目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

十勝岳・上ホロカメットク山

2011-08-03 | 山行~北海道

十勝岳 標高 2077m 上富良野岳 1893m 上ホロカメットク山 1920m 北海道

2006年7月5日(水)~7月6日(木) 5日晴れ 6日雨(下界は晴れ)

メンバー 山の神と私

コースタイム 7月5日 6:50十勝岳温泉駐車場7:10--8:02雪渓上部8:13--8:50 300階段上9:00--9:30上富良野岳9:36--10:06上ホロ避難小屋(テント設営&昼食)11:05--11:50十勝岳山頂12:15--13:18上ホロカメットク山13:30--13:50上ホロ避難小屋テント場
7月6日 上ホロ避難小屋テント場5:35--8:00十勝岳温泉駐車場

前日はトムラウシから下山。富良野市内に移動し、駅前のふらの観光協会で紹介してもらった民宿ふる郷荘に泊まる。1泊夕食付きで¥6,400。6:10その宿を出発する。ほぼ予定どおりの出発だが、天候があやしい。富良野市内はどんよりとした曇り空だった。とりあえず行って様子をみようと、十勝岳温泉駐車場を目指した。

車を走らせていて思い出したのは、美瑛のペンションビビで年配のオーナーから聞いた話。十勝岳は、そう遠からぬ昔噴火したことがあって、このペンションのあたりにも泥流が来たのだと教えてくれた。山に雪が着いていると、噴火とともにあっという間に融け、周囲の土砂もろともジェットコースターなみに斜面を駆け下っていくのだ。さっそく東京に帰って、その噴火の模様を描いている三浦綾子の『泥流地帯』を読んで、その恐ろしさを実感したのであった。

 

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左:晴天の中登り始める 右:火山ガスで植物はない

白樺街道を走っていくと、十勝岳方面は雲がとれている。だいじょうぶそうだと、そのまま十勝岳温泉の駐車場に車を入れた。意外についてるかも。と思ったのつかの間、昨日スプリング入りのストックをトムラウシの登山口に忘れてきたことが判明。軽いめまいにおそわれつつ、予備でもってきた安もののストックを使うことになった。駐車場に併設されている真新しいトイレに寄って7:10出発。

緑の道からすぐに無機質な岩と石ころの道になる。この山が火山であることを認識させてくれる道だ。 前方を見ると、かなり大勢の人が歩いている。多すぎだよと思っていると、分岐から富良野岳方面に曲がっていくのが見え、ホッと胸をなでおろす。富良野岳は花の百名山と謳っているから、十勝岳以上に人気があるのだ。

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左:ガレガレの道を登る山の神 右:上富良野岳山頂

8:00すぎ雪渓を登高中にひと休みする。雪渓を越えるとかなりの急登になり、長い階段がはじまる。左手に奇岩、化物岩を見ながらいっきに上り再び休憩だ。まだまだつづく急坂にうんざりだが、稜線は近い。今度は八ツ手岩が現れる。この辺りで、バテて動けないように見えるおじさんが一人座っていた。見るからに消耗していてヘロヘロな様子。ここで終わり、あきらめて下山かなと思いながら横をすり抜けた。

上富良野岳山頂には、7:30到着。さっそく本日の記念撮影第一号。ほどなくして先ほどのヘロヘロおじさんが上ってきた。あれれ大丈夫なのか! 近くにいたおばちゃんに地図を忘れたと嘆いているのが聞こえてくる。そのおばちゃんは親切にも、古いのがあるからあげるわと地図を渡していた。漫画家の蛭子さんに体型、容貌ともに似ているこのおじさん(以下EBISUさん)は、満面に微笑みを浮かべ、感謝、感謝、雨あられの様子だった。

上富良野岳からは、目の前にある上ホロカメットク山を後回しにして、巻き道である上ホロ避難小屋へ下った。まずはテント設営が先だ。ほとんどの人が日帰りだから、小屋へ下っていく人は少数だ。上ホロに登って、十勝岳へ行き、望岳台へ下山というのがノーマルルートみたいだ。あれれ、でも、EBISUさんがついて来た。10:06避難小屋にたどりつくと、意外や意外、小屋の前で数名が休憩していた。

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上ホロ避難小屋から見た十勝岳

小屋の裏側に小さいテント場があった。明日は天候が崩れるという予報だから、今日泊まるのは、山の神と私だけかもしれない。テント場からは、見晴らしがよく、目の前にこれから登る十勝岳の雄姿を望める。その後、登る前に腹ごしらえと昼メシとなる。EBISUさんもいつの間にかここで昼食をとっていた。

