大澤朝子の社労士事務所便り

山登りと江戸芸能を愛する女性社労士が、
労使トラブル、人事・労務問題の現場を本音で語ります。

◆4月、大宮職安の殺到が来る・・・

2013年03月31日 23時58分03秒 | 雇用保険
社会保険労務士の大澤朝子です。

毎年、新入社員、年度末退社の人の手続が多い4月は、
各地の職安はどこも大変な混雑になる。

弊事務所から車で20分ほどにある大宮職安は、埼玉県内でも
その混雑度はトップクラス。
上場企業の本社機能がここ大宮管内に集中し、事業所の数が
県庁所在地たる浦和職安を大きく上回っているためだ。

4月はゴールデンウィーク頃まで2時間、3時間待ちもザラ、
という混雑状況になり、社労士事務所の業務にも支障を
きたすことにもなる。

ある年の4月1日。朝8時30分オープンの大宮職安に、
8時50分頃着いたら、もう十何番目であった。
先に来ていた同業者に聞くと、「8時30分前から玄関で並んで
いた」と聞かされ、「甘かった」と後悔したことしきり。

それでも、入社時の資格取得は、本人の履歴書を見せて、
前の会社での雇用保険番号が、その前の会社の雇用保険番号
とちゃんとつながっているかどうかなど、しっかり見てもらう
ため、弊事務所は、本人の書類を必ず一式持参する。
(注:社労士事務所の顧客は中小企業が多いから、
中途採用、転職組の入社手続きが多い。)
本当は、社労士事務所は、労働者名簿など添付書類は省略され
ているのだが、それは絶対しない。

確率の問題だが、雇用保険番号がつながっていない人の割合は
結構多い。番号がつながっていないと、本人の不利になることも
あるので、弊事務所は、必ず、職安職員に確認してもらい、
番号が2つも3つも持っているような人は、一つに統合して
もらうので、どうしても窓口まで持参することになる。
電子申請でやればいいのに、という意見の人もあろうが、
仕事に一寸のミスも許されないお客様商売。
そんな「手抜き」は一切しない、事務所方針だ。

話しが横道に逸れたが、そんなこんなで、4月は恐ろしいほど
業務多忙になる。
やっと息つくことができるのが、丁度ゴールデンウィーク頃なので、
ここでしっかり息を抜いておく。そうしないと、6月、7月と続く、
更なる業務多忙の山場を乗り切れない、と、そんなことを
「口実」に、5月連休はちょっと小旅行にでも…となってしまう。

さあ、4月1日。
あれもこれもやるべき仕事はたくさんあるが、新しい人生の
出発をする若い人達もいることだし、その門出を汚さないよう、
しっかりと社労士事務所の本分をまっとうしたい。

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◆契約変更なった時の年次有給休暇の付与日数の変更日はいつ?

2013年03月27日 23時58分24秒 | 労働基準
社会保険労務士の大澤朝子です。

世の中、面白いもので、法律に書いてないことで実生活で
判断しなければならないことが結構あります。
特に、労働基準法は、ざっくりとしか決められていないので、
現実社会で起こったことは、その都度役所にお伺いをたてる、
などということになってしまいます。
その回答の体系化されたものが「通達」というわけですが、
これは法律ではないので、強制力にやや問題があるという解釈も
あります。

しかし、それはそれとて、実際には多くが通達による
判断基準で動いている世の中。致し方ありません。
また、その「通達」さえ出ていないイレギュラーな事例も起こります。
例えば、

企業様からの質問で一番多いのが、
「勤務時間や勤務日数が減ったのに、これまで通りの
年次有給休暇の日数を付与しないといけないのでしょうか?」
というもの。

次に多いのが、
「入社して半年経って年次有給休暇が10日発生した人が、
その1か月後に退職するので、残りの1か月間に10日の
有給休暇をください、と言われました。全部与えないと
いけないのでしょうか?」
のような事例。

前者の回答の参考には「通達」を使います。
曰く、年次有給休暇の付与期間の1年間の途中で勤務日数が
減ったなどの場合は、
「年度の途中で所定労働日数が変更された場合、年休は基準日
(付与日)において発生するので、初めの日数のまま」でよい
とされています(昭61.3.14基発150)。

つまり、契約上の勤務時間が減って大幅に年次有給休暇の付与
日数が減ることになった場合でも、次の基準日まではそのまま
の付与日数でよく、契約変更後の最初の「基準日」において
ようやく、減じられた所定労働日数に応じた年次有給休暇を
付与すればいいことになります。
と、こちらは、簡単に回答できる。

