適用を受けているのであって、
労働時間を把握することが出来ない。
もし把握することが出来た場合は、その時点で労基法みなし労働時間制の
対象外労働者になってしまう」という疑問です。

労働時間を算定しがたい労働者にまで労働時間を把握しろと義務付ける矛盾。
法の主旨には賛成するが、法令順守を真剣に考えている人事担当者ほど迷い、悩んでいるのもまた事実である。

4月1日の施行日はすぐ目の前だ。

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◆パートタイマーの年次有給休暇

2017年10月17日 15時40分26秒 | 労働基準
パートタイマーの年次有給休暇については、顧客からの質問が多いテーマだ。
「パートタイマーにも有給休暇があるんですか?」という超基本的質問から、
「勤務日数の不定期なパートタイマーに支払う年次有給休暇付与日の賃金は?」等の高度な?質問まで、
パートタイマーの年次有給休暇に関する質問には枚挙に暇がない。
以下、代表的な質問を取り上げてみたい。

◆「パートタイマーにも年次有給休暇はありますか?」
答え「あります」。
① 週所定労働時間が30時間以上又は週所定労働日数が5日以上の場合は、一般正社員と同じ付与日だ。
② 週所定労働時間が30時間未満、かつ週所定労働日数が4日以下の場合は、
次のように、週所定労働日数や年間所定労働日数の範囲により、付与日数が決まる。
所定労働日数が「週」により決まっている場合は「週所定労働日数」、それ以外の場合は「年所定労働日数」で判断する。

週所定   年所定  
労働日数 労働日数     0.5年   1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年~
4日 169~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48~72日    1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

◆「出勤率の計算に注意することはあるか?」
答え「出勤率の計算をする際には、次の期間は、出勤したものとみなして計算する。」
① 業務上災害により療養のため休業した期間
② 労働基準法に基づけ産前産後の期間
③ 育児・介護休業法に基づく育児休業又は介護休業の期間
④ 年次有給休暇を取得した期間

◆「1日の労働時間が一定でないため、有給休暇の賃金計算方法が分からない。どうしたらいい?」
答え「有給休暇を取得した日の賃金は、次のいずれかの方法により計算する。」
① 平均賃金(過去3か月間の1日あたりの賃金)
② 通常の賃金(所定労働時間に労働したときの賃金)
③ 健康保険法の定めによる標準報酬日額

1日の勤務時間が一定しないパートタイマーの場合は、①の平均賃金をとる方法をお勧めする。
社会保険に加入しているパートタイマーの場合は、③の標準報酬日額をとる方法も簡便でよい。
ちなみに、1日の所定労働時間が一定であるパートタイマーの場合は、②の通常の賃金(時給×時間)で支給する方法が多いようだ。

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◆専門業務型裁量労働制とは

2015年11月24日 16時47分44秒 | 労働基準
ある日、某業の顧問先さんから相談を受けました。

「当社では、編集デザイナーに裁量労働制を実施したいのですが、
どのようにすすめたらいいでしょうか。」というものです。

編集者、取材記者、研究開発職、デザイナーなどの一定の専門職は、
労働時間の「量」ではなく、仕事の「質」で評価されるような職種です。
このような職種の場合は、労基法38条の3に規定する「専門業務型裁量労働制」を
採用することができます。

具体的にいいますと、
労使協定において、専門業務型裁量労働制を適用する業務を定め、
当該業務の遂行に必要とされる時間を定めたときは、当該業務に
従事した労働者は、当該協定で定める時間労働したものとみなすことができます。
(労基法38条の3)

例えば、「当社の○○職の1日の労働時間は、9時間とみなす」と労使協定を結んだ場合は、
実際の労働時間にかかわらず、毎日9時間勤務したものとなります。
この場合、法定労働時間を1時間上回っていますので、毎日1時間分の割増賃金手当を
支給しなければなりません。

ただし、この専門業務型裁量労働制をとることができるのは、次の職種に限られています。
1、研究開発、人文研究者
2、情報処理システムの分析又は設計の業務
3、取材記者、編集者
4、デザイナー
5、放送番組等のプロデューサー、ディレクター
6、その他厚生労働大臣の指定する業務(各種定められています。)