おにぎりを食べているうちに、雲が空を覆いはじめた。急いで片付けて11:05十勝岳に向けて出発する。両サイドが切り立った、ちょっと恐ろしげな狭い岩稜帯を抜け、山頂直下の火山岩がごろごろする斜面に入っていく。と目の前にEBISUさんがのろのろと歩いていた。またもや追いついてしまい、追い越す。

 

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左:十勝岳山頂直下 右:山頂「光顔巍々」の石碑の前で

十勝岳山頂には11:50到着。かなりガスが出てきて、視界をさえぎりはじめる。それでも眼下には望岳台への道が見えていて、山頂にいた年配のパーティは次々にその道をたどっていく。

山頂にEBISUさんが上がってきた。山の神と私の写真をとってもらい、私がEBISUさんの写真を撮ってあげると、会話の端緒ができた。EBISUさんいわく。いつもこんな調子なんだよ。登り始めは、皆と同じようなタイミングなんだけどね。下山はいつも最後。駐車場に戻ると、自分の車以外はないというのがフツーだねと。

006_132 望岳台への道

12:15下山開始。来た道を引き返し、往路ではよく見なかった大砲岩が気になり振り返る。大砲岩から地図では三段山へ50分となっているが、本当にこの岩の峰々をたどって三段山まで行けるのか? 見るからに恐ろしげな岩が連なっていて、とてもルートがあるようには思えない。

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2点とも:上ホロカメットク山山頂

がっつり登って13:18上ホロカメットク山山頂に着いた。意外に広い山頂で開放感抜群。見晴らしもいい。しかし誰もおらず、ひっそりしていた。13:30頃山頂をあとにし、40分ほどで避難小屋に下った。小屋の前のベンチには、老夫婦とEBISUさんがいた。老夫婦は十勝岳の山頂まではムリだからここから引き返すといい、EBISUさんとともに出発していった。去っていく背中を見送るが、上富良野岳への上りでEBISUさんはもう老夫婦から遅れ始まっていた。だいじょうぶなのか? またどこかで会いましょう。EBISUさん。 

004_137 本日のお泊り場

小屋前のベンチで山の神と私は、ビールとつまみでくつろいでいた。会話のタネはEBISUさん。登っていく姿が稜線の向こうに消えるまで眺めていた。一方われわれの知らぬ間に、テント設営をしていた年配のおじさんがいた。あとで話してみると、明日から天候が崩れる予報であることを知らなかったらしく、明朝早く出発して縦走のつもりだったようだ。かわいそうなことに天気予報にショックを受け、意気消沈していた。

十勝岳下山編へ
トムラウシ山行へ飛ぶ

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トムラウシPart2~ナキウサギ登場

2011-08-01 | 山行~北海道

Part1のつづき

14:00トムラウシ山頂を後にし、北沼に下る。沼の周囲4分の3くらいを雪が覆い、絵になる風景だ。

 

004_062 残雪と北沼

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左:エゾコザクラ 右:エゾノツガザクラ

北沼の荒涼とした一帯を過ぎると、一面のお花畑が現れる。それまでもお花は点在していたのだが、ここはもうまさしく花のじゅうたんで壮観。白い花が圧倒的に多いが、ときどきエゾコザクラがなかなかのボリュームで色を添えてくれる。ちいさくてかわいらしいツガザクラも咲いている。

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ロックガーデンを下る山の神

ロックガーデンにさしかかり、下る手前で一休みする。ここにはナキウサギが棲息している。人気を消して、しばらく待たないと姿を現さないらしいから、じっくり腰を据えていないとだが、どうしようか? まだ時間はあるし、ヒサゴ沼を目指し帰路に探そうかとなった。

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2点とも:日本庭園

15:05ロックガーデンを移動していると、前方におばちゃん2人組が歩いていた。向こうも相当急いでいるようで、追いつきそうで追いつかない。歩きにくい岩場を越え、これまた歩きにくい日本庭園に入る。雪が残っていて一部庭園を覆っているが、たしかに日本庭園のような趣のある場所だ。池や岩や植物が人工的に配置されたような錯覚に陥る。

