9月7日(水)14:10頃酒田の飯森山公園内にある土門拳記念館に到着した。長かった。東京を発って9時間余りもかかっている。やはり途中通行止めで高速を下ろされたのが痛かった。広い駐車場の一画に車を置き、山の神と伸びをしながら、記念館への道をたどった。
特別展「時代を生きた写真家 濱谷浩と土門拳」を展示していた
記念館では、ちょうど特別展開催中で、濱谷浩との二人展となっていた。この濱谷浩とは誰だろう? 展示室へ行ってびっくり。すごいね、雪国(とくに豪雪地帯の)を題材に、昭和のいきいきとした庶民の暮らしを切り取っている。われわれのほんの一世代、二世代前くらい前のことなのに、やけに古びた遠い昔のことのように見えてしまうのは、雪国の生活と、私が無縁の生活を送ってきたからだろうか。山の神とちょっとした衝撃を受けながら、作品を見てまわった。もちろん土門拳の作品もすばらしかった。それぞれに味のある文豪や政治家らのポートレイトや、いかにもといった古寺巡礼シリーズは、存在感たっぷりだった。敷地内にはイサム・ノグチの彫刻もあり、また水と一体化しているこの記念館の建物自体もいい。皆さんにもお勧めです。
山居倉庫
次に向かったのは、山居倉庫。海運で栄えた酒田の倉庫群で、あの「おしん」の撮影ロケ地としても有名だ。どっしりとしたケヤキ並木と黒塗りの倉庫がいい雰囲気をかもし出している。ただ手前の倉庫は、まるで道の駅のようにお土産屋とレストランになっていて、鼻白む。しかもレストランは、営業時間外で閉まっていて照明を落としていた。一部をカフェにしてくれれば、間違いなく入ったのになあと思うと残念だった。
盛り上がりました弐番丁の夜
山居倉庫を後にし、今宵の宿、ビジネスホテルのさかたセントラルホテルにチェックインした。日もとっぷり暮れかかった頃、ホテルでもらったグルメマップに出ていたお店、弐番丁(にばんちょう)ののれんをくぐった。じつはその前に山の神がここがいいといった店に行ったのだが、なんと予約していないと実質入れない店だった。ほかにも店構えでよさそうなところに行ってみたのだが、どこも事情は同じだった。酒田のお食事処は、要予約なのか。
さて話を弐番丁に戻そう。カウンターだけの小ぢんまりとしたお店で、常連さんだけの閉鎖的なジモティの店かと身構えてしまったが、そんなことはなかった。気さくな大将と女将さんが2人で切り盛りしている店で、焼き鳥や刺身など、地のものを使った料理を出しくれる。
大将に、魚は目の前のケースに入っているのを頼んでねと言われるが、そう言われてもよくわからない。キジハタに何とか、それにアジがあって、タタキができるというので、それをを頼んでみた。すると、大将、顔を曇らせて、アジのタタキはいつでも食える。今日入ったキジハタの刺身にしてはどうかと聞いてくる。もちろんOKだ。白身でプリプリした食感でうまい。さすがは、酒田、新鮮な魚を地元で食えるのだ。
隣にいた常連さんと大朝日岳へ行くんだなどと他愛のない会話を交わしていたが、そのうち、リオ・オリンピックのボート競技で4位入賞したというアメリカ人とその友だちたちがやってきた。ググってみると、エイト(8+)で確かにアメリカは4位に入っている。選手をチェックすると、たしかにこの店で見た長身のお兄さんの顔が出ていた。オリンピック後日本に観光に来て、富士山に登ったと自慢げに言い募り、山頂で撮影した動画を見せてくれた。なぜ酒田にいるのかは聞きそびれてしまった。
この店がよほど居心地がよかったのか、私は知らぬ間に飲みすぎていた。私の記憶では、生ビールと瓶ビール、酎ハイ3杯を飲んだと思っていたのだが、酎ハイ2杯目と3杯目の間に、日本酒を飲んでいたと山の神に指摘される。記憶を丹念にたどってみると、お勧めの地酒は?と大将に聞いて、日本酒のリストを大将が指差して、この3つと言っていたっけ。その直後にどうやら、注文したようなのだ。山の神がいうには、その日本酒がグラスで出てきて、たちまち私のグラスは空になっていたと。ということは味わいもせず、スルスルと水のように飲んでいたのか。でも最後の1杯に、酎ハイを頼んだのはしっかりと覚えている。うちの酎ハイは濃いから気をつけてと大将だか、女将だかに言われたが、まったく気にせずに頼んでいた。お会計して、ごちそうさまとご機嫌で店を出て、上の写真をパチリ。ホテルに戻って、ベッドに横になった瞬間に泥のように眠っていた。ふと目が開くと1:30くらいで、慌ててシャワーを浴びる。そのときには明らかに酔っ払っているという自覚症状はあった。明日は羽黒山の階段歩き、アルコールを抜くためにもすぐに寝ないとと、髪をドライヤーで乾かし、また泥のように眠った。
大朝日岳・羽黒山Part1~羽黒山2446段を往復へつづく
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大朝日岳・羽黒山Part2~県道289号の恐怖へとぶ
大朝日岳・羽黒山Part3~大朝日小屋までへとぶ