また、労使協定書には、健康・福祉確保措置や苦情処理措置など一定の事項を
協定しなければなりません(労基法38条の3第1項、労基則24条の2の2)。

結んだ労使協定書について、所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。


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◆時間外労働の限度時間と特別条項付き協定

2014年12月24日 16時27分19秒 | 労働基準
法定時間外労働させるには届出が必要
1日8時間、1週間40(特例事業場は44)時間を超えて労働させる、いわゆる
残業(「時間外労働」)は、何の届出もなしに自由にさせることはできない。

どんな小規模な事業場であろうと、時間外労働させることができる限度時間等
について労使協定を結び、それを所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
「時間外労働・休日労働に関する協定届」(いわゆる「36協定届」)がそれだ。

届出が必要な時間外労働は「法定労働時間」を超えて労働させる場合だ。
1日所定労働時間が7時間の会社が1日7時間45分労働させるからといって、法定労働時間
(1日8時間)を超えていないので届出は必要ない。

時間外労働の限度時間とは
天井知らずで時間外労働させることはできない。
時間外労働をさせることができる時間外労働の限度時間が決められている。
例えば、
・1週間15(14)時間
・1箇月45(42)時間
・1年間360(350)時間
※カッコ内は3箇月を超える1年単位の変形労働時間制の場合
※ただし、次の業種には限度時間は適用されない。
①工作物の建設等の事業
②自動車の運転の業務
③新技術・新商品の研究開発の業務
④厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務(ただし、1年間の限度時間を除く。)

特別条項付36協定とは
以上のように時間外労働の限度時間が定められているといっても、
取引先の事情や事故等臨時的に限度時間を超えて労働させる必要があるかもしれない。
そこで、臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情が
予想される場合は、「特別条項付の労使協定」を結んで36協定として届け出なければ
ならない。
この届出がないと、36協定の時間や限度時間を超えて時間外労働させることができない。

特別条項付36協定の内容
特別条項付の労使協定書には次のこと等を定めなければならない。
・限度時間を超えて労働させることができる時間を定めること。
・限度時間を超えて労働させる場合の「特別の事情」を具体的に定めること。
・特別の事情は、一時的突発的であり、1年の半分を超えないこと(年6回まで)。
・特別の事情が生じたときに、労使が取る手続や協議、通告等を具体的に定めること。
・限度時間を超えることができる回数を定めること。
・限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金の率を定めること。
など。

なお、36協定届の様式の中に、特別条項付協定で定められた内容を記載することも可能だ。
当事務所では、36協定届の中に記載する方法よりも、36協定届に特別条項付労使協定書
の写しを添付して届け出ることが多い。

限度時間を超えそうな事業場は、
最初から、特別条項付労使協定書を結び、届出をされることをお勧めする。


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◆中国研修生への労働法講義の依頼

2014年12月15日 15時04分29秒 | 労働基準
主に発展途上国等から日本の技術を学ぶため受け入れる「技能実習生」(研修生)。
かつては劣悪な労働条件下で「労働」させられていた等の摘発もあり、
それらを改善するため、2010年7月より、研修生にも日本の労働基準法や最低賃金法
などの労働法が適用されることになっている。

入管法では、このような研修生に対し、入国後速やかに、
1、入管法
2、労働法
の各知識を各4時間程度研修(通訳時間込)するように義務付けられている。

これをいわゆる「法的保護情報」の講習として、
1の入管法関係は、行政書士さん、2の労働法関係は、社労士が
講義を担当することが多い。

最近、弊所にも「中国研修生」に「法的保護」の講義をしてくださいとの依頼がり、
日本に来て技能を学んで帰る若者達のために、微力ながら、サポートさせて
いただきたいと考えている。

なお、研修生の活動を入国から帰国までサポートする「監理団体」等は、
上の「法的保護」関係の講習の他に、
3、日本での生活一般に関する知識
4、その他本邦での円滑な技能等の習得に関する知識
などの講習を座学により実施することが義務付けられている。

この講習が終わらない限り、雇用契約に基づく技能等の習得活動ができない。
なお、入管法上の研修生の在留資格は「技能実習」となる。
研修生を受け入れる企業は、在留カードなどで必ず在留資格を確認されたい。


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◆定額残業代と事業場外のみなし労働時間

2014年11月19日 13時52分08秒 | 労働基準
●悩ましい外勤労働の労働時間の把握
「外勤の従業員の残業代をどう支払っていいか分かりません。
単に道路渋滞で帰りが遅くなっただけなのか、本当に仕事で遅くなったのか
分からないからです。」