次の、有給付与日数もらった、でも辞めるからすぐ有給全部
ください、という虫のいいお話の方。
最初、この種の質問をある会社さんから訊かれたときは、
「まるで漫画本でも読んでるくらい」びっくらしたのですが、
本気でそんな無責任なことを今の若い人は言ってくるのだと、
情けないやら、イヤ、可笑しくなりました。

はい。要件に該当するすべての労働者には、年次有給休暇を
請求する権利があります。付与日数をいつ、どのように消化
しなければならないという制限もありません。
ですから、「入社し10月1日で半年経ちました。10月1日から
10日間の年次有給休暇を取ります」でもなんら労基法上の問題は
ありません。民法上の雇用契約に基づく労務提供義務及び
労働契約法上の信義誠実義務に反しないか、程度の問題はあると思いますが。

労基法上の制限があるとしたら、使用者側の「時季変更権」くらいの
もので、要するに、業務多忙を理由に他の日に年休取得を変えて
ください、と「言える」だけの効果しかないのです。

こんな漫画みたいな要求に対しては「通達」は出ていません。
出ていないのですが、判例がいくつかあります。
そこで、判例の趣旨を要約すれば、14日間は労働者側に労務を
提供する義務があるが、その他については、労使よく話し合って
決めるのがいいでしょう。労働者の方も、年次有給休暇は
「リフレッシュするためのもの」という制度の趣旨をよくくんで
くださいね。というような判旨。

ですから、企業様からこのような質問を受けた場合には、
以上のような趣旨のお話をしています。
相手様も、なんか、煮え切らない、納得しかねるような心持で
聞いているようですが……。

人間社会。勝手気儘にいろいろな思惑がひしめいているので、
優等生の法令も、思わぬ案件に驚いていることでしょう。


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◆お気に入りは「のぼうの城」

2013年03月25日 00時06分25秒 | 近況
社会保険労務士の大澤朝子です。

日曜日は忙しい。
平日のうっぷん? を晴らすために、必ず出かける。
里山だったり、城跡だったり、大公園だったり、知らない街を
歩き回る。そして、昼は大抵、見知らぬ土地の定食屋さんか何かで
適当に注文して、個人店主の腕前を食したりする。

場所は、地元・埼玉県、栃木県、茨城県、東京都あたりに
なるが、初めての土地から何度も通う土地までいろいろだ。

本日は、何度も行っている「のぼうの城」は埼玉県行田・忍城になった。

知らない方のために解説すれば、戦国時代、忍城の城主・
成田氏は小田原北条氏方で、秀吉の小田原城攻めのときに
石田三成軍に包囲されて果敢に戦って降伏した。
石田軍の水攻めに屈しなかったことは、昨年映画に上映されて
ご覧になった方もおられるだろう。

20年前に埼玉に引っ越してきたときに、まずは「忍城」を見て
みなきゃとばかりに訪れたが、その頃はまったくの閑古鳥。
……誰もいない。
世間から忘れられつつも、一生懸命、行田市が城址を整備し、
付近は水の公園となって人々の憩の場とはなっていた。

しかし、この戦いを著した小説「のぼうの城」がベストセラー
となり、映画化されるに及んで、2~3年前くらいから俄然賑わってきた。

日曜日などは、城址の駐車場は満車。
成田氏側の「軍師」や「足軽」(“おもてなし甲冑隊”という)が
観光客を出迎えてくれる。
お陰で、誰もいなかった城址にはたくさんの人が訪れるようになった。

今日行って更に感心したのは、城址の庭で、軍師や足軽のパフォーマンス
があるのだが、それを観終わって客が散会すると、すぐさま地元の
シンガー・ソング・ライターによる「ライブ」が始まった。
行田の名物「ゼリーフライ」の歌まで歌って、いやでも観光客は
盛り上がる。
観光客を帰らせない、楽しいのでまた来てしまう、という戦法だ。

本日は丁度、桜の花も見ごろ。
忍城の三層櫓が白く天に突き建ち、曇り空ながら、松と桜
が絶妙な調和を見せて飾っている様は、流石は難攻不落と謳われた
名城と、いつもながら何度も振り返った。

