あべちゃんの写楽生活

撮ることが楽しいのか、楽しいから撮るのか

鈴木政吉さんじゃん

2016年02月15日 01時13分55秒 | 写真

 

今日、テレビで「名古屋のバイオリン王~鈴木政吉物語」

を放送していた。

日本で最初にバイオリンを製作・量産した人だ。

彼は誰かに師事したわけではなく、海外のバイオリンを見て

独学でつくったのだ。

そういう意味では、すごい人だ。

でも私のようなバイオリン弾きから言わせれば、鈴木バイオリン

は入門器なのだ。

なぜなら、価格が安いものから揃っているから。

しかし価格が安いからといってばかにしてはいけない。

この楽器が日本の弦楽器人口を支えていると言っても

過言ではない。

みんなこの楽器から始め、しだいにステップアップしていくのだ。

 

バイオリンと言えば?

そう、ストラディヴァリ。

でも、今回はその話はしません。

何でも名器ってあるでしょ。

ピアノならスタインウェイ、ギターならマーチン。

それと同じです。

ただ、値段の幅が広すぎるのと、いまだに

ストラディヴァリを超える楽器が出てきていないので

話題になるのです。

 

かく言う私の楽器は「MASAKICHI SUZUKI」なのです。

鈴木政吉ではありません、MASAKICHI SUZUKIです。

どこが違うのよ。

そう、思いますよね。

私も同じだと長い間思ってました。

しかもNo.2とあるので、「もしかして2号器?」と

色めき立ったものです。

しかし今はネットの時代。

ググればすぐわかりますよね。

結果、

「MASAKICHI SUZUKI」のラベルは大正末期あたりに、

工場で量産されたもの。

No.2とはグレードで、エントリーモデル。

だそうな。

かなり、がっかり。

まぁ、私のような者に名器が渡る理由がないんですけどね。

さらにがっかりが・・・

ヤフーオークションで1万円。

それでも、落札者なし。

 

楽器としてはけっこう古いので、いい音がしてくれれば

文句はないのだが、やはり量産品として制作されたものは、

古くなったからといって音が格段によくなる、という

ことはないそうだ。

それでも珍しいのか、よく弾かせて欲しいとは言われた。

私の先輩は私の楽器を弾いて、

「何とも独特な音がするね」

と言っていた。

昔は褒め言葉と思っていたが、今思えば

「これは、普通のバイオリンの音と違うぞ」

と言いたかったのかもしれない。

なぜなら、その先輩は音楽大学のバイオリン課に進学した、

正しい耳をもった人だったからだ。

 

教育機関というのは、予算の関係で弦楽器を

揃えるときには、鈴木バイオリンになってしまう。

そのうち、その音がデフォになってしまうのだ。

だから、個人所有の高価な楽器をひくと、

「うーん、これこれ、これだったバイオリンの音は」

と再発見してしまうのだ。

私の2年後輩に400万円のガダニーニを持っているヤツが

いたのだが、弾かせてもらったら、そりゃいい音色。

ヨーロッパの音色(笑)がするのだ。

それに軽い。

300年ちかく経っている楽器だから充分乾燥しているのだろう。

外国の演奏者が来日して、楽器の調子が悪くなるのは、

ほとんど湿気が原因なのだ。

日本の技術者は日本でも演奏できるように改良した、

そこはすばらしい。

しかし、音まで「和」になっちゃった。

なんとも皮肉。

 

テレビでは鈴木政吉さん本人が制作した楽器を演奏していた。

さすがに本人が作ったものはいい音するね。

今、鈴木バイオリンの最高級品「ヘリテージ」は

100万円だ。

けっこう強気の値段設定だ。

なぜなら、個人のちょっと有名なバイオリン作家の作品

が100万円くらいだからだ。

うーん、証明書付きの鈴木バイオリン「ヘリテージ」100万円と

無名の「オールド・バイオリン・クレモナ 1803年」100万円、

どっちを買う?

鈴木バイオリン・・・・ごめん。

 

おまけ

  

鈴木政吉氏本人が制作したものなら価値があるが、

残念ながら「MASAKICHI SUZUKI」ラベルのバイオリン

には骨董価値しかない。

しかも、骨董価値もほぼない。

当時としては優れたバイオリンだったかもしれないが、

技術的には今の鈴木バイオリンの方が数段優れている。

だから、鈴木バイオリンを買うなら今の楽器をお勧めします。

 

 

 

コメント
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