目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

利尻・礼文Part3~礼文岳

2012-07-21 | 山行~北海道

標高 490m 北海道

2004年7月7日(水) うすぐもりときどき晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 内路登山口12:47--13:45起登臼コース分岐奥13:50--14:25礼文岳14:45--15:25起登臼コース分岐15:35--16:07内路登山口

前泊は、利尻島の利尻北麓野営場。我が家のようにくつろげる三角屋根キャビンでもう一夜を過ごし、7:00起床。タクシーを呼んで、8:30頃フェリーターミナルに向かう。ターミナルで荷物をいったんデポして、漁協のお土産屋さんをのぞいた。これで利尻ともお別れだ。利尻名物はここでしか買えないかもと、山の神も目の色を変えて、めぼしいものを探す。そんなことはないのだが。

礼文島香深へのフェリーは10:05発で10:50には到着してしまう。旅情を楽しむ間もないあっけなさだ。稚内から鴛泊へのフェリーに乗っているから、新鮮味にも欠ける。予約していた民宿に荷物を置かせてもらい、山支度をして、再びフェリーターミナルへ。タクシー会社へ行き、タクシーの配車を頼むが、皆出払っているよといわれる。この島は当時(今もそうか?)タクシーは3台のみ。夕方までまず帰って来ないねと淡々といわれるが、なんと、そう話しているうちに1台戻ってきた! すこぶるラッキーなのであった。

02p7072049 01p7072038
左:礼文岳内路登山口(復路撮影) 右:ユリの群落が登場

12:40頃、そのタクシーに乗って海岸線の道を北上し、内路に到着。ここに内路コース登山口がある。登山口とデカデカと指道標が付いているが、いったいどこから登るのかときょろきょろしてしまう。奥のほうに登り口を見つけ、登山開始だ。

歩き始めて50分ほどで、そろそろ休憩したいなと山の神とともに適当な場所を探していたが、なかなかこれといった場所がない。起登臼コース分岐は、ぬかるんでいて休む気がしない。そのうち1時間が経過し、疲労もピークに達する。どこでもいいとなって、急登にさしかかった、いかにも中途半端なところでザックを下ろした。

水分補給して再び歩き始めると、予想外にもユリの群落が登場した。黄色い(オレンジっぽい)ユリが一面に花を咲かせて広がっている。なかなか壮観で、山の神も珍しく持参したカメラを出してシャッターを切っていた。

001p7072043 002p7072044 礼文岳山頂にて

森を抜け、突然見晴らしがいいハイマツ帯になる。なだらかな斜面の奥に礼文岳頂上があった。もう少しだとピッチを上げ、14:25山頂に達する。足下のガスは残っているというのに、目の前のガスはいっきに風で流されていき、背後に昨日登った利尻山が姿を現した。わずかに海面も見え、太陽光でキラキラ輝いている。思わず、おお!と。過剰な自然の演出だが、山の神ともども感動。何かいいことあるかもと思わせるに十分な僥倖だった。

003p7072041 雲の向こうに利尻山

004p7072045 ハイマツ帯を行く

14:45下山開始。そこへこんな時間にもかかわらず、派手な色遣いの服装をした年配の単独行おじさんが上って来た。こんな時間に?車で来たのか?不可解ながらも、幽霊ではなさそうだ。

15:25ぬかるみが気になるが、起登臼コース分岐で休憩。往路では気づかなかったが、起登臼コースは通行禁止になっていた。16:07登山口に戻る。バスの時間をチェックしてみると、次は16:51だった。うらさびれた感のある海岸線の道路に、ポツンとあるバス停で山の神としばし待っていると、徐々に日が傾いていく。だんだんあせりを感じ始めた頃、バスがようやくやって来た。民宿のある香深には17:15に到着。山の神とそそくさと宿に戻った。

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利尻・礼文Part2~利尻山

2012-07-16 | 山行~北海道

利尻山北峰 標高 1719m 長官山 1218.3m 北海道

2004年7月6日(火) 雨

メンバー 山の神と私

コースタイム(鴛泊コースピストン) 利尻北麓野営場5:20--6:05小休止--6:55第一見晴台7:05--8:00休憩8:07--8:35利尻山避難小屋9:05--(沓形コース分岐休憩)--10:22利尻山山頂10:27--11:07 9合目11:14--11:45長官山(八合目)12:00--12:55第一見晴台13:15--14:30野営場 