006_076 ヒサゴ沼

早足で歩いて、15:55ヒサゴ沼のビューポイントに着いた。先行していたおばちゃんたちにここで追いつく。話を聞くと、今日はヒサゴ沼のキャンプ場に泊まるとのこと。もう着いたも同然だからここで休憩よと。私も先年層雲峡から大雪を縦走したときにここにテントを張った。このヒサゴ沼はそのとき非常に印象に残り、山の神にも見せたいと思い、こうしてここを再訪することになったのだ。

15_087_2さあ、ゆっくりはしていられない。テント場に戻るそろそろタイムリミットだ。16:05腰を上げ、来た道をバリバリ引き返し始めた。 

日本庭園を越え、16:45頃ロックガーデンにたどりついた。ちょうど上りに差し掛かったところで、ピッ、ピッ、ピッ、とかん高い声が響く。おお、これは間違いなくこの辺りにナキウサギがいるなと私。姿を現すまで待ってみようか。

ところが待つまでもなく、岩の隙間からすばしこく出てきた。ちょこんと岩の上にのる。微動だにしない。近づいていって、シャッターを切った。逃げないからもっと近づいてやれと急接近すると、俊敏に岩の上を走り、隙間へ逃げ込んでいった。今度は後ろのほうからピッ、ピッ。いた。こっちだと指をさす。山の神も振り返る。ここロックガーデンにはナキウサギがいっぱいいるのだ。山の神も私もナキウサギ登場に感激し、名残惜しいがゆっくりもしていられず、ピッ、ピッと聞こえる鳴き声を背に岩場を登リ返した。時刻も夕暮れで日がかげってきたから、ナキウサギが出てきたのかもね。

17:50テント場に着いた頃には、もうくたくたになっていた。今日の行動時間は今までで最長(2番目か?)に近い。テント場には、われわれのテント以外にもうひと張り設営されていた。お仲間大歓迎だ。 

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左:朝の雲海 右:テント場

翌朝は5:00起床。テントから外に出ると、かなり冷え込んでいた。持ってきたフリースを着込む。目の前には雲海が広がっていた。お仲間だったもうひと張りのテントは撤収中で、もう出発だ。

われわれは今日は下るだけなので、のんびりしていた。6:54に下山開始となる。

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左:カッコウが鳴いていたトムラウシ公園 右:アイゼンを装着する山の神

トムラウシ公園の辺りで、昨日同様にカッコウが鳴いていた。まだデビューしたてなのか、情けないくらいの調子っぱずれで鳴く。澄明な空気の中、まさに場違いのカッコホ、カッコホと語尾が下がる滑稽な声が響き渡っていた。

そのトムラウシ公園先のピークで休憩し下り始めると、登ってくる、登ってくる。グループあり、夫婦ものあり、団体のツアーありと平日とは思えない人数だ。そのうち上りのときに苦しめられた長い雪渓が始まる。でも今度は下りだからアイゼンを装着して、サクサクと進む。

下降とともに暑くなってきて、11:48登山口の駐車場に到着した。

Part1に戻る
十勝岳へつづく

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トムラウシPart1

2011-07-31 | 山行~北海道

000_059_2 トムラウシ 標高 2141m 北海道

2006年7月3日(月)~7月4日(火) 晴れ

メンバー 山の神と私

コースタイム 7月3日 東大雪荘5:10--5:30登山口駐車場5:48--6:52カムイ天上手前7:04--(新道)--7:56コマドリ沢8:11--9:30前トム平手前9:44--11:20雪渓上部の岩場(昼食)11:50--12:20南沼キャンプ指定地(テント設営)13:10--13:40トムラウシ山頂14:00--14:50ロックガーデン15:05--(日本庭園)--15:55ヒサゴ沼ビューポイント16:05--17:05ロックガーデン上部17:15--17:50南沼キャンプ指定地
7月4日 キャンプ地6:54--7:55トムラウシ公園先のピーク8:05--9:50新道コマドリ沢上10:08--11:00カムイ天上近辺11:09--11:48登山口駐車場

今日からトムラウシということで、気合を入れて4:00起き。宿備えつけのポットで温かい飲み物をつくり、昨日コンビニで調達した惣菜パンを食べる。5:10居心地のよかった東大雪荘を出発する。

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左:東大雪荘 右:登山口のエコトイレ

車で20分ほどで登山口に到着した。この登山口には駐車スペースがふんだんにあり、トイレもあるから、車中泊の人も結構いるようだ。月曜日にもかかわらず、すでに10台くらいが停められていた。トイレは最新式のエコトイレ。コトが済んだらボタンを押す。すると、便器のなかのおがくずが電動でかき回される。その電力は、屋根に取り付けられた太陽電池パネルで発電しているようだ。あとはバクテリアが汚物を分解処理してくれる。

