前から行こうと思いつつ、すっかり忘れていた美術展に行ってきました。
「牧島如鳩展 ~神と仏の場所~」と「上村淳之展-唳禽を描く」です。
牧島如鳩は山下りんに師事を受けたと聞いていたので、
聖母子 釧路ハリストス正教会 :山下りん
本展はイコンが沢山見られるだろうと期待していたのですが・・・・・
入り口から数点の展示は確かにそうでしたが、進むにつれて只ならぬ空気を察知してしまいました。
イコン
祈祷の天使
ロシア革命以後、ロシア正教会から資金援助が乏しくなり、日本的な主題をも取り入れたが・・・・
その取り入れ方が凄い。
日本人の宗教画家河野通勢にも似ているのだが、どことな~く山本芳翠にも通じるところがある。
河野通勢展より
浦島図:山本芳翠
結局の処、彼の頭の中で、キリスト教と仏教とが渾然一体となり、融合し爆発したのである。
作品を見てみると、「慈母観音」と言いながら、その実は「聖母子像」
絵の構図からすると人物の位置などは、西洋画伝統そのまま。
参考にラファエロやマザッチョのと比べていただきたい。
大公の聖母:ラファエッロ
聖母子:マザッチオ
観音様であるので、後背があり、宝冠を載せ、瓔珞を胸に懸けている。
薬師寺:聖観音立像をご覧下さい。
この絵の隣に展示されている「聖母子」ですが、こちらの方が「慈母観音」により近い感じがする。
何しろ幼子イエスが「蓮の花」を手に持っているのだから・・・・驚くしかありません。
更に驚きついでに、彼の真骨頂を2点
魚籃観音像
龍ヶ澤大辯財天像
でも面白かったのは、小名浜在住の彼が足利にいる旧友の井熊辰次郎の絵を完成させるのになんと8
年もかかっていること。
しかもその間何度も足利を訪れていること。
ここで勝手な推察をすれば、絵を描くことを口実に旧友宅を訪れて楽しい時間を持ったのだろう。
そんなことを考えながら見ていると、牧島如鳩と言う人間が身近に思えた。
参照 弐代目青い日記帳
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=1859#sequel
混沌としたぐちゃぐちゃ感が
たまりませんでした。
三鷹よい展覧会開催しますね。
ご本早速拝読させていただきました。
なんだか自分のことのように嬉しいですね
三鷹は先頃デュフィー展も行きましたよ。
家からは結構近いので楽です。
一点一点、そのカオスに驚き、また心に迫るような感銘を受ける展覧会でした。
>浦島図:山本芳翠
私も魚籃観音を見てこの作品を思い出しました。
意外とアイデアの原点はそこにあるのかもしれませんね。
彼の作品群は東西文化の交流点、
しかも、坩堝の中で煮えたぎったものが爆発した感じでした。
本当はイコンを見に行ったつもりだったのですが(笑)