という社長さんからの給与に関する相談をよく受けます。

外勤労働がある場合の残業代には悩ましいものがあります。

●定額残業代の導入
外勤労働の人については、基本的には、「定額残業代」で支給する
ことをおすすめしています。
世間に広く使われている営業マンの「営業手当」なども、同じような考えで
支給されているようです。

これは、労基法の「事業場外のみなし労働時間制」を利用したもので、
通常所定労働時間を超えて労働するであろう月平均時間を出してもらい、
労使で36協定を結んでもらいます。
ただ、注意したいのは、グループ単位での外回りで中に労働時間を管理する者がいて
労働時間を管理しているとか、逐一会社の指示命令を受けて定型的な外回りをこなすなど、
労働時間が客観的に把握できる場合は、「事業場外のみなし労働時間制」の対象とは
ならない場合があります。

※「事業場外みし労働時間制」
事業場外で労働する場合であって、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。
ただし、通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合は、労使協定で定める時間
労働したものとみなす。(労基法38条の2)


ここで決まった、通常所定労働時間を超えて労働する平均的な時間を
「定額残業代」として評価し、その人の基本給・諸手当等の給与から
時間外労働割増単価を算出して割増賃金額を出しておきます。

毎月の時間外労働は、この「定額残業代」を支払います。

●定額残業代の注意点は
ただし、外回りの業務の種類・性質にもよりますが、
タイムカード上で、ある程度時間外労働の時間が計れる場合は、
定額残業代を上回る時間外労働をしていないか計算し、
もし上回っていれば、その額を支払います。これは、制度の有効性上大切なことです。

定額残業代制度は、就業規則にしっかりと詳細を規定しておかなければ
なりませんし、個別の労働契約書にも内容を明記しておきたいものです。

従業員の立場になって考えると、自分の残業代がどのように計算され、
どのように決定されるのか不明だと、仕事への意欲も削ぐことになりますし、
会社への信頼感も感じられません。

賃金という重大な労働条件を変更するときは、十分な従業員への説明と、
会社側の真摯な態度が必要と言えます。

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◆変形労働時間制と割増賃金

2014年11月18日 14時55分51秒 | 労働基準
「従業員から割増賃金の請求をされた!」との相談で、一番多いのが、
・「変形労働時間制」を採っていない、
・入社時に「労働条件通知書」を渡していない、
・就業規則(賃金規程)もない、
という「3無い」の中小企業です。

もちろん、そういう事業所さんには社労士の指導が入っていないわけで、
給料支払いの現状を見ると、大変、大雑把といいますか、払わなくてもいいものを
支払い、払わなければならないものを支払っていないというようなことも見受けられます。

その「支払っていない」問題点を従業員から指摘され、
退職したら、労基署へ直行です。何十万の残業代の請求が――。

そういう企業さんのタイムカードを見ると、「変形労働時間制」を
採っていれば、こんなに残業代を請求されることはなかったのに……と
残念に思うことがあります。

変形労働時間制は、一般の事業所の場合は、次の二つのいずれかが可能です。
・1箇月単位の変形労働時間制
・1年単位の変形労働時間制

これらの変形労働時間制の場合、
以下の時間が法定労働時間外労働となります。

①1日の法定労働時間外労働
就業規則等で1日8時間を超える時間を定めた日はその時間、
それ以外の日は8時間を超えて労働した時間

②1週間の法定労働時間外労働
就業規則等で1週40(特例事業場44)時間を超える時間を定めた週はその時間、
それ以外の週は40時間を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く。)

③対象期間の法定労働時間の総枠(40時間×対象期間の暦日数÷7日)を
超えて労働した時間(①又は②で時間外労働とされた時間を除く。) 

言い換えれば、対象期間の総枠の労働時間内ならば、就業規則等で所定労働時間を
定め、具体的には毎月の勤務カレンダーに定めることにより、変形労働時間制を
採らない場合よりも、残業時間とされる時間が軽減されるということです。

中には「うちは変形労働時間制を採っているんだ」と公言する人がいますが、
労基法に則り、一定要件をクリアーしていないと、変形労働時間制を採ったことに
なりません。口で言っているだけではダメです。

採用されたい場合は、お近くの社労士に相談してみてください。


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◆退職間際の年次有給休暇

2014年05月28日 09時55分45秒 | 労働基準
退職間際に、残りの年次有給休暇を全部請求して、
「今日から、私、出てきません。」と「退職届」を社長の机の上に
置いて突然職場からエスケープしてしまうなどのケースがある。
年休の残日数から「退職日」を設定してくるので、使用者側としては
手の打ちようがない。