5:48登山口を出発。気持ちのいい樹林帯を進むと、そのうち雪渓が融けたせいか、泥でぬかるんだ道になる。荷物の重さに耐えながら、ぬかるみの上りを行き、カムイ天上直前の地点で休憩とする。雲海が見え、下界は天気悪そうだなと、山の神に話しかける。

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左:カムイ天上手前で雲海を見る 右:カムイ天上

休憩して歩き始めると、すぐにカムイ天上の標識が現れた。ほどなくして分岐。沢沿いの旧道が崩れたためか入り口が閉鎖されていて、代わりに付けられた新道へと入る。沢の上に付けられた道だ。

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十勝・美瑛岳方面を望む

新道を上がっていくと、十勝岳方面の見晴らしがいい。まだ7月だから雪渓が多く残っていて、まだらに入ったホワイトのラインが青い空に映えていい感じだ。

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雪渓の連続に息を切らす

 

 

 

 

新道からコマドリ沢へ下りきると、今度は雪渓歩きが待っていた。思った以上に長く、終わったと思うと、また雪渓。硬くしまった雪で、上りだからアイゼンも付けずに、サクサクと登高する。先行する単独行の方がいた。

そのうち下ってきた外国人の若者に声をかけられる。さすがにインターナショナルな山だ(道内在住かもしれないが)。昨日は上で泊まったけど、終日曇りでアンラッキーだったと。でも今朝は快晴だ。

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9:30前トム平近辺で休憩にした。森林限界も越え、緑の山の稜線がくっきりと見える。青空に刷毛雲が出ていて、おおこれぞ夏山。

出発すると、2パーティが下山してきた。昨日は日曜だったから人が多かったのだろうか。

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左:前トム平あたり 右:イワウメ

前トム平から上っていくと、チングルマの群落をはじめ、お花畑が現れ始める。さらに高度を上げていくと、ちょっとした頂に着いた。そこがトムラウシ公園だ。その名のとおり、まるで公園のような体をなしている。さも休んでくださいといわんばかりの小広いなだらかな地形だし、また自然公園みたいな景観だから、ここで休憩にしようかと、山の神を振り返る。ところが、腰を下ろす場所はと左右を見渡すも、雪渓から融けだしてきたのか、そこらじゅうから湧水があり、湿地帯のようにじめじめしていて、腰を落ち着ける適当な場所がない。もう少し先に行って休もうと、そのまま通過する。

トムラウシ公園を抜けハイマツ帯を上っていくと、傍らではイワウメがきれいに咲いていた。

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左:ハイマツ帯を行く山の神 右:テント場までは目と鼻の先

11:20トムラウシ公園上の岩場で簡単に昼食をとる。チーかまをかじりつつ、はちみつを塗り塗りパン食。ミックスナッツでエネルギーを追加充填し、出発だ。

12:20十勝岳・オプタテシケへの分岐に出る。やっとキャンプ指定地に到着した。手ごろな場所を物色してテントを張る。周りには、ハクサンイチゲやキバナシャクナゲが咲いていてメルヘンチックな場所だ。でも誰もいない。もしかして今日はわれわれだけかもなあと山の神に投げかける。ここにはクマは来ないでしょと山の神。13:10サブザックで出発する。

13:40トムラウシ山頂に到着。年配の男性2人組がいた。そのひとりに写真をとってもらう(冒頭の写真)。展望は最高。でもいつのまにか雲がもくもくと出てきていて、景色をさえぎり始めている。ふと時計に目をやり、サブプランを口にする。せっかくここまで来たのだから、ナキウサギを探しに行こうか、時間が許せばヒサゴ沼が見えるところまで足をのばしてもいいしと山の神に提案する。

トムラウシPart2ナキウサギ登場へつづく
前日の白雲山に戻る

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白雲山

2011-07-28 | 山行~北海道

01_004 白雲山(はくうんざん) 標高1186m 北海道

2006年7月2日(日) 曇りときどき晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 11:35登山口11:47--12:27鞍部12:32--12:46白雲山山頂13:00--14:15登山口

前日の7月1日3:00起きで、ひたすら関越を西へ移動。新潟発10:30のカーフェリー(写真右上)に乗り込む。行き先は小樽だ。ここから車で、トムラウシと十勝岳をそれぞれ1泊2日行程でまわる計画を立てた。まずは足ならしということで、然別湖畔の白雲山をめざした。

