みなさんの「給与計算」を見ていると、本当に残業代の計算間違いが多いです。
「残業代」といえば、1日の労働時間が長くなったときにだけ払えばいいもの、
と誤認している人が多いのです。
もちろん、1日の労働時間が長くなったときに支払うのは当然ですが、
1週間の労働時間でも残業代が発生する場合があります。
この1週間単位でみる残業代が算定されていない「給与明細書」を見ると、正直、がっかりします。
給料を受け取った方はそうとは気付かず、
計算した方も間違いはないと思っているわけですから、
未払い残業代が蔓延、かつ蓄積してしまいます。残念です。
例えば、
月曜日~金曜日まで週5日勤務するアルバイトの人がいたとします。
1日の所定労働時間は8時間、時給は1,000円です。
この人が「ある週」において、土曜日にも出勤し、土曜日は8時間労働したとしましょう。
その週の各日において残業はなく、全部で6日、合計48時間労働したことになります。
この会社は、変形労働時間制を採っていないものとします。
よくある給与計算担当者の計算例
48時間×1,000=48,000円
どうです? 合っていますか?
これは違っているのです。
労働基準法は労働時間について次のように規定しています。
●1週間の法定労働時間
「1週間について40(9人以下の商業、医療業等4業種は44)時間を超えて、
労働させてはならない」(労基法32条1項・40条1項、則25条の2第1項)
●1日の法定労働時間
「1日について、8時間を超えて労働させてはならない」(労基法32条2項)
1日の労働時間が8時間を超えた場合は割増賃金の対象ですが、
1週間40(44)時間を超えて労働させて場合も割増賃金の対象となります。
ただし、1箇月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制を採っている場合は
この限りではありません。
上のケースの場合、正しい計算は次の通りとなります。
9人以下の商業、医療業等の4業種の場合(則25条の2第1項)
1、所定労働時間における労働した賃金 40時間×1,000円=40,000円
2、所定労働時間以外に労働した賃金(残業代) 100%残業=4時間×1,000円=4,000円
3、法定労働時間を超えて労働した賃金(残業代) 125%残業=4時間×1,000円×1.25=5,000円
4、1+2+3=49,000円
※ 所定労働日は月~金なので週所定労働時間は40時間。
※ 土曜日出勤の分は、44時間までは100%賃金、44時間超え48時間までが125%賃金
※ 土曜日に出勤していても日曜日が休みの場合は、週1日の法定休日が確保されて
いるため、法定休日労働割増賃金は発生しない(以下も同様)。
上記以外の事業場
1、所定労働時間における労働した賃金 40時間×1,000円=40,000円
2、法定労働時間を超えて労働した賃金(残業代) 8時間×1,000円×1.25=10,000円
3、1+2=50,000円
どうですか?
このように、1週間単位で見た時に残業代が発生する場合があります。
また、業種規模によって、法定労働時間が44時間というところもありますので、
必ずしも週40時間に限られるわけでもありません。
変形労働時間制を採っている場合も、計算の方法が違います。
給与計算と一口に言っても、労基法の一つひとつの条文をよく理解し、
実践に移していくことが、正しい給与計算をする王道なのです。
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「残業代」といえば、1日の労働時間が長くなったときにだけ払えばいいもの、
と誤認している人が多いのです。
もちろん、1日の労働時間が長くなったときに支払うのは当然ですが、
1週間の労働時間でも残業代が発生する場合があります。
この1週間単位でみる残業代が算定されていない「給与明細書」を見ると、正直、がっかりします。
給料を受け取った方はそうとは気付かず、
計算した方も間違いはないと思っているわけですから、
未払い残業代が蔓延、かつ蓄積してしまいます。残念です。
例えば、
月曜日~金曜日まで週5日勤務するアルバイトの人がいたとします。
1日の所定労働時間は8時間、時給は1,000円です。
この人が「ある週」において、土曜日にも出勤し、土曜日は8時間労働したとしましょう。
その週の各日において残業はなく、全部で6日、合計48時間労働したことになります。
この会社は、変形労働時間制を採っていないものとします。
よくある給与計算担当者の計算例
48時間×1,000=48,000円
どうです? 合っていますか?
これは違っているのです。
労働基準法は労働時間について次のように規定しています。
●1週間の法定労働時間
「1週間について40(9人以下の商業、医療業等4業種は44)時間を超えて、
労働させてはならない」(労基法32条1項・40条1項、則25条の2第1項)
●1日の法定労働時間
「1日について、8時間を超えて労働させてはならない」(労基法32条2項)
1日の労働時間が8時間を超えた場合は割増賃金の対象ですが、
1週間40(44)時間を超えて労働させて場合も割増賃金の対象となります。
ただし、1箇月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制を採っている場合は
この限りではありません。
上のケースの場合、正しい計算は次の通りとなります。
9人以下の商業、医療業等の4業種の場合(則25条の2第1項)
1、所定労働時間における労働した賃金 40時間×1,000円=40,000円
2、所定労働時間以外に労働した賃金(残業代) 100%残業=4時間×1,000円=4,000円
3、法定労働時間を超えて労働した賃金(残業代) 125%残業=4時間×1,000円×1.25=5,000円
4、1+2+3=49,000円
※ 所定労働日は月~金なので週所定労働時間は40時間。
※ 土曜日出勤の分は、44時間までは100%賃金、44時間超え48時間までが125%賃金
※ 土曜日に出勤していても日曜日が休みの場合は、週1日の法定休日が確保されて
いるため、法定休日労働割増賃金は発生しない(以下も同様)。
上記以外の事業場
1、所定労働時間における労働した賃金 40時間×1,000円=40,000円
2、法定労働時間を超えて労働した賃金(残業代) 8時間×1,000円×1.25=10,000円
3、1+2=50,000円
どうですか?
このように、1週間単位で見た時に残業代が発生する場合があります。
また、業種規模によって、法定労働時間が44時間というところもありますので、
必ずしも週40時間に限られるわけでもありません。
変形労働時間制を採っている場合も、計算の方法が違います。
給与計算と一口に言っても、労基法の一つひとつの条文をよく理解し、
実践に移していくことが、正しい給与計算をする王道なのです。