使用者側も、例えば定年まで勤め上げたような長期勤続者には、
消化できなかった年休を全て付与し、長期勤続の功労に報いる用意はあろう。
中堅以上の企業では慣例となっているところも多い。

冒頭のケースは、例えば、勤続数か月や2~3年で他社へ転職していくなどの場合などに、
小規模企業などで多く見られる現象だ。
小規模企業には人材の余裕がなく、急な、人ひとりの欠員が、業務に大きな影響を与える
ことが多い。

年次有給休暇は、労働基準法第39条に規定されている強行規定だから、
もし、労働者が、残り30日間の年次有給休暇を「今日から全部」請求
したとしても、事業の正常な運営を妨げるなどを理由とする使用者側の「時季変更権」に
合理的な理由がない限り、労働者の指定する時期に与えなければならない。

注意して欲しいのは、「年休取得日」は「労働義務がある日」に付与するということ。
従って、労働義務のない「公休日」や「退職日以後の日」などは、
そもそも年次有給休暇の請求の権利自体がない。
労働者も使用者も知らないで勘違いしていることが多い。

ところで、年次有給休暇の本来の目的は、休息により今後の勤務に備えるものである。
退職日に合わせて取る年休については、制度の本来の目的を逸脱し、権利濫用と捉え
かねない部分もあるから問題が複雑だ。
退職日に合わせた「いきなりの年休請求」は、信義則上、一定の制約は
違法とはならないであろうとの見解もある。
「退職届」提出後、労働者の2週間の労務提供義務を根拠として、14日間について
年次有給休暇を付与することは違法ではないという判例も出ている。

労働基準監督署に上記「14日間」の可否について意見を求めると、
「労使よく話し合って決めてください。」との回答を得ることがある。

根本は、年次有給休暇を定期的によく消化させ、いきなり退職を迫られても、
それほど業務に影響が出ないように、普段から工夫しておくことが必要といえる。

それができなかった場合は、例えば、どうしても残った未消化の年休分を
「退職金」として支払うという手段もある。「退職」の場合に限られるが。

何はともあれ、労働基準法第39条第6項に規定する「指定有給制度」などを利用して、
普段から年休消化を促進し、未消化年休が「溜まらない」工夫をしておくことは、
冒頭のような困ったケースを出さない一つの工夫だろう。


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◆契約変更となった場合の年次有給休暇の付与

2014年05月22日 11時51分01秒 | 労働基準
パート労働者等の所定労働日数が年次有給休暇の付与年度の途中で変更になった場合、
労働基準法第39条第3項の比例付与に係る付与日数は、いつから適用(変更)になるのか?
パートから正社員になった、或いはその逆の場合などもどう考えるのか。

結論から言えば、その労働者の年次有給休暇の付与の「基準日」から変更すればよい。

通達によれば、「法第39条第3項の適用を受ける労働者が、年度の途中で
所定労働日数が変更された場合、休暇は基準日において発生するので、
初めの日数のままと考えるのか、それとも日数の増減に応じ、変更するべきと
考えるのか。」という疑義に対し「見解前段のとおり。」という回答が
なされている(昭63.3.14基発150号)。

例えば、入社が平成25年4月1日のパート労働者(週所定労働日数:4日)の場合。
年次有給休暇の付与の「基準日は」は「10月1日」となる。

・平成25年10月1日:付与日数7日(継続勤務6か月)
(基準日:10月1日)
・平成26年6月1日に契約変更。週所定労働日数が3日となった。
・平成26年10月1日:付与日数6日(継続勤務1年6か月)

パートから正社員になった場合も(その逆も)、「基準日」に年次有給休暇の付与日数
を変更する。考え方は、前記と同様である。

なお、年次有給休暇の「比例付与」は、週所定労働時間が30時間未満であって、かつ、
週所定労働に数が4日以下又は年間所定労働日数が216日以下の者となる。
(労働基準法施行規則第24条の3)
それ以外の者は、「アルバイト」「パート」などの区分に係らず、
通常の労働者と同様の付与日数となる。

誤解があるのが、1日3時間など、1日の勤務時間が少ない者の付与日数。
1週間の所定労働時間が30時間未満であっても、週所定労働日数が「5日」の場合は
「比例付与」の対象とならない。
通常の労働者と同様の付与日数になる。