狭いながらも、なかなか快適なキャビンで、前の晩はビールをぐびぐび飲りながら、明日の天気はダメだろうなと山の神にぼやいていた。ここで1日停滞して、明後日利尻山、予定していた礼文岳はカットするかと、計画変更を口にしていた。

朝4:00起床すると、何やら外が騒がしい。団体がマイクロバスで乗り付けて、今まさに出発するところだった。このとき雨は降っていなかったが、当然これから振り出すと思っていたから、彼らの動きは無視していた。ところがだ。4:30頃にまた団体がやって来て登り始めるではないか。空をあおぐと、雲が少し切れている。もしかして!

そそくさと、山の神と朝食の準備を始めた。たまごスープに、シーチキンマヨを塗ったパンや、はちみつパン。このまま天気はもつかもねと楽観的予測を山の神にいいながら、パンをかじる。5:20少し晴れ間が覗いていて、団体を追いかけることに決めた。しかし歩き出すと、たちまち晴れ間は消えてしまう。

 

 

001p7052026 002p7062027 01p7062028_2
左:利尻北麓野営場キャビン内 中:雨がフツーに降ってきて合羽態勢 右:完全に雨

団体を1つ追い越して、確実に高度を上げていく。でも天候はどんどん怪しくなり、雨粒がポツリポツリと。レインウエアの上だけを羽織って、そのまま上り続ける。

6:55やっとの思いで、第一見晴台に到着。地図に書かれているコースタイムよりも時間を要した。意外に長いし険しい道だ。頭上に垂れかかってくる枝をよけながら歩いたり、足元に注意したりと、お散歩気分では歩けない。ましてやそこに雨が降ってきている。雨脚は、もうすっかり本降りになっていて、レインウエアの下も装着して、完全に雨中山行となった。

あれっ! 晴れ間はどこに行ったのかな? とおどけながら、山頂を目指すも、展望もないし、お花も見つけられないし――お花を見つけられないのは雨で余裕がないせいだが――何かただ修験者のように黙々と山頂を目指すだけになっていた。

8:35利尻山避難小屋到着。ここで小腹が減って、豆パンを食べる。
この小屋の横には、携帯トイレ専用のトイレブースが設置されている。さっそく試してみる。便座のところにはネットが張られていて、そこに携帯トイレを装着する。さてと、後始末を終えてすっきりしていると、扉をノックされる。おばさんの団体が到着したのだ。内側からノックを返しているのだが、またすぐにノック。出るまでノックしまくられる羽目になった。

003p7062029_5 004p7062030 雨の中、利尻山到着

沓形コース分岐で小休止をとり、山頂へは、10:22に到着した。登山者は到着する端から写真を撮り、すぐに山頂を立ち去っていく。雨は小雨でたいしたことはないのだが、風が強いせいで皆逃げていくのだ。山の神と私も早々に辞去する。

 

03p7062032 02p7062031
左:八合目長官山 右:ガスっているが雪渓が見える

九合目で小休止をとり、避難小屋で昼食にしようと下っていく。ところが小屋は、団体が昼食中でほぼ占領していた。山の神と通過を決め、八合目まで下って休憩。ここでは登山者がバトンタッチするように、われわれが到着すると、先におられた方が出発し、後から誰かが下ってくると、われわれが出発というふうに皆長居せず、玉突きになって、先へ先へと進んでいく。

12:55第一見晴台に戻ってくる。雨はすっかりあがっていた。ここで軽く昼食。傍らには徳島から来たという団体がいた。百名山に入っているから、ここ利尻山は全国区なのだ。全国どこからでもやってくる。

13:15再び下山態勢に入り、14:30疲労困憊、くたくたになって野営場にたどり着いた。そこは下山したばかりの登山者であふれ、タクシー待ちの人や、休憩してこれから歩いて鴛泊に出ようとする人たちでいっぱいだった。ひやかしでここまで車で上がってきた観光客も混じり、昨日とは打って変わって、にぎやかな場所になっていた。