石田三成軍が本陣を置いた「さきたま古墳群」の丸墓山に登ると、
満開の桜の間から手に取るように行田市街が見渡せる。

お気に入りの場所、埼玉県行田市・忍城周辺。
お勧めしたい小さな観光地だ。


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◆東北新幹線“スーパーこまち”登場で不便になるなんて・・・

2013年03月21日 23時21分22秒 | 近況
社会保険労務士の大澤朝子です。

郷里の秋田には先祖・両親が眠るお墓しかなく、檀家寺とその周辺
しか「郷里」といえるものがない者にとって、法事とお盆は、
ビジネスホテルと東北新幹線「こまち」しか頼るものもなし……。

秋田市での常宿は、「イーホテル」で、ここはお風呂もあるし、
朝食はたっぷり「秋田こまち」が食べられるし、そして「安い」し
言うことはないのですが、このたびの東北新幹線にお目見えの
「スーパーこまち」は、ただ座るだけで通常料金の片道1,700円増しと
「びゅう」の窓口で言われて、唖然。

そうです。要するにその「スーパーこまち」に乗らず、
通常の「こまち」に乗ればいいわけですが、
あいにく、秋田到着以後に乗る本数少ない在来線に乗るためには、
どうしても「大宮発」午前7時22分の「こまち」に乗りたいという
不文律? があるため、それもできない、したくない。

ところが、そのお目当ての7時22分発が、「スーパーこまち」
になってしまった! とは、想像だにしていませんでした。

旅行か何か楽しい「旅」なら、「スーパーこまち」もいいのでしょうが、
こっちは行事といいますか、毎年のように行かなければならない
義務・責務で乗る客ですから、新しい、豪華な列車は不要。
ただ、こちらの希望する定刻に秋田駅にすべりこんでくれれば
いいだけの客なのです。
それなのに、余計なことをJRがしてしまって……。

もっとも、震災の影響で、観光客が減ったのは秋田も同じらしく、
以前に「震災前の44%」という数字を聞いたことがあります。
秋田に観光客を呼び戻したい人にとっては豪華列車もひとつ牽引
になってくれればと、願うすじもあるでしょう。

仕様がないかとあきらめて、ただの「こまち」で節約し、
本数少ない在来線に、飛び乗ることに徹すれば、
これまでの乗り換え時間たっぷりの、楽しい時間を犠牲にして
現実を受け入れていきましょう。

なんだ、そんなことか。人間の欲なんて飽くなきもので、
あれを満たせば、こちらが満たされず、
小さなことに目くじらでもあるまいに。気軽にいきましょ、
気軽にと、思ったことではありました。


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◆元顧客の訃報と老齢厚生年金「死亡届」の提出

2013年03月20日 00時00分34秒 | 顧客のこと
社会保険労務士の大澤朝子です。

人の縁というものは広がり、枝葉のように続いていく。
先週、元顧客の方の訃報が届きました。
十数年前までのお客様です。
現在は、その方の次の方が社長を務められていて、今でも
顧問先になってくださっています。

そして、現在の社長さんの奥様は、よく私に様々なご相談
をしてくださったり、親くお付き合いをさせていただいて
おりました。思い出すのも悲しいのですが、その奥様は
数年前に長患いの後で若くして逝ってしまわれたのです。

今回、報せを聞いて思い出しました。
前の社長さんの老齢厚生年金の裁定請求を私がさせて
いただいたことを。
急いで年金ファイルを開くと、平成7年7月に提出しておりました。

前の社長さんには大変お世話になりました。
開業後間もない時期に顧問先になってくださり、
社会保険の新規適用や労働保険事務組合へのご加入等、
いろいろとお仕事を戴き、たくさん報酬も戴きました。
有難いことです。

そして、今回は、その方の「死亡届」の提出です。

人の一生の中で、老齢年金の請求をし、そしてその終焉にあたり、
最後は死亡届で締めくくる。
これは、お世話になった方への最後のお礼として、
(無報酬で)出して差し上げなければ、と思いました。

娘さんにそのことを申し上げると、快く、「お願いします」とのこと。
これで、元顧客に最後の御礼をさせていただくことができます。

祭壇にお線香を供えると、十数年前の笑顔のままのお顔が
そのまま思い出されて、声を出して「お世話になりました」
と申し上げました。


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◆一般競争入札で差がつく障害者就業促進企業(障害者優先調達推進法)