02_0177月2日4:45下船。さっそく小樽市内のコンビニで朝食用のおにぎりを買い、大移動の開始だ。どこで朝ごはんにしようかと山の神と相談しているうちにだいぶ移動して、すでに時計は6:45。長沼町の道の駅マオイの丘公園でのんびりと朝食となった。ここにはキャンピングカーが何台も駐車していて、皆さんここでお泊りだったようだ。ちょうど起き出してきた人たちが、顔を洗っていたり、犬の散歩をしていたり、缶コーヒーをぐびぐびと飲んでいたりとそれぞれの早朝の風景が広がっていた。

日勝峠を越え、鹿追町に入る。目指す然別湖には10:15に到着した。朝食から3時間くらいしか経っていないのだが、小腹が減っている。湖畔のホテル風水を覗くと、レストランがもうオープンしていた。ザックには行動食程度しか入っていないので、山頂でごはんというわけにもいかず、豚丼¥1,050をオーダーして腹ごしらえをすることにした。然別湖を見ながらのランチはなかなか快適だった。

登山口のほうへ車を移動していくと、もう車がずらりと並んで駐車していた(写真左上)。登山口で入漁券を販売している人がいたので、この車列は登山目的というより、釣り目的なんだろう。

11:47登山口を出発する。ひと組の年配夫婦を追い越していくと、上から下山してくる人ふた組。尾根に出ると、気持ちのいい風が吹き抜けていく。ダケカンバの林は心地いい。

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左:白雲山山頂からの然別湖。温泉地は湖岸の白いところ 右:白雲山山頂の岩場

鞍部で水分補給して、ほどなくして白雲山山頂に着いた。岩場の狭い山頂だが、眼下に然別湖が見える爽快な場所だ。ナキウサギが棲息していて、人がいなければ出てくるらしい。あいにくと、われわれ以外に親子連れやカップルなども山頂にいて、ナキウサギの登場はなかった。

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左:天望山・然別湖分岐 右:湖畔まで快適な森がつづく

13:00下山開始。あせりを感じるほど、天望山・然別湖の分岐までなかなか着かず、下る道を間違ったかと不安になる。その分岐から湖畔までも長く感じたのは、お散歩コース感覚で登ったせいなのか。でも皆そのように感じるのか、お隣天望山をカットして白雲山だけというハイカーは多いようだ。ほとんどの人が然別湖への道をたどるか、来た道を戻るピストンだ。登山というよりは、ハイキングなんだろうね。

07_026ここで薀蓄をひとつ。ヤマケイの「北海道百名山」によると、天望山は別名くちびる山と呼ばれているとのことだ。形状がまさにくちびる。天望山そのものが上くちびるで、然別湖の湖面に映るその姿がちょうど下くちびるに見える。マリリン・モンローのあのくちびるの形だ。ちょっとした天然アートだね。

然別湖の湖畔に出て(写真左)、景色を堪能したあと、14:15車に戻る。

さあ、明日に備えて買出しだ。しかおい道の駅で産直トマト、セイコマートでパンやお茶を買う。それからはひたすらトムラウシ温泉を目指して走った。目的地に近づくにつれ、大自然の中へ突入といった趣になる。ブラジル移民のドラマをこの地でロケしたらしいが、いやホントまさにおあつらえ向きの原生林が続く。道は未舗装路に変わり、白い土ぼこりをまき上げながら進む。路面に凸凹なんかもあって、どんどん人間社会から遠ざかっていく感は募る。路肩に何かが出てきた。薄汚れた痩せたキタキツネだった。仄聞によると、人馴れしていて何かもらえるんじゃないかと道路沿いに顔を出してくるようだ。

トムラウシのテント場に到着。薄暗い鬱蒼とした森の中で荒れ放題だった。雑草がぼうぼうで、誰もいない。吉村昭の「熊嵐」が脳裏をよぎる。おお怖! 思わず山の神と顔を見合わせ、あかん、この場所は怖すぎだと逃亡決定。国民宿舎東大雪荘に逃げ込み、1泊夕食付きで泊めてもらうことにした。部屋は広く、温泉もゆっくりと入れ、メシもうまい。しかも安い。いつヒグマに襲われるともしれない、あのテント場と比べれば、まさに天国。

トムラウシPart1へ続く

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