 

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利尻・礼文Part1~大ポン山・小ポン山

2012-07-14 | 山行~北海道

001p7052006_2 大ポン山 標高 444m 小ポン山 413m 北海道 利尻島

2004年7月5日(月) 晴れのちうすぐもり

メンバー 山の神と私

コースタイム 11:00頃利尻北麓野営場(昼食)12:20--12:50大ポン山13:10--13:30小ポン山13:50--14:25野営場

6:20頃に起床。ホテル(稚内)の部屋の備え付けポットで湯を沸かしてスープをつくり、昨日近所のコンビニで買っておいたパンとともに朝食。7:25ホテルをチェックアウトし、フェリー乗り場へ歩いていく。乗り場には人影が少なく山の神と怪しんでいると、皆もう乗船しているではないか。2等船室は、すでに乗客でごった返していた。7:50稚内港を出航する。船室から舷側に出ていくと、ほどなくして洋上に利尻島が見え始めた。そのうちウミネコがミャーミャーいいながら、何か欲しそうにフェリーに並行して飛んできて、ときおり乗客から手が届きそうなところまで近づいてくる。お菓子をやる人がいるのだ。いつまでもフェリーに付き従って飛んでいた。

9:30利尻島の鴛泊(おしどまり)港に到着(東日本海フェリー¥1,880)。鴛泊港から、利尻北麓野営場を目指して歩き始める。充分歩いていける距離なのだ!?  途中スーパーかコンビニで買出しをするつもりでいたが、時間が早すぎて、まだどこの店も開いていない。しかたなく、きょろきょろしながら、しばらく歩いていくと、ちょうどスーパーが一軒店を開けたところに出くわした。われわれが乗っていたフェリーで、売る商品が届いたようだった。

パンを買おうと物色していると、店のおじさんが来て、おもむろにいった。「何にもないだろ!これが島の生活というもんだ」。ん~、なぜこんなに自虐的なんだろう。これっぽっちもそんなことは思いもしなかったのに。ちょっと嫌な気分になって、野営場への上り坂を歩き始めた。途中の空き地には、黒い紋様のある空き地かと思うくらい、カラスがたくさんいて不気味だった。

 

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左:稚内港に停泊中のフェリー 右:野営場のキャビン。三角屋根がかわいらしい

野営場に着くと、ここにもカラスが。こちらはかなり図々しい。スーパーで購入したパンを置いたとたん、もうそこへ舞い降りてきて、つついたり、くちばしに咥えて奪おうとする。イタリアのスリみたいなもので、油断しているとすぐさまやられてしまう。その後は、くぐもった不気味な声でしきりと鳴いて、かなりうるさかった。食べ物を執拗にねらうので、山の神ともどもハンターになりたいくらいだった。

さて、野営場でのお泊り場所は、管理人と話をして、三角屋根のイカしたキャビンにした(右上)。いくらで泊まったのかはもう定かでないが、相当安かった記憶がある。¥3,000くらいだったのかなあ。今は¥5,000のようだが。

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左:大ポン山・小ポン山分岐 右:大ポン山から野営場を見下ろす

持ってきたバターロールやシチュー、バナナで、昼食を終える。12:20野営場から散策に出発する。目の前の道からサクサク上っていくと、30分ほどで小高い大ポン山に着いた。山頂は比較的広く、見晴らしがいい。前方には平べったく見える礼文島、背後には雄々しい利尻山を一望できる。山頂は人っ子一人おらず、寂しいかぎりで、しかも、しだいにガスがたちこめてきた。

02p7052017 04p7052022
左:ぺっちゃんこに見える礼文島 右:中央の小山がベシ岬

13:10頃大ポン山を出て、分岐へ戻り、今度は小ポン山へ。こちらはこぢんまりとした山頂だ。ベンチが2つ置かれていたが、残念なことに1つは崩壊していた。大ポン山に比べ、展望は乏しく、申し訳程度にベシ岬が見えるのみだ。鴛泊港はベシ岬の向かって右側にある。