2013年03月15日 18時54分41秒 | 雇用促進税等
社会保険労務士の大澤朝子です。

平成25年4月1日は法改正が相次いでいますので、
気を引き締めてしっかり付いて行きたいものです。

弊事務所では、建設業のお客様で一般競争入札で仕事を受注
しているお客様がいらっしゃいます。
そこで、つい見逃してしまいがちな、平成24年6月20日に成立した
「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の
推進等に関する法律」(障害者優先調達推進法)のことを
把握しておかなければと思います。

厚生労働省のHPを見ると、政令も省令も出揃っているのですね。
条文、通達、概要パンフなどを参考にまとめてみました。

この法律も施行日は平成25年4月1日。
余談ですが、障害者法定雇用率の引き上げも同日。民間企業は
1.8%から2.0%になります。

さて、制定の目的は、障害者就労施設で就労する障害者や在宅で
就業する障害者の自立を進めるため、国、地方公共団体、独立
行政法人などの公的機関が、物品やサービスを調達する際、
障害者就労施設等から優先的・積極的に購入を推進する
ために制定されたとされています。

1、各省庁・独法の義務
各省庁、独立行政法人等は、毎年度、障害者就労施設等から
物品等の調達方針を作成し、年度終了後、その実績を
公表しなければなりません。

2、地方公共団体・地方独法の義務
地方公共団体、地方独立行政法人は、毎年度、障害者就労
施設等から物品等の調達方針を作成し、年度終了後、その実績を
公表しなければなりません。

3、国・独法・地方公共団体・地方独法の努力義務
国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人は、
公契約について、競争参加資格を定めるに当たって
・障害者法定雇用率を満たしていること、又は、
・障害者就労施設等から相当程度の物品等を調達していること
に配慮するなど、障害者就業促進のために必要な措置を
講ずるよう努めなければなりません。

具体的には、国、地方公共団体、独立行政法人等は、
以下の施設等から優先的に物品・サービスを購入する
努力義務が課されます。

・障害者福祉サービス事業所等
・障害者を多数雇用している企業
 (障害者雇用促進法の特例子会社、重度障害者多数雇用事業所など)
・在宅就業障害者等

弊事務所の建設業のお客様の中には、経営審の評価点数を
上げるため、あらゆる努力をしている方がいらっしゃいます。

例えば、
・育児休業等両立支援制度の法定超え
・一般事業主行動計画の策定(策定義務のない人数規模でも)
・障害者雇用率の法定超え
云々。

このたびの法改正では、今まで通り障害者法定雇用率を
満たすだけではなく、物品等の調達も可能な限り行う
方向で検討すべきことは明らかで、今後、経営審の中身が
どのように変化するのか、平成25年度も目が離せないと思われます。

それにしても、平成25年4月1日施行の改正が多いですね。
4月から助成金の大幅な廃止・再編などがあるようですし、
新年度も目が離せない、緊張の年になりそうです。

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◆ホームページを大改装中。出来るかどうか心配ですが。

2013年03月13日 23時23分17秒 | 近況
社会保険労務士の大澤朝子です。

今、弊事務所のHPを作り直しています。
今のHPは、デザイン3代目なのですが、3代目の時に
初めてHPデザイナーさんにお願いしましたが、
今度の大改装では、どの業者さんにお願いしようかと
安い業者さんに目移りしたりしましたが、結局、今の
HPを作ってくれた小規模事業所専門のデザイナーさんに
作ってもらうこととしました。

理由は、意味もなく「業者を変えない」という事業方針に
少しばかり「心酔」しているからで、
例えば、伊那食品工業の経営方針にもそれは出てきますし、
吉本隆明は、床屋もケーキ屋も40年間変えなかったという
のを読んだりして、長いお付き合いをする業者さんは、
けっく、いろいろと便宜を図ってくれるという利点が
あるものだと思い返したためです。

業者さんはともかく、中身の文章は自分で考えなければならず、
そんな暇は、3月くらいしかなく、あと何日もないのに、
半分もできていない現状に焦り気味なのではありますが。

今回は、検索エンジン用に置いていた「パンくずリスト」や
「リンク」は廃止し、集客1点に絞ったものに大幅に作り
直すつもりです。リンクは大事なのですが、一部だけ残して
検索エンジン対策に何の効果もないものはやめにします。

今のHP業者さんには何でもお願いできますし、とことん
付き合ってくださる方なので、さして高くない料金なのに
しっかり甘えようと思っています。

HPのことなどすっかり忘れ去って何年も経ち、今全国の
士業の方々のを見れば、今、何が求められているのか、
遅ればせながら、時代の趨勢にようやく気付いたという
浦島太郎ですが、まあ、気づいたという点では、よかった
というほかありません。