このような勤務時間が少ない者の年次有給休暇は、その年次有給休暇を
取得した日における契約上の所定労働時間となるのは当然である。
そうすると、その有給取得日の所定労働時間が契約上「3時間」である日は、
3時間分を付与することになる。給与計算時にも注意されたい。

最後に、法定の年次有給休暇は、基準日前の継続勤務期間において、全労働日の8割以上
出勤した場合に付与されるものである(労働基準法第39条第1項)。


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◆来署依頼書

2014年04月01日 13時01分40秒 | 労働基準
人の心は魔物。

入社面接のときは「普通」を装って、「普通」に入社してきても、
そのうちに、社長の知らないうちに「本性」が現れだす――。

日々、労使紛争に触れていますと、「人」の本質といったものを考えさせられます。

人には優れた面もあるし、劣っている面もあります。
心の持ちようも人さまざまで、恩を忘れ、利己ばかり思い定めて
この世を利のままに生きようとしている人も、少なからずいらっしゃいます。

大抵そんな方は、入社のときは「お願いです。私を雇ってください」と頭を
下げてくるのですが、そんな謙虚? におだされて雇ってしまう「失敗」をすると
後からとんだことになります。

「自分は、妻子をかかえて大変ですから雇ってください」
「この人は他に行くところがないので雇ってあげてください」
「子供がいます。働かないと食べさせてあげることができません」

などと言われ、優しい心を社長さんが持ったからといって、そもそも
利己的にのみ生きている人には通じません、社長さんの心は斟酌しません。
これ、現実です。

ある会社では、「この人雇ってください」と薦められて、雇って1年。
同僚とけんかして有給休暇を全部使い切って退職。
その後は、お定まりの「未払い賃金請求」とやらのお手紙を出してきた人がいました。

手紙を出すということは、もう労基署へ行っていると思ってください。

社長さんが、その要求は認められませんなどとお手紙で返事をすると、
即刻、所轄労基署から「来署依頼書」が舞い込みます。

これ、お定まりのパターンです。

――「来署依頼書」。なんて、心臓に悪い表題でしょう。
しかも、具体的には何も書かれていず、「労働基準法の規定する措置の
履行状況確認のため」などと抽象的な表現で来署を命じてきます。
(労働基準法104条の2第2項)。

監督官は、労働者から労働基準法違反に関し「申告」があると、
その確認のため、使用者に報告・出頭命令を出すことができます。
それが、たとえ根も葉もない労働者の「言いがかり」であったとしても――。

初めての経験ですと、こんな来署依頼書などが来ると、ドキッとするでしょう。
「怖いので、社労士さんに代理をお願いしたい」とすぐに電話を
掛けてくる方もいらっしゃいます。
私などは、「可哀そうに」と、つい同情してしまうのですが……。

まあ、大抵、100%近く、「社労士さんに代理をお願いしたい」とか
「労基署と話し合って、何がいけないのか分かりませんが、兎に角解決していきたい」とか
社労士のところに飛び込んで来る社長さんは、誠意のある方とお見受けします。
問題を解決するために、誠心誠意、包み隠さず、努力されます。
うちに依頼される社長さんたちは、ほとんどがこのパターンですので、
問題もこじれることもなく、すーっと終焉に向かいます。

ところが、「来署依頼書」なるものを受け取って、頭にカーっと血が
のぼり、相手を恨んでみたりするような社長さんですと、どうでしょうか。
そういう方ですと、お金を払ってまで社労士に解決を依頼する発想は
ないかもしれません……。

いずれにしても、最近の人は老若男女問わず、自分が働いていた職場に
「勉強になった」「仕事を覚えられた」とか少しも肯定的にとらえず、
後ろ足で砂をかけて辞めていくようなことを繰り返している人が
増えたような気がします。

もちろん、砂をかけたくなるような会社もあるかもしれませんが、
見ているところ、ごく「普通」の会社にも、恩を仇で返すような発想の人が
増えたような気がします。

怪我の方もだいぶよくなり、長引いている風邪の方もなんとか終焉に
向かいそうです。そんな時、またしても「来署依頼書が来たんですけど……」
なんていう電話が鳴ると、身も心も業務復帰。

