わん太夫の迷路

気ままに人生を送りたいな~、との希望的観測と共に

茶人のまなざし「森川如春庵の世界」

2008年10月09日 13時10分39秒 | 美術散歩

茶人のまなざし「森川如春庵の世界」

10月4日(土)から始まった、頭書の展覧会に行ってきました。

空いているかと思いきや、初日ということもあり、結構な賑わいでした。


森川如春庵は愛知県出身の茶人です。

彼は16歳という若さで、本阿弥光悦の黒楽茶碗「時雨」(現 重要文化財)を入手するなど、

その審美眼は確かなものでした。

  
   本阿弥光悦:黒楽茶碗「時雨」(現 重要文化財)

    
  本阿弥光悦:赤楽茶碗 銘 「乙御前」

益田鈍翁は三井物産初代の社長で、文化人であり茶人でした。

彼は若い如春庵と親交を深めていきます。

鈍翁の晩年に佐竹本『三十六歌仙絵巻』が海外流出されそうになったとき、

鈍翁は買い手を求めましたが、当時としても破格の金額であり、

買い手が見つからない有様でした。

そこで、万止むを得ず、絵巻物を切断して売りたてることになりました。

そのとき如春庵は、巻頭の「柿本人麿」を引き当て注目されました。

対する、提唱者の鈍翁は、「蝉丸」でしたので非常に落胆したそうです。

そこで、三十六歌仙の「齋宮女御」を買われた方が交換を申し出られ、

鈍翁の所有となった次第です。

  
   佐竹本三十六歌仙切「齋宮女御」

ところでこの売り立てを行った場所が、益田鈍翁の茶室『応挙館』だったのです。

その応挙館の襖絵などの設えは、当然丸山応挙の手によるものですが、

現在は、東京国立博物館の庭園に移築されています。

中の襖などは取外され、模写が飾られています。

本物は、東博の所蔵館にありますが、是非見たいものですね。


ところでこの応挙館では、毎月茶席が催されていますが、

茶席のあとに、この佐竹本『三十六歌仙絵巻』の切断前の模写品が見れます。

そして切断される当時の解説もあります。

模写といっても切断前の長い、長~い巻物は感動ものです。

是非参加されてみては如何ですか ♪ d(⌒o⌒)b♪

   
    応挙館:東京国立博物館

   
    応挙館での茶席で佐竹本『三十六歌仙絵巻(模本)に見入る人たち

それから、本展のチラシには小さく書いてあるのですが、

何と、国宝 志野茶碗 銘『卯花墻』が展示されていました。

ほかの展示物の前は結構混雑しているのでしたが、

こちらは誰もいないので、遠めで見たとき、一瞬はっとしましたが・・・


こちらは、日本国内で焼かれた国宝茶碗2点のうちの1点だそうです。

気品の漂う中に、志野茶碗独特の暖かさが伝わってくる、名品中の名品です。

間近に見られるので、是非ご覧下さい。

  
   国宝 志野茶碗 銘『卯花墻』

三井美術館
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_01.html


応挙館
http://www.tnm.go.jp/jp/guide/map/garden.html