週末に、池袋までHP用にプロフィール写真を撮りに行くのですが、
祈るは、どうかプロの腕で本人とは似ても似つかぬ「美人」に
撮っていただける夢を、そればかり願っています。
ちなみに、このブログの写真は、自宅のデジカメで撮ったもので、
何にも考えずに家人に撮ってもらったものです。

はてさて、どんなHPになるのやら。

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◆もう一度観たい高遠城の桜

2013年03月10日 01時16分17秒 | 近頃思うこと
社会保険労務士の大澤朝子です。

事務所のある旧大宮市では、ようやく梅が満開となっています。
ふくよかな梅の香が漂う市民公園が近いので、昼休みに観に
行ったりしています。
この地では、梅→ハクモクレン→桜と決まった順番で開花してくれるので、
これから1か月間は、花の咲くのが頼もしく、目の疲れを癒してくれます。
極めつけは桜で、盆栽町、大宮氷川神社周辺で満開となると
仕事で車を走らせるのも楽しみになってきます。

桜といえば、名所旧跡いろいろあれど、3年前に行った
伊那・高遠城は、特に強く印象に残っています。

高遠城は、戦国時代、武田方の最後の砦として、織田軍5万の兵に対し
わずか3000で立ち向かって全滅した城で有名ですが、
(以後武田方は滅亡へと向かう。)
その後も江戸時代は普通に幕藩体制の中にあって、
廃藩置県まで城は存続したようで、
桜は、明治8年に旧藩士の方々が高遠城の馬場にあった桜を移植して
育て、今のような桜の名所になったのだそうです。

高遠城の桜は「タカトウコヒガンザクラ」というそうで、
ソメイヨシノよりもややピンクがかった色が、武田方3000の
血の色のようだと言われてみれば、確かにそのようにも思えてもきます。

東京・八王子城は今ではハイキングコースとなっていますが、
ここは、小田原北条氏の支城で、秀吉軍の小田原攻めの折、わずか1日で
全滅した山で、例えば夏場などにこの山に登ると、
なんとはなしにここだけ異常に蒸し暑く、イヤな雰囲気を感じた
時がありましたが、それもその筈、1日で全山死体の山になった
とは、後で知りました。

高遠城は平山城で、城から降りて一旦街に出、市街地から
もう一度反対側に登りかえして小高い地に登ると(由緒ある神社、寺院
がある)、目の前に広がる全山桃色の山が、そんな悲劇を思わせないくらい
穏やかに華やいで見え、いつまでも飽きないで眺めたことです。

当日は、信州そばをいただき、武田勝頼母墓なども見学し、
(高遠城は武田方の領地になるまでは諏訪氏の城。勝頼母は諏訪氏。)
桜茶やまんじゅうなど、町の方々の温かい接待まで受けて帰途につきました。

町には、携帯を見ながら自転車に乗っているような人は一人もおらず、
桜の時期だけ臨時駐車場となる高遠中学校のグラウンドでは、
先生・生徒が総出で観光客をもてなしてくれました。
その清々しい態度のこと。
中央自動車道から高遠に向かって延々と車を走らせてきた苦労? が
報われた思いです。

大袈裟に言えば、まるで織田軍に果敢に戦って散っていった人々の
気概が今日までも引き継がれているのではないかと思わせるような。
……こんな素朴で清冽な町が今の日本にあったのかと、
こちらもなんとなく心が洗われるような気がしたものです。

開花の時期は4月中旬だそうですが、もう一度行きたい桜の名所
といえば、真っ先に高遠城を挙げたいと思います。

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◆迷走する通達と労災保険か健康保険かの判断

2013年03月07日 10時21分35秒 | 労災保険
社会保険労務士の大澤朝子です。

法律と法律の狭間に置かれた人は、法律では救えない。
その時代時代の世論や政策の傾向によって、
あたかも波間に漂う浮遊物のように、行先ままならずに
漂っている……。

業務外の傷病が対象の健康保険、業務上の傷病が対象の労災保険。
これが本日のテーマです。

その傷病が業務上であるか業務外であるかは、
病院の窓口に簡単に保険証を出せるかどうかに係ることですので、
当事者にとっては大事な問題です。
業務上か業務外かで受けられる保険給付は、次のように
違っています。

