朝、小学校に行く私に母（今、私は「おふくろさん」と呼んでいます）が、「今日はお寿司だからね！」と送り出してくれました。当時の我が家は、オヤジさんの勤めていた会社が倒産し、独立して始めた事業も上手く行かず、非常に苦しい生活を強いられていたので、お寿司を食べるなんてことはまず有り得ないことなのでした。
放課後のフットベースもそこそこに、期待を胸に我が家に戻ると･･･
食卓の上には、おふくろさんが作った大量の「いなり寿司」が。
「なんだよ！こんなのお寿司じゃないよ！」そう言って私は、いなり寿司を食べようとしませんでした。
おふくろさんは、「ごめんね」と言って涙を流しました。忘れもしません。
まだまだガキだった私は、それでも食べようとせず、仕事から帰ってきたオヤジさんに「そんなに食いたくないなら食うな！」と一喝され、布団にもぐりこみました。
オヤジさんが寝た後、こっそり布団から出て、むさぼる様にいなり寿司を食べていると、おふくろさんが何も言わずに温かいお茶を出してくれました。
あれから３５年以上が経ち、私も父親になりました。
馬鹿と言われようが、何と言われようが･･･
頑張るしかないのです。
先月７５歳になったおふくろさん。最近、体調が思わしくありません。
今日の午前中に入院、月曜日に検査をすることになりました。
私を私だとわからなくても、おふくろさんは私の世界中でたった一人の母親です。
頑張るしかないのです。
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