さてさて、もひとつ頑張ろうか、と思う今日この頃ではあります。

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◆正確に計算できていない残業代

2014年02月28日 10時16分24秒 | 労働基準
みなさんの「給与計算」を見ていると、本当に残業代の計算間違いが多いです。

「残業代」といえば、1日の労働時間が長くなったときにだけ払えばいいもの、
と誤認している人が多いのです。

もちろん、1日の労働時間が長くなったときに支払うのは当然ですが、
1週間の労働時間でも残業代が発生する場合があります。

この1週間単位でみる残業代が算定されていない「給与明細書」を見ると、正直、がっかりします。

給料を受け取った方はそうとは気付かず、
計算した方も間違いはないと思っているわけですから、
未払い残業代が蔓延、かつ蓄積してしまいます。残念です。

例えば、
月曜日~金曜日まで週5日勤務するアルバイトの人がいたとします。
1日の所定労働時間は8時間、時給は1,000円です。
この人が「ある週」において、土曜日にも出勤し、土曜日は8時間労働したとしましょう。
その週の各日において残業はなく、全部で6日、合計48時間労働したことになります。
この会社は、変形労働時間制を採っていないものとします。

よくある給与計算担当者の計算例
48時間×1,000=48,000円

どうです? 合っていますか?

これは違っているのです。

労働基準法は労働時間について次のように規定しています。

1週間の法定労働時間
「1週間について40(9人以下の商業、医療業等4業種は44)時間を超えて、
労働させてはならない」(労基法32条1項・40条1項、則25条の2第1項)

1日の法定労働時間
「1日について、8時間を超えて労働させてはならない」(労基法32条2項)

1日の労働時間が8時間を超えた場合は割増賃金の対象ですが、
1週間40(44)時間を超えて労働させて場合も割増賃金の対象となります。
ただし、1箇月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制を採っている場合は
この限りではありません。

上のケースの場合、正しい計算は次の通りとなります。

9人以下の商業、医療業等の4業種の場合(則25条の2第1項)
1、所定労働時間における労働した賃金 40時間×1,000円=40,000円
2、所定労働時間以外に労働した賃金(残業代) 100%残業=4時間×1,000円=4,000円
3、法定労働時間を超えて労働した賃金(残業代) 125%残業=4時間×1,000円×1.25=5,000円
4、1+2+3=49,000円

※ 所定労働日は月~金なので週所定労働時間は40時間。
※ 土曜日出勤の分は、44時間までは100%賃金、44時間超え48時間までが125%賃金
※ 土曜日に出勤していても日曜日が休みの場合は、週1日の法定休日が確保されて
いるため、法定休日労働割増賃金は発生しない(以下も同様)。


上記以外の事業場
1、所定労働時間における労働した賃金 40時間×1,000円=40,000円
2、法定労働時間を超えて労働した賃金(残業代) 8時間×1,000円×1.25=10,000円
3、1+2=50,000円

どうですか?
このように、1週間単位で見た時に残業代が発生する場合があります。

また、業種規模によって、法定労働時間が44時間というところもありますので、
必ずしも週40時間に限られるわけでもありません。
変形労働時間制を採っている場合も、計算の方法が違います。

給与計算と一口に言っても、労基法の一つひとつの条文をよく理解し、
実践に移していくことが、正しい給与計算をする王道なのです。

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◆年間休日数? あ、それ総務部長に聞いて。

2014年02月07日 10時36分23秒 | 労働基準
就活、転職応募者の気になる労働条件の中に「年間休日数」があります。

人生の大半を過ごすことになる応募先企業の「年間休日数」は、
賃金、勤務時間、業務内容、教育体制等の他に、気になるところです。

「年間休日数? あ、それ総務部長に聞いて。」
経営者の方は、概して「年間休日数」には淡白なところがあるように思われますが、
応募者は、重箱の隅々まで見て決めるでしょう。

1年単位の変形労働時間制を採っている企業の場合は、明確に「年間休日数」を
意識します。例えば、1日8時間勤務の場合、年間休日数は少なくとも105日
必要です(これで年間週平均所定労働時間は40時間になります)。