・業務外の傷病(私傷病)は、健康保険
・業務上の傷病は、労災保険

これは、健康保険法及び労災保険法に規定されている事項
ですので、取扱いを曲げることはできません。
従って、例えば業務上の傷病なのに健康保険から給付を受ける、
ということはできません。その逆もしかり。

ところが、ここに問題が一つあります。
「経営者」は労働者ではないので、たとえ業務上の傷病
であっても労災保険から給付を受けることができません。
労災保険は法律上「労働者」を保護する為の制度だからです。

すると、業務上で怪我をした「経営者」は、病院で治療を
受けるときは労災保険では受けられない、健康保険でも
受けられない、ということになります。

「経営者」といっても個人事業主から大企業のトップまで
その態様はいろいろです。一般労働者とさして変わらない
ような中小企業の役員までにも一律に上記のように法の縛りを
受けることは問題があります。そのため、色々な経緯を経て、
昭和40年、労災保険に「特別加入」制度ができ、1人親方や
中小企業の役員等が任意で、労災保険に加入できるようになりました。
(「特別加入制度」)

前置きが長くなってきましたが、昨年問題になった
シルバー人材センターで仕事に従事していた方が、業務上の
怪我を負ったため、健康保険から治療の保険給付を受けようと
したところ(娘さんの健康保険の扶養であった)、健康保険
の給付を拒否され、一方、シルバー人材センターの
「業務委託者」は「労働者」ではないからと労災保険
からも給付を拒否された事例について、特別に配慮が
なされたことは皆さんもご存じのことと思います。

この健康保険か、労災保険か、は、昭和の昔からくすぶっている問題
で、これまでも数々の通達が出てきました。その中で
著名なものを上げてみましょう。
(言葉はお役所言葉ですので、分かりやすく訳しています。)

1、昭和30年6月9日 基発359号 労働省労働基準局長、厚生省保険局長から
都道府県労働基準局長・都道府県知事あて通ちょう

曰く、近年、労災保険からも健康保険からも補償を
受けることができない事例が見られるので、今後は、かかることの
ないよう特に慎重に健康保険と労災保険との間で調整し合いなさい。

(…つまり、どっちもダメというのではなく、両者で話し合って
どっちかの給付を受けられるようにしなさい、ということ。)

2、平成15年7月1日 厚生労働省保険局長、社会保険庁運営部長から地方
社会保険事務局長あて 保発0701001号 庁発0701001号

曰く、労災保険の「特別加入制度」に加入していなかった
ために、(健康保険からも)労災保険からも補償が受けられない
中小事業主については、今後は、以下のように取り扱いなさい。
すなわち、健康保険の被保険者5人未満の中小事業主等の場合は、
業務上の傷病であっても健康保険の療養給付(治療費)を受けられます。
しかし、健康保険の傷病手当金は除きます。

(昭和30年の通ちょうより後退。…どう見ても、迷走しているとしか思えない。
被保険者5人以上の中小事業主は、けっく、どっちも受けられない!)

極め付きは、次の通達。本当は、どっちなの?

3、平成24年11月5日 厚生労働省労働基準局労災補償部課長から都道府県
労働局総務部長、労働基準部長あて 基労管発1101第1号、基労補発1105第2号

曰く、近頃、シルバー人材センターの業務委託者が業務上の
傷病だからという理由で、健康保険からの給付(治療費)を
受けられないという事例があったが、慎重に検討した結果、
このケースについては、健康保険から給付(治療費)を受けられる
こととします。但し、今後とも、業務上の傷病のような場合は、
その労務提供の実態を慎重に見極め、労働者性の判断を適切に
行って、保険給付の決定を行ってください。

(…つまり、このケースに限り例外を認めるってこと? で、
他の場合については、原則通り、業務上の傷病は労災保険、
業務外の傷病は健康保険で、ってことですね。)

根本問題は先送りですね。
しかし、事業者用には「特別加入制度」があるのですから、
本来、任意加入できる方は加入した方がいいと、私は思います。
年間払いなのですが、たいした金額でもありませんし。
建設業の方は、恐らく大方特別加入されていると思います。

最後に、頭が混乱するような事を言いますと、
国民健康保険法では、この業務外・業務上という概念を
規定していませんので、市町村国保や国民健康保険組合
に加入の方は、業務上の傷病でも、療養の給付が受けられます。

どうです? ますます分かりにくくなったんじゃないですか?


