十勝岳 標高 2077m 上富良野岳 1893m 上ホロカメットク山 1920m 北海道
2006年7月5日(水)~7月6日(木) 5日晴れ 6日雨(下界は晴れ)
メンバー 山の神と私
コースタイム 7月5日 6:50十勝岳温泉駐車場7:10--8:02雪渓上部8:13--8:50 300階段上9:00--9:30上富良野岳9:36--10:06上ホロ避難小屋(テント設営&昼食)11:05--11:50十勝岳山頂12:15--13:18上ホロカメットク山13:30--13:50上ホロ避難小屋テント場
7月6日 上ホロ避難小屋テント場5:35--8:00十勝岳温泉駐車場
前日はトムラウシから下山。富良野市内に移動し、駅前のふらの観光協会で紹介してもらった民宿ふる郷荘に泊まる。1泊夕食付きで¥6,400。6:10その宿を出発する。ほぼ予定どおりの出発だが、天候があやしい。富良野市内はどんよりとした曇り空だった。とりあえず行って様子をみようと、十勝岳温泉駐車場を目指した。
車を走らせていて思い出したのは、美瑛のペンションビビで年配のオーナーから聞いた話。十勝岳は、そう遠からぬ昔噴火したことがあって、このペンションのあたりにも泥流が来たのだと教えてくれた。山に雪が着いていると、噴火とともにあっという間に融け、周囲の土砂もろともジェットコースターなみに斜面を駆け下っていくのだ。さっそく東京に帰って、その噴火の模様を描いている三浦綾子の『泥流地帯』を読んで、その恐ろしさを実感したのであった。
白樺街道を走っていくと、十勝岳方面は雲がとれている。だいじょうぶそうだと、そのまま十勝岳温泉の駐車場に車を入れた。意外についてるかも。と思ったのつかの間、昨日スプリング入りのストックをトムラウシの登山口に忘れてきたことが判明。軽いめまいにおそわれつつ、予備でもってきた安もののストックを使うことになった。駐車場に併設されている真新しいトイレに寄って7:10出発。
緑の道からすぐに無機質な岩と石ころの道になる。この山が火山であることを認識させてくれる道だ。 前方を見ると、かなり大勢の人が歩いている。多すぎだよと思っていると、分岐から富良野岳方面に曲がっていくのが見え、ホッと胸をなでおろす。富良野岳は花の百名山と謳っているから、十勝岳以上に人気があるのだ。
8:00すぎ雪渓を登高中にひと休みする。雪渓を越えるとかなりの急登になり、長い階段がはじまる。左手に奇岩、化物岩を見ながらいっきに上り再び休憩だ。まだまだつづく急坂にうんざりだが、稜線は近い。今度は八ツ手岩が現れる。この辺りで、バテて動けないように見えるおじさんが一人座っていた。見るからに消耗していてヘロヘロな様子。ここで終わり、あきらめて下山かなと思いながら横をすり抜けた。
上富良野岳山頂には、7:30到着。さっそく本日の記念撮影第一号。ほどなくして先ほどのヘロヘロおじさんが上ってきた。あれれ大丈夫なのか! 近くにいたおばちゃんに地図を忘れたと嘆いているのが聞こえてくる。そのおばちゃんは親切にも、古いのがあるからあげるわと地図を渡していた。漫画家の蛭子さんに体型、容貌ともに似ているこのおじさん(以下EBISUさん)は、満面に微笑みを浮かべ、感謝、感謝、雨あられの様子だった。
上富良野岳からは、目の前にある上ホロカメットク山を後回しにして、巻き道である上ホロ避難小屋へ下った。まずはテント設営が先だ。ほとんどの人が日帰りだから、小屋へ下っていく人は少数だ。上ホロに登って、十勝岳へ行き、望岳台へ下山というのがノーマルルートみたいだ。あれれ、でも、EBISUさんがついて来た。10:06避難小屋にたどりつくと、意外や意外、小屋の前で数名が休憩していた。
小屋の裏側に小さいテント場があった。明日は天候が崩れるという予報だから、今日泊まるのは、山の神と私だけかもしれない。テント場からは、見晴らしがよく、目の前にこれから登る十勝岳の雄姿を望める。その後、登る前に腹ごしらえと昼メシとなる。EBISUさんもいつの間にかここで昼食をとっていた。
おにぎりを食べているうちに、雲が空を覆いはじめた。急いで片付けて11:05十勝岳に向けて出発する。両サイドが切り立った、ちょっと恐ろしげな狭い岩稜帯を抜け、山頂直下の火山岩がごろごろする斜面に入っていく。と目の前にEBISUさんがのろのろと歩いていた。またもや追いついてしまい、追い越す。
十勝岳山頂には11:50到着。かなりガスが出てきて、視界をさえぎりはじめる。それでも眼下には望岳台への道が見えていて、山頂にいた年配のパーティは次々にその道をたどっていく。
山頂にEBISUさんが上がってきた。山の神と私の写真をとってもらい、私がEBISUさんの写真を撮ってあげると、会話の端緒ができた。EBISUさんいわく。いつもこんな調子なんだよ。登り始めは、皆と同じようなタイミングなんだけどね。下山はいつも最後。駐車場に戻ると、自分の車以外はないというのがフツーだねと。
12:15下山開始。来た道を引き返し、往路ではよく見なかった大砲岩が気になり振り返る。大砲岩から地図では三段山へ50分となっているが、本当にこの岩の峰々をたどって三段山まで行けるのか? 見るからに恐ろしげな岩が連なっていて、とてもルートがあるようには思えない。
がっつり登って13:18上ホロカメットク山山頂に着いた。意外に広い山頂で開放感抜群。見晴らしもいい。しかし誰もおらず、ひっそりしていた。13:30頃山頂をあとにし、40分ほどで避難小屋に下った。小屋の前のベンチには、老夫婦とEBISUさんがいた。老夫婦は十勝岳の山頂まではムリだからここから引き返すといい、EBISUさんとともに出発していった。去っていく背中を見送るが、上富良野岳への上りでEBISUさんはもう老夫婦から遅れ始まっていた。だいじょうぶなのか? またどこかで会いましょう。EBISUさん。
小屋前のベンチで山の神と私は、ビールとつまみでくつろいでいた。会話のタネはEBISUさん。登っていく姿が稜線の向こうに消えるまで眺めていた。一方われわれの知らぬ間に、テント設営をしていた年配のおじさんがいた。あとで話してみると、明日から天候が崩れる予報であることを知らなかったらしく、明朝早く出発して縦走のつもりだったようだ。かわいそうなことに天気予報にショックを受け、意気消沈していた。