3日午後5時半ごろ、東筑摩郡朝日村古見の東京電力新信濃変電所の社員が敷地内のコンデンサー(蓄電器)から出火したと119番通報した。松本広域消防局から化学消防車が出動したが高圧電流が流れていることなどから消火に手間取り、約3時間20分後に消し止めた。塩尻署によると、けが人はいない。東電松本電力所(松本市)や塩尻署が原因を調べている。同電力所によると出火したのは「主要変圧器」に接続しているコンデンサー1機(縦9メートル、横7・8メートル、高さ4・3メートル)。同変圧器は梓川などにある長野県内の揚水式ダムで発電した電気を首都圏方面に送るため電圧を調整する装置でコンデンサーは5機接続していた。出火時は稼働していた。出火直後は音を伴って、黒煙が立ち上った。
高圧電流が流れていた上、コンデンサー内部に絶縁用の油もあり電流をストップするなど消火の準備に時間がかかった。消し止めた後も、近くの装置からガスが発生した恐れがあり、消防が調査した。
この火災で同変電所の送電は停止した。同電力所は「4、5日が土日曜で電力需要が少なく、供給に影響ない見通し」としている。

朝日村古見の東京電力新信濃変電所には自社の変電設備の他に、電力各社の負担で運営する国内最大の周波数変換設備がある。日本の電気は、明治期に輸入された発電機によって本州中央を境に東50ヘルツ、西60ヘルツ(長野県を含む)と周波数が違ってしまい、やり取りができない。だがここはそれを可能にし、近代化の渦中で図らずもできた「壁」を越えられるよう、橋渡しの重責を果たす。
◇明治期の日本には多くの電力会社があり、それぞれが電力機器を輸入、結果的にアメリカ系の60ヘルツと欧州系の50ヘルツが混在したまま発展した。大正3(1914)年には50ヘルツへ、昭和20(1945)年には60ヘルツへの統一が図られたりしたが実現しなかった。代わって「壁」を解消する周波数変換設備が、これまで3カ所に設けられた。
最初は、スウェーデン製の設備を導入して40年に運転を始めた、電源開発という会社の佐久間周波数変換所(静岡県浜松市)。次が朝日村の設備だ。国内電力9社などでつくる中央電力協議会の計画に沿い、東京電力が主体になり、各社が費用を分担して建設した。運転開始は52年12月。国産技術の粋を集め、60ヘルツの電気は日立、50ヘルツの電気は東芝の装置を懸け橋にして、従来の3倍規模で電気の往来を可能にした。3番目は、平成に入ってできた中部電力東清水変電所内の設備(同県静岡市)。まだ全面稼働はしていないため、朝日村の設備が今も国内最大だ。
◇畑の真ん中に林立する金属の構造物が、遠くからでもよく見える。敷地は東京ドーム5個分相当の2・3ヘクタールと広大だ。いま稼働中の設備は同じ仕組みで大幅に小型化され、平成21年6月に運転を始めた“2代目”だが、ここでは、引退後も構内で存在感を発揮する“初代”を紹介する。
巨大な複数の機器からなり、変換用変圧器で交流を直流に変換しやすくした後、サイリスタバルブという機器などで周波数を変換する仕組みだ。心臓部は24機のサイリスタバルブで、1機80トンと大きく行儀の良い鋼鉄ロボット集団のように整然と並んでいる。交代用の2機とやり繰りして12年に1度、専用クレーン車で1機ずつ屋内の専用ドッグに運び、3週間かけて分解、整備した。引退の理由は老朽化と、建設から30年がたち、部品調達や、当時の技術に対応できる技師の確保が難しくなったためだという。
東京電力新信濃変電所の手塚紀義所長は入社後最初の配属先が都内の施設設計部署で、偶然にもこの設計に携わった。松本平出身だったこともあり建設中もたびたび足を運んだ。周辺は一面のブドウ畑だったこと、オイルショックの影響で資材が滞り工事が遅れたことなどを覚えている。「設計から携わったので全てが分かる変電所。そこにこの時期に赴任するとは何か縁を感じる」。初代の設備は6月から撤去が始まる。一部は記念として構内に残すが「寂しいでしょうね」と話していた。
周波数 家庭用の電気は交流で、電気のプラスとマイナスが1秒間に何10回も入れ替わる「形」。この入れ替わり回数が周波数(ヘルツ)で電気製品によっては一方の周波数でしか使えない。電力各社は需要に応じて相互に電気を融通してむだをなくし、緊急時にも応援可能な体勢をとるが、その前提が周波数変換設備だ。
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電力用コンデンサからの火災か...高圧6kVの力率改善用も人間の肝臓と同じコンデンサは物言わず、電気回路的には一番、ストレスがかかっている重要な機器でもある。今、余裕あっても事故あれば、そんなのは直ぐに吹っ飛ぶ...現実なのだ。

電力用コンデンサも系統維持にとっては、重要な機器である事が判る。素人は今、原発稼働していなくても電力は来ている足りるのではと??サシミのつま的な、どうでも良い自然エネルギー発電と異なり、発電する能力だけでは使い物にナラズ、天候など一切関係なく24時間、安定的に電力を発生するもので無ければならない...今回の事故も他に連鎖しなくて良かった様だ。