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◆歌舞伎座柿葺落公演4月分、落選しました。

2013年03月06日 00時42分56秒 | 芝居、舞踊、落語、古典芸能
社会保険労務士の大澤朝子です。

昨日、歌舞伎座柿葺落公演4月分の落選結果が届きました。
普段でもほとんどチケット取れないのに、これほど騒がれて
いる公演なら、尚更取れないでしょうと覚悟はしていたのですが、
残念です。

今回の柿葺落公演は、昼夜2部制ではなく1日3部制。
それぞれ2幕しかないのに、1等席20,000円。
だいたい2時間くらいの公演なのに2万とは、流石に手が出ません。
庶民が買えるのはせいぜい3等席の5,6千円といったところで、
そんな席はすぐに売り切れてしまいます。

歌舞伎は松竹1社の寡占状態ですので、価格は人気と共に
跳ね上がり、1等席は庶民の高根の花か生涯の夢……。

私も30年以上前になりますが、一生に一度の親孝行? と思い、
歌舞伎座の2等席に両親を招待したことがありますが、
今は既に二人ともおりませんので、本当に一生に一度の
親孝行ということになりました。

さて、柿葺落公演。この分だと、やはり一幕見席に
朝から並ぶことになりそうです。
するとまた、休みの日に、歌舞伎座の前でコンビニの
おにぎり持って並ぶしかない、ということですね。

最近のお話しでは、顧問先の社長さんのお孫さんが
子役のオーデションに受かり、「寺子屋」の小太郎役に
出ることになったことがあります。
なのにチケットが取れなくて、結局、私が一幕見席に並んで、
記念にプログラムを購入する役を引き受けたことがありました。
何が顧問先さんのお役にたつか、分からないものですね。

学生の頃、菊五郎襲名に仲間と2昼夜前から交代で
並んだことがありますので、
並ぶのも結構「楽しい」行事なのかもしれません。

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◆ついに法案提出。国民共通番号制どこへ行く

2013年03月02日 21時14分38秒 | 国民共通番号制
社会保険労務士の大澤朝子です。

今朝(3月2日)起きて、日本経済新聞の一面を見て驚きました。
「共通番号 16年から」とあります。

住民票を元に国民一人ひとりに番号を付け、
社会保障給付と納税を国家が一元的に管理する、例の
民主党時代に一旦お蔵入りになった共通番号制…。

3月1日、関連法案を今国会に提出すると閣議決定されていました。
その名も「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の
利用等に関する法律」案。法案は成立する見込みとか。

急いで内閣府のHP見ると、概要、法案などが見て取れます。
個人番号で管理するものの中に以下のものがあります。
1、年金分野 資格取得等、給付を受けるとき
2、雇用保険 資格取得等、給付を受けるとき
3、労災保険 保険給付等を受けるとき

雇用保険番号も住民票の「個人番号」に変更ですか。
随分お金がかかりますね。億っていうお金がどこかの(入札した)
企業に入るのですね。羨ましいです。
雇用保険は、数年前に、全国システムを全面変更したばかりなのに。
あれは、確か「コストダウン」の掛け声によってでした。
それも無駄だったわけですか。

今度は、雇用保険の番号自体が変わるのですから、
被用者6000万人の雇用保険番号と個人番号を入れ替えるのですね。
もっともっとお金がかかりますね。

年金番号の突合もまだ終わっていません。
平成24年9月時点で、持ち主不明の「宙に浮いた」年金番号
は2,222万件あります。
当初、「宙に浮いた」年金番号は5,095万件でしたから、
突合できたのは、たったの半分強。

もし法案が通った場合、
今後、住民票の「個人番号」と「年金番号」を突合することに
なるのでしょうが、まず、2,222万件は、突合できません。
共通番号制をもって見捨てることになります。

「基礎年金番号」のときもそうでしたが、
番号統一を制度として無理矢理導入すると、必ずひずみが出ます。
いまだに尾を引きずっているのですから…。

会社にもそれ相応の事務処理上の負担が課されるでしょう。
「基礎年金番号」制度導入時には、会社は、全従業員の住所を
旧社会保険事務所に提出しなければなりませんでした。

今回も大きな事務負担がくるように思えます。

国は、会社をタダで使うことができます。
国が市町村に事務を委託する場合は、委託費用を支払いますが、
企業へ事務負担を強いる場合は、タダでできます。
「法律」があれば何でもできる、便利なものです。

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