13:50小ポン山山頂を後にし、野営場には14:25に下ってきた。ちょうど利尻山から下山してきた面々がいて、今日は晴れて最高だったとうらやましいことをツツ述べていく。天気は明日から下り坂なんだよねえ。どうにか、もってくれないだろうか。

002p7052015 明日登る利尻山

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利尻・礼文 プロローグ

2012-07-09 | 山行~北海道

稚内からサロベツ原野へ、海でいえば、オホーツク海側から日本海側へとぐるりと回っていくと、やたらと巨大な三角錐の山が目の前に迫ってくる。こんなところから大雪山が見えるのかとまず思ったのだが、まるで方向が違っていた。日本海側に出ると、明らかに洋上にそびえるそれが見える。利尻だ。礼文島が平べったく見えるのに比べ、それは、まさに海から屹立した要塞のようである。次に北海道を訪れる機会があれば、必ず登らなければと強く心に留め置くことになった。それが90年代半ばくらいだから、はや15年以上も前のことになる。

その利尻行きがかなったのは、8年前である。旅情を盛り上げる夜行寝台列車北斗星で札幌へ入り、特急で稚内へ。一晩泊まった後、フェリーで利尻・礼文をめぐった。2004年の夏だ。その山旅を振り返ってみる。

001p7032000_37月3日(土) 夕方の上野駅は、乗降客で混雑していて、北斗星にこれから乗り込もうとする人が、あっちでもこっちでも記念撮影に余念がない。16:50発北斗星の2号車に山の神と私は乗り込んだ。これから始まる山旅に二人とも上気していた。駅弁とビールを買い込んで、列車が滑り出すのを今か今かと待つ。

コンパートメントを2人で、プライベート空間として占有できるのは、なかなか快適で居心地がいい。18:30頃、缶ビールをプシュッと開けて、のどを鳴らす。山の神は、釜飯の包装紙をはがし始める。私は、深川メシだ。家からもってきた、さくらんぼをデザートに、ちょっとしたディナータイムを過ごす。

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左:旧北海道庁 右2点:植物園

7月4日(日) 駅に停車するたびに、ガタンゴトンと激しく揺れる。そのうち朝6:30になると車内アナウンスが流れた。朝食のご案内だ。少し間を置いて、朝食を販売している7号車に行ってみると、きれいに売り切れだった。札幌まで断食かと思っていると、ワゴン販売のお姉さんがやってきた。バターロールサンド2個入り(¥500)くださいと頼むと、すげなく売り切れといわれるが、すぐに食堂車でお作りしてお持ちしますとなった。それは、7:30ぐらいにようやく届いたのだが、今度はコーヒーが売り切れ。でも、また後から持ってきてもらえることになって何とか朝食らしくなる。

終点札幌には9:18に到着した。コインロッカーに荷物を放り込んで、午前中は札幌市内散策だ。赤レンガの旧北海道庁の中に入ってみる。北海道の開拓の歴史を感じさせくれる建物と展示物だ。その後、北海道大学の植物園に入り(¥400)、潅木園、ニレ並木、バラ園などを見て回る。いかにもという北海道らしい植物に札幌に来たんだと実感がわいてくる。

 

札幌駅に戻り、コーンバターみそらーめん(¥840)を食す。本場みそらーめんはやはり食べないとね。でも、可もなく不可もなくといった味だった。ちなみにこのお店、店名でネット検索してもまったくヒットしないから、つぶれたのかもしれない。腹がくちくなったところで、12:50発の3両編成、特急サロベツに乗り込んだ。目的地の稚内には、出発から5時間かかって17:50に到着した。その間、自販機なし、車内販売なしで、山の神とともに、ずっとのどの渇きに耐えることになった。

ようやく解放されて、車外に出ると、寒い。15℃しかない。5時間椅子に座りっぱなしで、頭がぼぅーっとしているから、この気温は頭を冷やすのにちょうどいいのかもしれない。まずは、背筋を伸ばして、ホテル勝美屋にチェックイン。荷物をホテルに置いて、山の神と街に繰り出す。妙に出歩いているちびっ子が多い。屋台も出ていて、「ゆかた祭り」の文字が踊っていた。今日は祭りなのだ。その割には、人出はいまいちで、一抹の寂しさが残る。歩き回っているうちに郷土料理のおいしそうな店竹ちゃんを見つけた。のれんをくぐり、名物、八角の焼魚定食に舌鼓を打った(¥1,260)。八角はうまいが、ちょっと身が少ないね。