そこで、「自社の年間休日数は多いだろうか、少ないだろうか……。」

そんな経営者の方の疑問にお答えするには、判断の目安として「105日」を挙げます。

最低限105日ですから、労働条件で他社に差を付けて、
よりよい人材が欲しい場合には、それ以上の年間休日数を検討してみては――、
ということになります。

「年間休日数」の客観的なデータがあります。

昨年11月、厚生労働省が発表した平成25年「就業条件総合調査」によれば、
企業の実態は以下のようです(調査企業4,211社)。

規模      130日以上  120~129日  110~119日  100~109日  90~99日
1,000人以上    0.3      43.6       24.0       26.4      3.5
300~999人     0.8      35.1       22.3       31.6      4.6
100~299人     0.6      25.5       23.2       31.3      8.3
30~99人      1.1      19.6        17.1       32.5     10.7
                                         (単位%)
上の数字を見たところで、自社の年間休日数の「水準」がお分かりいただけたかと思います。
ちなみに、土日祝日完全休み、夏季休暇、年末年始休暇ありの場合は、年間130日以上の
休日数になります。

そして、「年間休日数」が分からなければ、給与計算もできない、というお話。

「年間休日数」が分からなければ、月給者の「割増賃金単価」「欠勤単価」も算出不可能です。

<計算例>
1日8時間 年間休日数105日 年間所定労働日数260日 月給300,000円の場合

・年間総労働時間 260日×8時間=2,080時間
・月平均所定労働日数=260日÷12月=21.6日
・月平均所定労働時間=2,080時間÷12月=173.3時間
・日給単価=300,000円÷21.6日≠13,889円
・時間給単価=300,000円÷173.3時間≠1,732円

このように、「年間休日数」が明確であるからこそ、「単価」が正しく計算ができるのです。

どうです?
意識していなかった年間休日数で、給与計算のすべてが決まる、なんて意識していました?

「年間休日数」を決めるって、結構、大事なことだったんですね。

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◆社内運動会参加は「休日労働」?

2014年01月27日 11時29分04秒 | 労働基準
冷凍食品農薬混入事件。報道されていることが事実とすれば、
従業員の内心の問題は、企業・総務部にとって見過ごされない重大な問題を
はらんでいるように思われます。
労働条件などの会社対する「不満」は自己または自己の属する集団の中で日々増幅し、
会社が思ってもみなかった方向性へと発展することもあるのだと、震撼の思いに至ります。

さて、今日のお話は、会社主催の運動会や慰安旅行が、最近息を吹き返してきたという
ことを耳にしますが、総務さんからよく質問を受ける点について、お話したいと思います。

会社主催の運動会を所定休日の日曜日に実施するのですが、この日は「休日労働」
になりますか? また、運動会中に怪我をした場合は「労災保険」は対象となりますか?

ご質問にお答えするには、会社主催の運動会などは、「労働時間」なのか?
という問題を明らかにしなければなりません。

労働時間」とは、使用者の指揮命令下にあって業務に従事することをいいます。
ですから、運動会などが使用者の指揮命令下におかれていて、従業員がその命令下で
自己の労働義務の処分を使用者にゆだねているかどうかで判断されるといってよいでしょう。

もし、そのような支配下であれば「労働時間」と判断され、運動会中の怪我は
労災保険の対象となってきます。

ところで、労災保険の方では、会社主催の運動会中に起きた怪我などの場合の判断基準として、
次のような通達が出ています。

「労働者が事業場内の運動競技会に出場中に被った災害については、
次のすべての条件を満たす場合に限り、業務上の災害として取り扱う。
1、当該運動競技会に労働者を出場させることが、事業の運営に社会通念上
必要と認められること。
2、当該運動競技会に出場することが、事業主より強制されていること。
出場を強制されているとは、次の要件を満たしていること。
ア、当該運動競技会が事業所属労働者の全員の参加により定期的に行われるものであること。
イ、当該運動協議会出場日は、通常の出勤と同様に扱われ、出場しない者については、
欠勤として取り扱われるものであること。

ただ、一口に運動会といっても、例えば、取引先の運動会に従業員を派遣したとか、
自社の運動会でも、会社命令で運動会実行委員になった者の大会準備行為中とか、
会社の命令ではなく、労働者の自主的な意思で運動会の準備行為をしていた場合など、
「労働時間」かどうかの判断に微妙な問題をはらんでいる部分もあります。

日曜日などの所定休日に社内運動会を実施する場合などは、
その日を労働日=労働時間とするのかしないのか、あらかじめ明確に決定しておかなければ
ならないことはいうまでもありませんし、実行委員の準備後始末行為や任意の
準備行為手伝い者などが出た場合などを想定して、社内ルールを定めておく
ことが求められます。運動会中の怪我は少なくないと思われるからです。