さあてと、明日はいよいよ利尻島へ渡る。

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十勝岳悪天下山。そして眼福と舌鼓と湯気のひととき

2011-08-07 | 山行~北海道

7月6日3:55起床。今日は下山のみで気楽な気持ちでいたのだが、テントから外を覗くと、いつ降りだしてもおかしくないような一面の白いガス。視界はほとんどなく最悪だ。早く出発して雨が降り出す前に駐車場まで下りようと、パンとスープの朝飯をかきこんで、テントをたたんだ。5:35上ホロ避難小屋のテント場を後にする。

上富良野岳近くまで上がると、風が強くなってきた。天気は悪化の一途をたどる。ここで十勝岳温泉から登ってきた夫婦に出会った。これから天気は崩れるから、登るのはやめたほうがいいと告げると、どうしようかと逡巡している。仮にこのまま十勝岳に登っても、ただ濡れるだけで山頂からの展望はないし、足元も危ういから何もいいことはないのだが。その後会わなかったから、たぶん山頂に向かったんだろうね。

山の神と私は、霧で足元が濡れてきて面倒だなと不平をいいながら、仕方なくスパッツを装着した。そのうち霧雨になり、ふつうに雨になり、雨具をつけての下山となった。風は強いままで大荒れの様相になる。

しかし上富良野岳から下っていくと、下山路の先に青空が見えた。どうやら、この山の稜線から東側に雲がかかり、雨が降っている模様だ。しばらく下っていくと、また複数の登山者とすれ違い、声をかける。上は雨と風だといっても半信半疑のようだった。青空のもと歩いてくれば、そりゃあ、稜線に雲がかかっていても、荒天だなんて想像できないだろうね。皆自分の目で確かめるべく行ってしまった。

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左:雪渓下りで泥だらけ 右:富良野岳への分岐

分岐から富良野岳方面へは団体が登っていった。ツアーなのかな。ツアーだとなかなか中止の決断はできないからねえ。

われわれは8:00に下山。3歩で忘れる手合いで、キケンを冒してあえて登っていった人たちのことはいつの間にやらきれいさっぱり忘れていて、今日の宿、そしてこれからどこへ行くかに集中する。まず宿は、奮発して温泉宿に泊まってしまえということで、カミホロ荘のフロントへ直行して予約を済ます。それにしても今回の北海道では、予定のテント泊ができず、思わぬ散財となってしまった。でもカミホロ荘はコストパフォーマンスがよく快適だった。

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左:美瑛でルピナス畑を見る 右:カミホロ荘と山の神

宿にチェックインできるまでは観光に徹することにした。美瑛の丘巡りをし、ルピナスのお花畑をめでたり、日本画の巨匠、後藤純男の美術館で観光ツアー客にまぎれて解説を聞いたり、皆空窯に立ち寄り羅漢仏の姿にほれて購入したりと時間は瞬く間に過ぎた。昼飯は、歩人(ホビット)でソーセージ入りのホビットカレー。人気店なのか店内は混んでいた。お店の道挟んだ真向かいには昔泊まったペンションビビがあった。なつかしい。

カミホロ荘の温泉を堪能した翌日は、小樽からフェリーに乗るため、ひたすら移動となる。是が非でも昼は小樽で寿司と決めていたから、根性で大移動だ。そしてあの紀宮様もSPを大勢引き連れて食べにいったという寛(ひろ)寿司へ入る。ボタンエビは最高に美味だった。晩はあぶり焼きの店で死ぬほど海鮮料理を食べて満腹さま。小樽の倉庫街を散歩し、ホテルのバーでくつろいだのであった。極楽。極楽。

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左:小樽の夜は更けていく 右:小樽行きのフェリーとすれ違う

帰りのフェリーでは、これから小樽へと向かうフェリーとすれ違った。甲板に出てその姿を目で追う。これから小樽か。また小樽に行きたいなとつぶやいてみた。

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