運動会当日を「労働日」とするのかしないのか、それは、運動会を開く会社の意図と
深くかかわってくることですので、とても大切な問題です。

当事務所でも、同じような質問をいただいた場合は、上記労災保険の通達をご紹介し、
前もって労働日とするのかしないのか等、きっちりと決めていただくよう、
お話するようにしています。

運動会や社内旅行などは、普段疎遠な他部署同士の思わぬ「交流」のきっかけとなったり、
結構、従業員さんの心のバランスにもいい影響を与えたりするかもしれません。
見直されていい行事だと思います。

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◆「若者の使い捨てが疑われる企業」から学ぶ

2013年12月25日 11時56分08秒 | 労働基準
12月17日、厚生労働省は、「若者の使い捨てが疑われる企業等への重点監督の実施状況」
を発表しました。

「若者の使い捨てが疑われる企業」(いわゆる「ブラック企業」)と言いましても、
およそ「自社には関係ない」と思われる企業様が多いとは思いますが、
発表内容は、参考になるところもありますので、ご紹介してみたいと思います。

●重点監督指導の実施時期   平成25年9月
●重点監督指導の実施事業場  5,111事業場

●何らかの違反があった事業場 4,189事業場(全体の82%)
労働基準法又は労働安全衛生法違反で、労基署より「是正勧告」が出た事業場は
下記の通り。

1、違法な時間外労働があったもの 2,241事業場(43.8%)
2、賃金不払い残業があったもの  1,221事業場(23.9%)
3、過重労働による健康障害防止措置が実施されていなかったもの 71事業場(1.4%)

「違法な時間労働があったもの」とは、時間外労働・休日労働の届出(36協定届)未提出の事業場のこと、
「過重労働による健康防止措置が実施されていなかったもの」とは、月100時間を超える残業を
させていたのに、法令に基づく「医師による面接指導」等を実施していなかった事業場のことです。

ここで、自社の場合を振り返ってみてください。
1、36協定届をきちんと労基署に出していますか?
2、適正な時間管理のもとに、割増賃金をちゃんと払っていますか?
3、時間外労働が月100時間を超える労働者がいた場合に、その方に疲労の蓄積が見られた場合、
医師による面接指導の希望を聴き、希望者には医師による面接指導を実施しましたか?

上の3点の中に違反事項がなければ、貴社は立派な「若者応援企業」!?
ひとつでも違反事項があれば、貴社も立派な「ブラック企業」予備軍?
なんて、心配してしまいますね。

ところで、発表された内容で興味深いものがありましたので、以下ご紹介しましょう。

●1か月の時間外労働が最長の者の実績
1、80時間超    1,230事業場(24.1%)
2、うち100時間超  730事業場(14.3%)

けっこう、長時間労働しているんですね。
80時間超えですと「過重労働」として、うつ病の発症、脳・心疾患の発症の確率も高くなり、
労災「業務上」認定基準等に強い影響を与えてきます。
実際、過重労働が放置され、うつ病にり患等して「自殺」した、なんていう場合は、
「業務上」と認定される可能性が大きいです。自殺などの場合は、安全配慮義務違反等が問われ、
ある日、遺族から膨大な損害賠償請求が……、傍目に見ていてもそら恐ろしくなる数字です。

ぜひ、他人事と思わず、月80時間を超える時間外労働・休日労働をさせていないか、
チェックしてみたいですね。

●違反・問題等の主な事例
1、長時間労働等により精神障害を発症したとして労災請求あった事業場で、
その後も、月80時間を超える時間外労働が認められた事例

2、社員の7割に及ぶ「係長職」以上の者を「管理監督者」として、割増賃金を
支払っていなかった事例

3、営業成績により基本給を減額していた事例

4、労働時間が適正に把握できておらず、算入すべき手当を除外して割増賃金を
低く設定していた事例

5、割増賃金が定額で支払われていたが、把握した労働時間と付け合せを行って
あらず、支払額に不足が生じていた事例

などなど、面白い?事例も挙げられています。

労働基準監督署の臨検にあたった場合、労基法・安衛法の違反事項がないかが見られます。
何の問題もなかった事業場は、結構少ないです。こと「経営」で突っ走っている間は
なかなか労務管理の細かなところまでは目が行き届かない…のが現状ではないでしょうか。

いわゆる「ブラック企業」問題も参考になる点もありますので、反面教師として
自社の労務管理に生かしてみてはいかがでしょうか。

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